3章52話 開門1

翌日俺は父さんが運転する車に乗っていた。


「シルバーウィークに入ったけど母さんと朱音は?今どうしてるの?」


「二人は今家にいるよ。雪に会いたいのと二人で買い物に行く計画を練るって言ってたかな?」


「巻き込まれなくて良かった・・・!」


「それでさ何しに私たちは行くの?」


「行けば分かるさ。さて、着いたぞ。」


「もう?それにここ・・・ウチじゃん。」


「さ、久しぶりに帰宅するぞー。」


「いやちょっと待って、あ、行く場所ってここ!?なんで?そりゃ会いたいけどそんな隠すような事じゃないよね!?」


「まあいいからいから。ほら入った入った。」


「釈然としない。ただいまー!」


するとリビングのドアが開いて朱音が飛び出してきた。


「おかえりー!寂しくなかった?私とお母さん買い物行くんだけど着いてくる?」


「ごめんね、朱音。ちょっと雪としなくちゃいけないことがあるからまた今度行こう。二人で楽しんで。」


「はぁーい。あ、朝ごはん食べた?食べてないなら作ってあげる!」


その後朱音の作った朝ごはんを食べた後母さんと朱音は出かけて行った。


「で?この後何するんだ?」


「その前にもう知ってると思うんだけど雪の魔力適正が出たから教えとくね?あの水晶のやつ。雪は無属性と水属性、火属性あと闇属性に適性があったよ。結構汎用性が高そうだね。」


「火属性とか水属性はわかるけど闇属性はどんなことが出来るんだ?いまいち実感が湧かないんだけど。」


「闇属性というか光属性もなんだけど使用者の精神によって変わるんだよね。基本的には光属性は回復、癒しなんかのプラスのことを司って闇属性はその逆マイナスなことを司るんだよね。ゲーム的に言えば光属性がバフなら闇属性はデバフかな?吸血と相性良さそうだよね。」


「確かに魔力を吸ってるだけじゃいつ相手がスタミナ切れになるか分からないし。」


「よし!適性がわかったところで本題なんだけど雪、友達を助けるために精神世界に潜ったらしいね?その時門開いたでしょ?」


「あ、なんで知って、、母さんか。確かに開いたけどあの時出来たこと戻ってからは出来なくなったんだよね。」


「だから今日は雪に門を開けさせてあげようと思って。ただ約束して欲しいことが一つある。絶対に学校で開門術式を使う時鬼の門だけは開けるな。」


「えっどうして?開門術式を使うなってこと?」


「いや、血液系は大丈夫だ。ただ鬼の門だけは例外でね。そもそも雪、鬼ってなんだと思う?」


「ツノが生えてる虎柄の服着たマッチョな妖怪?」


「まあ、一般的にはそんな感じだよな。でも鬼には地獄の番人、閻魔の配下って側面もある。で、今重要なのが番人って部分。鬼は地獄の門の番人としていることもある。つまり、鬼の門を開くってことは地獄が開くってことなんだ。

だから開門術式を使うと雪の体から地獄の力が漏れ出てしまうんだ。だから僕がいる時以外では開かないでってこと。」


「???、要するに父さんがいない時鬼の門は開くなってこと?」


「ははは、よく分からなかったか。そうだよ。で、これから鬼の門を開けようと思うんだけどどこで開けても人目が付くし危険だから大丈夫な場所に転移するよ。」


「は?転移ってそれどうやっ—



てやるんだよ・・・ってええ!?ここどこ!?」


一瞬のうちに空が赤暗く周りには何もない空間に移動していた。


「ここは僕の秘密の場所、ここでなら存分に開けるからね。ちなみに雪にはここの場所は教えない。教えるとしてももっと先かな。」


そういう父さんの話は半分ほど聞き流して周りを見ることに集中していた。


「ここ、結界が張られてる?しかもかなり硬い方の。綾が特大火球一万発撃っても壊れなそう。」


「そりゃあ先人たちの努力の結晶だからね。いつまでも開門する時に周りに被害出してられないから。」


「それで?開門術式は何処にあるの?」


「こっちにあるよ、付いてきて。」


そうした父さんの後に続くとじきに神社が見えてきた。


「ここの境内の真ん中にあるからやる気になったら入ってね。」


そこには空の色と同じように禍々しい雰囲気と神様でもいるかのような威圧感が感じられた。

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