第6話
それからなんとか転がる様にして駅へと降り立った
「はぁっ…ようやく着いた」
うーん、と両手を上げて伸びをすると座りっぱなしで固まっていた筋肉の凝りを解す。
思ったよりも長旅は体に堪えた様だ。
加えて例の不思議な夢のせいで気分はまだぼんやりとしている。
おまけにキャスターを引っ掻けるドジもやらかしてしまい、これからの新生活、自分は大丈夫なのだろうかと少し心配にもなってきた。
とはいえ、とりあえず無事に東京へと着いたので良しとしようと気持ちを切り替えると、文は携帯を取り出した。
そして『東京に着いたよ。また色々落ち着いてから連絡するね』と家族へメッセージを送る。
すると直ぐに『了解です。気をつけて新生活楽しんで』と母親から返事が届いた。
それを確認した文は少ししんみりしそうになるのを振り切って、まずは新居に向かうのが第一だと乗り換えの為に歩き出した。
「とりあえず家に荷物置いたらコンビニに買い物に行こうかな」
そんな文の頭の中には既に引っ越しの定番である蕎麦、それも好物の海老天が乗った天婦羅蕎麦が浮かんでいた。
とはいえ昭和ではないこの現代の東京で、さすがに隣家に蕎麦を持って行く勇気はないので、ひとり新居でズルズル啜る予定である。
ちょっと寂しさも感じるとはいえ、漸く大きなスタート地点へ今、立ったのだ。
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