第4話
「!!?」
新幹線の暖かな空気と僅かな揺れにすっかり寝こけていた
衝撃的な体験は今でも忘れられるはずもなく、かといって本当はあの経験も夢だったのではないかと時々疑ってしまうほどだ。
この夢を見るといつも驚き体がビクッと動くので、案の定隣の席に座っていたサラリーマンに変な目で見られてしまった。
なんともいえない恥ずかしさを誤魔化す為にペットボトルのお茶を飲む事にする。
――またあの夢見ちゃったな。でも夢じゃなかったんだよなぁ…アレ。
小学生の頃の出来事だというのに、まるで今体験したばかりの様な感覚は、何度経験しても変わらず不思議な感覚だ。
毎回この夢を見ると驚きはするものの慣れたもので、少しすれば動揺した気持ちを落ち着けることができた。
――いや。でも、もしかしたら本当は夢で自分が勝手に現実にあったことだって妄想してるだけかも?
「いや、ナイナイ」と一人言を言いながら顔の前で手を振って、益々隣のサラリーマンから距離を取られ『しまった』と反省する。
――もう考えるの止めよ。第一、それどころじゃないし。
文は頭の中からその夢を無理矢理追い出すと気分転換に窓の外へと視線をやった。
そこには綺麗な青い空が広がりタイミング良く日本一の山である富士山が見えた。
「あっ、富士山だ」
ついまた一人言を言って、それからぼんやりと流れる景色を見つめ意識をそちらへ向けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます