君の雨夜の星

@kanikani_wa

人生はラクをして、手間をかけるべきである。

どんどん、ぱちぱちと花火の打ち上がる音がする。塾帰りの黒魚手鞠は、空を見上げながら歩いていた。少し先にある河川敷からは楽しげな同級生たちの声がする。すれ違う子供連れの親子は、子供の手を引いて帰路についている。この様子では、きっともうお祭りは終わってしまったのであろう。手鞠は心の中のしこりを見ないフリをして、鞄を背負い直し、家へと向かう。すると、

「あ、手鞠ちゃんだ!」

不意に後ろから彼女を呼ぶ声がして、反射的に振り返るとそこにはひとりの男がいた。へらっと笑いながら手を振る男は、軽やかな足取りで手鞠との距離をとんとんっ、と詰める。

「塾帰り?」

にひひ、と笑いながら手鞠を覗き込む彼……綴楽ラクは真夏の夕焼けを連想させるオレンジの瞳を細めながら、手鞠からの返事を待つ。

「そうです。」

手鞠は小さくため息をついてから、ぷい、とそっぽを向いた。彼女がこんなにも素っ気ない返事をしたのは、彼が転校してきた日まで遡る事となる。


それは薄い雲が空一面を覆っていた日のこと。どんよりとした空気はそろそろ雨を運んできそうだった。手鞠はいつものように、窓際の自席で静かに一限目の授業の支度を進めてる。先生がまだ来ていないからか、室内はがやがやと騒々しい。

手鞠は、時間を守らない人と騒音が苦手だ。だからあと一分で朝礼のチャイムが鳴るのに、一向に座る気配のないクラスメイトに少しモヤモヤとしたものを感じている。クラスの委員長として注意をしようと、息を吸ったその瞬間、「彼」は来た。

「こんにちはぁっ!!オレ遅刻っ?!」

大きな声と共に、勢いよく扉を開けたことで教室はしん、と静まり返った。数秒の沈黙の後、誰かの笑い声を皮切りに手鞠の教室内にはどっと笑い声の大合唱が鳴り響いた。先程よりも何倍も煩い声たちが手鞠の頭痛を誘うのは必然だった。

それが綴楽ラクと手鞠の初めての出会いだった。

別に、ラクに罪がある訳では無い。遅刻をしないように走ったという行為だけ見れば、時間に対して誠実であると手鞠は評価している。けれどあの騒音のきっかけを作ったのがラクであることは確かで、手鞠はどうしても冷たい態度を取ってしまうわけであった。その行動は、まるで拗ねてるみたいだと、多少の自覚があった手鞠は息を整えてラクに向き直る。ラクは不思議そうに手鞠を覗き込んでいる。

「あ!そうだ!手鞠ちゃん!まだお祭り屋台やってるとこあるんだ!良かったら一緒に回ろっ!オレ手鞠ちゃんと仲良くなりたいんだ!」

にぱ!と言う音が似合いそうなほどの笑顔を咲かせてラクは手鞠の手を引いていく。

「え?ちょっと……!」

たこ焼き。ヨーヨー。金魚すくい。夏祭りの王道たちは既に閉じ作業をしているようで、箱に詰められている。

「さすがにやってるとこなんて、もう無いでしょ?」

「いやいや!あるって!」

ラクはそう無邪気に言い切った。どうしてそう言い切れるのかと、手鞠は呆れつつもついて行くと、暫く進んだ先にまだ明かりのついている屋台がひとつあった。射的だ。

「へへ。こう見えてもオレは射的が得意なんだぜ?」

胸を張り、ぺろりと舌なめずりをしたラクは屋台主のおじさんにお金を払い、射的銃を持ち上げた。そしてトリガーに指をかけ静かに的を狙う。

────パンッ!

