3章50話 何故いる!?
雪は師範代の元で教えを請いながら魔道具製作や戦術の勉強に明け暮れていた。見学から一週間弱経った頃雪は訓練場にいた。
「いや模擬戦とか久しぶりだな。自己紹介の時以来か?」
「うん、あの時は模擬戦の日じゃなかったけど挨拶がわりにやったからね。」
そう、入学した時に行った模擬戦の授業が始まるのだ。
「にしても先生遅いな?」
「なんか一年選抜大会のために講師を呼んだらしいよ?」
「へぇーどんな人が来るんだろうな?」
そうクラスメイトもざわついてきた頃先生ともう一人が現れた。がどう見ても雪には見覚えがある人物で
「なんで父さんがここにいるの!?」
現れた講師は雪の父、血桜 秋であった。
「えー今日お呼びしたこの方は魔防隊殲滅部隊隊長の血桜 秋さんだ。いつもはお願いしても忙しいらしく無理なのだが今回は娘の様子も見るためということで承諾していただいた。さて、血桜さんからも自己紹介をお願いします。」
「紹介に預かった血桜 秋です。ご存知の通り雪の父です。今回は雪の様子を見るために来ましたが他生徒の方も見るつもりなのでどんどん質問してください。僕は変異系の能力なので放出系の能力の方はあまり力にならないかもしれないけどそっちも質問しに来てね。」
「という訳で血桜さんがお前たちを見てくださる。と言ってもお前たちにどんなアドバイスをすれば良いかわからないと思うのでまず模擬戦をしてその後アドバイスをもらうように。」
「先生、秋さんとは模擬戦とか出来ますか?」
クラスの一人が俺と間違えないよう名前で呼びながら質問をした。
「うん、良いよ。明日から僕は連休だし僕と模擬戦をしたい子は言ってね。時間がある限りならしてあげられるから。」
「いいんですか?おそらくかなりの生徒が模擬戦をしたがると思いますが。」
「体力には自信があるので。じゃあ僕と模擬戦をしたい子は挙手してくれる?おぉう全員か。
まあ良いや、じゃあ出席番号順に始めようか。」
そうして父さんと生徒の模擬戦が始まった。流石に能力を使うのかと思ったがひらりひらりとかわしながら徒手格闘で戦っている。
「なんだあの人、全く当たる気がしねぇ!」
「後ろに目があるんじゃないかってくらい当たらないわ!」
「能力使ってないのになんて強さなんだ。」
今まで能力を使って戦ってきた雪にとっては改めて基礎戦闘力の大切さを感じていた。その後も能力無しで戦っていた父さんだが数人能力を引き出させる人が出てきた。
「符堂 澪です、行きます!【五行 砂塵乱】!」
符堂さんが砂の竜巻で父さんを囲い込む。その間に何やら紙を周りに配置していく。しばらくして父さんが竜巻を霧散させていく。すると父さんにはツノが生えていた。
「いやー能力使わないつもりだったんだけどこの技は使わないと出られなかったな。さて次はどうする?」
「もう逃げられませんよ!【五行 封縛陣】符で拘束しました。これでもう防御はできないはず!とどめです!【五行 鳳凰】!いっけーーー!」
「うわ、すごいな今の子は。もう新入隊員くらいあるんじゃないか?でも、まだまだダメだな」
「そんなはずない!拘束は完璧なはず!」
「もっと相手の強さに合わせて魔力の量を増やさないとね。ふっ!」
父さんが魔力を体に纏うと拘束していた符から伸びていた魔力の鎖を引きちぎった。
「そんな・・・!でも・・・負けるわけにはいかないんだ。あああー!いけっ鳳凰!」
先程より大きくなった鳳凰が父さんの元に飛び立つ。が父さんは拳に魔力を纏わせて鳳凰を打ち抜いた。
「良い戦術だったけど魔力の質にも気を配れると良いね。少し焦っているように見えたけどまだまだこれからなんだから落ち着いて。ね?」
「はい・・・ありがとうございました。」
符堂さんは魔力を使い果たし座り尽くし、対して父さんはまだ余力が有り余っているように見える。
(化け物か?)
「さて、次は誰かな?」
「私です。お久しぶりです。秋さん!」
「おお、綾ちゃんか!さて、どんなふうに成長したかな?」
「早速行きます!【水球】【火球】!」
綾が水と火の球を作り出した。これに関しては普通なのだが規模がおかしい。普通ならば野球ボールくらいの大きさなのだがその100倍程はある。
「うわぁ、また魔力上がった?しかも同時展開とかやるねぇ。それを僕にぶつける気かな?」
すると綾は二つの球を何故かぶつけ合った。すると水球が蒸発して霧ができる。
「うわ、すっごい霧。前が見えないくらいあるな。でも綾ちゃんも見えないんじゃないか?」
「そんなことないですよ?元々私の魔力によるものなので霧になっても操れます。ので【霧惑】
これで私の周りには霧はありません。」
「でも、これだと速く動けば抜け出せるよ?」
「いえ、もう終わりです。【魔力隠蔽解除】【火球】!」
急に現れた火球が父さんの元に落ちて爆発した。
「やった!これなら少しはダメージ与えられたんじゃない!?」
「凄かったなぁ、アレ。よくあんな凶悪コンボ考えたな。」
「え?後ろ!?
「はい、お終い。もう魔力ないでしょ?休みなさい。」
「はい、、一撃与えられたら良いなと思ったのにー!」
「いや、熱かったよ。ちょっと余波当たっちゃった。」
「え!?やったーー!!」
まさかの父さんに一撃与えるとは驚くしか無かった。俺でも出来たことなかったのに。
「あの【魔力隠蔽】は先生に習ったのかい?」
「はい!音無先生に習いました!魔力が多すぎて狙う位置とか分かりやすかったので。」
「確かにそうだね。それに魔力隠蔽はかなり魔力を使うから綾ちゃんにあってるかもね。」
「さて、次の人は?お、司くんか」
「はい、久しぶりに組手しましょう、秋さん!」
「良いよーじゃ始め!」
さっきと打って変わって激しいぶつかり合いが起こり音も人のぶつかる音ではなかった。
「前より硬くなったな!それにいいパンチだ!」
「はい!魔力の練り方を工夫してみました!それに、ハッ!」
「おお、足も纏えるようになったのか。ますます楽しみだな。でも・・・」
「ぐはっ!速っ!?」
「まだ全身じゃないみたいだね。それに少し動きが鈍くなってるよ?」
「やっぱりバレてるか。魔力を足に纏うと鱗の重みで鈍くなってしまうんですよ。」
「なら今後の課題だねっ!さて、そろそろ終わりにしよう。はっ!」
父さんは司の足を払い一気に投げ放つ。。
「ぐっ!参りました!」
「うんうん、前に教えた受け身は完璧に覚えてるみたいだね。でも踏ん張りが足りないかな。馬鹿正直に殴り合ってくれる人しかいないわけじゃないからね。」
「さて、最後は・・・雪か。」
そう、編入した関係で俺が最後になってしまった。まあ、ここで学んだことを試すチャンスではあった。
「親子喧嘩でもしようか!色々試したいこともあるし!」
「いや、喧嘩する訳じゃないんだけどな、、まあいいや。久しぶりにどんだけ成長したか見せてもらうよ。」
後書き
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