第8話
そんな探偵になりたい貴重な人材を育成してくれる唯一の存在がプロによる探偵講座だった。
以前は必要無かった『探偵免許』だが、十年ほど前にあった悪徳探偵による大事件以来、探偵業を行うには運転免許の様に探偵免許が必要になったのだった。
それを知って在学中にオンラインで頑張って取った資格だが、実はまだ『仮免許』だ。
通信教育はあくまでも机上で基礎を学んだだけで、実践が無い。
探偵免許本免の取得にはプロの探偵の側について、尾行方法や機材の使い方、クライアントやマークした人間への接触方法、そして案件解決までの実習が行われる。
実践を繰り返してプロとしてのレベルが上がっていくことで、仮免グレードが上がっていく。
そして、先生役のプロの探偵からお墨付きを貰って初めて『探偵免許証』を受け取れる仕組みとなっている。
そのグレードを上げる為にも就職先を求めて地元の探偵協会の支部へ向かったのだが、「君、本当に高校卒業した?未経験?…うーん、ゴメンけど新米探偵に求人は無いよ」と追い払われてしまった。
それならと、昔から会社を構えている探偵事務所へ何ヵ所か直接連絡をしてみたが、人は間に合っていると全て断られてしまう。
悔しかったがどこも即戦力が欲しい上に、地方都市では需要と供給のバランスからして無理だった。
そこで文は一念発起し、家族の心配を押しきってこの大都会へとやって来たのだ。
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