夏の終わりを告げる蝉
アオヤ
第1話
秋のお彼岸の最終日、俺の足下に一匹の蝉が落ちて仰向けになった。
仰向けになった蝉は脚だけをくねくね動かし足搔いているみたいに見えた。
まだ、飛べるんじゃないか?
俺は起こしてやろうと近づいた。
でも、もう蝉は固まった様に脚をぎゅと閉じて動かなくなっている。
『もう生命は尽きたのか? 』
俺は背中を向けて立ち去ろうとしたら・・・
『ジ〜、ジ〜、ジ〜、ジ〜』って鳴きだした。
その声に共鳴するかの様に俺の周りのあちこちから蝉の鳴き声が響き渡る。
でも目の前の蝉は仰向けで硬直しているかの様になっていた。
やがて鳴き声も収まると周りの蝉も鳴き止んで一瞬の静寂に包まれる。
せめて涼しい所にと思い木の根元に運んだが、既に硬直してピクリともしなかった。
コレは蝉の自分自身に向けた賛美歌だったのだろうか?
もうじき夏も終わる。
俺も今を生きる為にジタバタ足搔いて、『俺はココに居るぞ! 』って叫び続けたいものだ。
夏の終わりを告げる蝉 アオヤ @aoyashou
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