…………

……

「いや〜っ?!残念だったなぁ!兄ちゃん!」

店主のおじさんは愉快そうに大声で笑い、参加賞の飴をラクに手渡した。

「でええぇっ?!なんで?!」

折角カッコつけたのに!とラクは大袈裟なくらいに嘆く。

「なんでも何も、倒れなかったんだからしょうがねぇだろ!それともなんだ?銃が得意なのは冗談だったから、言い訳か〜?ガーッハッハッハ!」

「ぐぅ……銃が悪かったんだ!そうに違いない!」

ここ最近進路についてのことで張り詰めていた手鞠にとって、その穏やかな空間は久しくて、そしてあまりにもラクが悔しがるものだから、思わず笑ってしまった。

「ふふっ、あははっ!」

「ぐ〜!そんなに笑うなら手鞠ちゃんもやってみなよ!」

ラクは頬を膨らませて手鞠に射的銃を渡す。

「私、やったことないよ?」

「こういうのは経験だって!」

言われるがままに手鞠は射的銃を構え、狙いを定める。狙うは先程ラクが取り損ねた『家用プラネタリウム引換券』だ。流石に家用プラネタリウム本体では倒れないから引換券の紙を貼った板が代用なのだろう。しずかに深呼吸を繰り返しトリガーに指をかけた。

────パンッ!

…………ぐらり、ぐらり……

……

「残念!惜しかったなぁ!」

結局、当たりはしたが少し揺れただけで、倒れはしなかった。手鞠は残念そうに眉を下げたあと、ラクの方へ向き直す。

「無理だったみたい。」

「いやいや!当たったのがスゲーよ!手鞠ちゃん!天才か?!」

ラクは興奮した様子で手鞠の両手を包み、ブンブンと振る。失敗したのに失望をしないラクに手鞠は少し驚いたあと、また眉を下げた。

「ふふ、ありがと。」

その後すぐに、その屋台も店を畳んでしまい、気がつけば周りは既に閑散としていた。

「帰りましょうか……。」

「なは、そうだな。」

等間隔に並んだ街灯だけが、二人の足元を照らしている。

「そういえば、オレ、結構都会から来たんだけど。」

「なに……?自慢?」

「ちがうちがう!」

ラクは空を見上げ、その夕日色の瞳いっぱいに夜空を映す。

「こんなに綺麗な星空はじめて見たんだよな。」

つられて手鞠も夜空を見上げて、息を飲んだ。暫く上を向いて歩く余裕なんてなかった手鞠は地元の夜空がこんなにも美しかったこと思い出した。だからだろうか、

「もっと綺麗に見える場所、連れて行ってあげようか?」

なんて口に出してしまったのは。


手鞠がラクを連れてきたのは静かな丘だった。昼間は小学生たちが駆け回って賑やかなのだが夜が深まっていくとそこは誰の場所でも無くなり、風と草だけが踊る。

「わぁ……、特等席だ。」

「でしょ?ここの周りは家とかもないから、光が邪魔をしないの。本当は新月とかならいいんだけどね。」

「なんで?」

「ふふっ、月の光があるとね、よわい星の光は見えなくなっちゃうの。だから、5等星とかが見たい人にとっては、月は無い方が良いんだって。」

「へ〜!手鞠ちゃんって物知りなんだな。」

「そうでも無いよ。」

褒められた事が擽ったかった手鞠は、胸元で小さく手を振って否定した。

「手鞠ちゃんは星が好きなんだな。」

「う〜ん、……星っていうか、宇宙が好き。」

「ほう。もしかして宇宙人とか信じてる感じ?」

「まぁ、いたら面白いと思うけど。」

「えぇ〜!そうなんだ?」

「あんま信じてないの……?まぁいいけど……宇宙にはね、果てがあるから今の夜空があるんだって。果てがないなら、夜空はもっと星でぎちぎちで、眩しいんだって。ワクワクするよね。」

「じゃあ手鞠ちゃんは宇宙研究者になりたいのか?」

「うーん、……私、は……、実家を継がなくちゃいけないから……。」

────どうして彼に話してるんだろう。どうにもならないのに。

そう思いながら、手鞠はぽつぽつとよわい言葉たちを零していく。

「だから、他にやりたいことなんて、なにも……。」

伏せられた手鞠の目線を、ラクはなんとかあげたくて必死に言葉を探す。どこかに言葉が落ちている訳でもないのに。

周囲を見渡しているラクは不意に現れたモノに、ハッと大きく目を見開いて声を上げた。

「宇宙船だ!!」

「もう……また冗談?舌抜かれちゃうよ?」

「冗談じゃないって!今回はマジだって!」

手鞠たちの瞼にきらりと、なにかの光が当たる。こんな田舎町に大きな光なんてあっただろうか?そう思い手鞠が漸く顔を上げると、目の前にはラクの言った通り大きなUFOがあった。

「はっ……?」

呆気に取られていると、キャトルミューティレーションが手鞠とラクの体を捉えた。

「なにこれっ?!」

「うおおおお!!体が勝手に浮く!!」

ぐんぐん地上が遠のいていく。キャトルミューティレーションがいまキャンセルされたら、きっとタダでは済まないだろう。最悪の場合、命を落とすかもしれない。

上へ近づけば近づく程に光は強くなり、目も開けていられなくなっていった。ぎゅっと、目を瞑り暫く。ふわりと重力が戻ってきた感覚がした。真っ白な光に慣れてきた頃、おそるおそると目を開けると、二人の視界に飛び込んできたのは手術台だった。

「わお!よくあるやつ!」

「ちょっと!さっきあんま信じてない反応だったくせに!」

「だって見ちゃったんだから信じるしかないっしょ?」

へらへらと笑いつつもラクは周囲を警戒している。それを手鞠も察したのかラクとは反対方向を警戒する。途端、正面の扉がフォン、と開いた。そこに居たのは、皮と骨だけになった病人のような体躯に、光沢のある、鯖のような銀色の肌。腕は何本も生えていて、その中には人間の腕も混じっている。なんとも不気味な、明らかに人ではないものたちがそこに立ち塞がっていた。

「オレ、コイツらはじめて見た。」

「いや、誰でもはじめてでしょ。」

宇宙人たちは無言で二人をじっと見つめたまま、じんわりと距離をにじり寄せてくる。

「これ捕まったらやべ〜感じだよな?」

「そりゃあ、ねぇ。」

だらり、背中にまとわりつく、蒸し暑さとはまた別の嫌な汗が二人に流れた。手鞠はどこかに隙が無いかと必死に目配せをする。すると、陣形の甘い箇所が一箇所だけあった。よく見てみると宇宙人たちは奇数なのに、偶数用の隊列を組んでおり、歪だ。罠かもしれなかったが、何も足掻く事無く悲惨な目に遭わされるよりはよっぽど良いだろう。手鞠はラクの裾をくい、と少し引っ張ってから囁く。

「……、あの隙間から抜けて一旦ここを離れよう。」

ラクは手鞠の意図を察したのか、

「そうだな。」

こくりとすぐに頷いた。

「さん、にー、いちで行くよ?」

「りょ。」

ドクドクと心臓が位置を主張する。

……さん、

…にー、

いち

「今っ!」

授業の号令をかけるように手鞠が声を上げる。勢いよく走り出した手鞠とラクは糸を縫うように宇宙人たちの隙間を何とか通り抜けて、手術室を後にした。

暫く走った後、なんとか宇宙人たちを撒いた手鞠たちは適当な一室へと逃げ込んだ。そこで再びじっと息を潜めていると、扉の向こうでぺたぺたと宇宙人たちの歩く音が反響して聞こえてくる。気づかれないように呼吸を浅くして、身を丸める。どうか気付かれませんように、と祈りを込めながら。

……それから数分経った頃、漸く足元は聞こえなくなった。

「……なんだったの、アレ。」

未だ整わない呼吸と震えた指先。それを落ち着けるように深呼吸している手鞠を見て、ラクは面白いものを見たと言わんばかりに、にやりと笑った。

「楽しそ〜じゃん?」

「え……?」

「そっちのがカワイイよ。」

「冗談はやめてよ。」

「オレ、嘘つけないよ。」

────そんなこと、男の子にはじめて言われた。

そう言葉を紡ごうとした刹那、背後からぺたりと音が鳴る。振り返ると、先程の宇宙人たちの幼体らしき生き物がいた。よく見ると怪我をしているのか、腕は一本だらんと下がっている。先程の宇宙人たちの陣形が歪だったのはこの宇宙人が居なかったからかもしれない。

「キィ!」

一鳴き。

「キィ!」

二鳴き。

……遠くで共鳴しているかのような「ギィイイ!」と耳がビリビリする程の大きな声がし、たくさんの足音が此方へと迫ってくる。

「やべ!見つかっちまった!手鞠ちゃん!逃げよう!」

ぐい、と手鞠の手を掴みラクは部屋を飛び出していく。出口付近の、銃のようなものをついでに持っていきながら。

「ちょっと!手癖!」

「なはは!しゃーないじゃん!今は!」

けたけたと笑うラクにもう!としながら手鞠は必死に足を動かして走り続ける。正直に言えば、足のリーチの問題で着いていくのはかなりキツかったが、走らなければどんな目に遭うかは分からない。きっとあの手術台に乗せられ、脳内になにかを埋められるかもしれない。そんなのは御免だ。

はぁはぁ、と乱れる呼吸を見て見ぬふりをして足を動かし続ける。本当に逃げ切れるのかと不安な気持ちが手鞠の心で揺らいでいる。それ気付いたラクが、

「まー、何とかなるなる!」

と無責任に笑うから、それが妙に頼もしくて、張り詰めていた手鞠の頬も緩んだ。

「楽観的!」

「ラクだけにな〜!」

船内のT字路の差し迫った時、ラクは振り返り銃を構える。

「大丈夫なの?」

「言ったろ?射的は得意だっ!」

ぱちゅん!と空気を駆け抜ける電流のような音を鳴らして、銃から光の弾丸が放たれていく。今度は狙う的が大きいからか、祭りの時とは違ってしっかりと命中している。

「ギィ!!」

「よし!」

宇宙人は継ぎ接ぎだらけの腕を振り回しながら、金切り声をあげる。宇宙船にあった銃なだけある。きちんと効いているようだ。

狭い通路で追いかけっこをしているため、前方を走っている宇宙人の膝と思われる箇所をラクは集中的に狙う。上手く事が進んで、どさりと宇宙人たちがバランスを崩した。

「今のうちに行こう!」

ラクは手鞠の手を改めて掴み、走り出す。幾つかの角を曲がった先に、異質な扉がひとつ。

「あの扉だけなんだか雰囲気が違う!」

「入ってみるか!」

なんて軽い声を上げながら、ラクは扉に手を掛けた。そこに広がっていたのは、最初に居た手術室と雰囲気が似ている場所だった。中央には何やらレバーがあり、壁面にはシャッターがある。

「これ、開けたら帰れるんじゃない?!」

「そうだな!下げてみるか!」

ラクがレバーに手を掛け、がちゃりと下げると、シャッターが上へと開いていく。開かれていく隙間からは見慣れた原っぱが見えた。しかし、

「……でも、こんな……高さじゃ!」

100メートル程の高さだろうか。ここから戻るのはあまりにも絶望的で、不可能だ。

「ここまで……なの?」

手鞠はへたりと座り込み、首筋に伝う絶望感が肩を重くする。こんな高さから降りては、確実に人間は死んでしまうだろう。

「手鞠ちゃん、大丈夫。」

ラクは落ち着いた声色で手鞠に声をかけた。いつものような元気で明るい声色ではなく、しっとりと鼓膜に静かに溶ける声色で。

「なにが……?」

手鞠はその大丈夫が根拠の無いものなのでは無いかと思い、眉を顰める。刹那、

「オレ、実は宇宙人なんだ。」

なんて、ラクは衝撃的な事を言い放った。

「は……、?」

「だから高さのことは大丈夫。」

「えっ?宇宙じっ、でもっ、」

手鞠がラクの言葉を飲み込めず困惑していると、ラクはお構い無しに話を続ける。

「手鞠ちゃん。」

「は、はいっ。」

「手鞠ちゃんはさ。本当に実家を継ぎたいの?」

「え……、それ、は……。」

「手鞠ちゃん。自分の本音と、人生の選択から逃げちゃダメだ。敷かれたレールだけに乗ったままじゃそれは手鞠ちゃんが自分の選択から逃げてることになる。オレは手鞠ちゃんが本音を言うまで動かない。」

ラクのいつになく真剣な瞳は、手鞠を捉えて離さない。

「どうしたい?」

「私……は、」

手鞠が言い淀んでいると、ラクは空を指さした。

「なぁ、手鞠ちゃん。宇宙って広いんだ。まだまだ、宇宙人のオレだって知らないことが沢山ある。それを手鞠ちゃんは知りたくないの?」

どこまでも優しく、彼は問う。

「……知りたい。」

「じゃあ、どうしたい?」

「天文考古学のある大学に行って、宇宙の秘密を解き明かしたい!」

その宣言を聞いてラクはにっと白い歯を見せて笑う。まるでよく言った、とでも言いたげな顔で。

「よし!飛ぶぞっ!」

「ええっ!?」

ラクは手鞠の腕を引き、抱きしめて宙へと身を投げ出した。物凄い勢いの風たちが二人の頬を叩く。地面に着くまでおよそ4秒。落ち行く中で、手鞠とラクは天を見上げる。そこには、今にも零れてきそうな程に美しい星々が泳いでいた。

「わぁっ……!」

あまりにも美しすぎて、息が止まってしまいそうだ。そう思いながら手鞠が空に見蕩れていると、地面に当たる寸前のところで不思議な風がふわりと吹いた。それはまるで宙に浮かんでいるかのような感覚で、ゆっくりと布団へ寝かし付けられる赤子のように優しく原っぱに背中から着地した。宇宙船は、ラクが宇宙人である事に気付いたからか、逃げるように彼方へと消えていってしまった。宇宙船の消えた夜空はいつも通りの静けさで……今まで見ていたものは全て夢だったのではないかと思うくらいだった。

「今のって……、」

手鞠は無意識に言葉を漏らし、視線を横にずらした。するとラクとぱちりと目が合った。ラクの瞳は夕日色からもっと時が進んだ空の色……濃い紫になっていた。

「全部現実だぜ。」

「目が……、」

「ん?あ〜……力使ったからなぁ。」

にひひ、と気にしていない様子でラクは笑う。

「でもまぁ、手鞠ちゃんに正体バレちゃったし、学校にはもう行けないな。」

「えっ……?」

「なはは!友誼を結ぶために地球に来たんだけど、宇宙人ってバレちゃ、中々……難しいだろ?」

「そんなことない!ラクくんは、いい宇宙人だよ!」

「お、やっと名前で呼んでくれたなぁ。」

ラクは嬉しそうに頬を桜色に染めて、少し目を閉じる。噛み締めるように、頭の中で事実を反芻した後、また顔を綻ばせて……を何度か繰り返したあと、ラクはなにかを思いついたように目を見開いた。

「そうだ、手鞠ちゃんがオレを解き明かしてみせてよ。」

「えっ?!」

「手鞠ちゃんは宇宙のことが知りたいんだろ?で、オレは地球人と友誼を結びたい!それって最高のギブアンドテイクじゃね?」

オレって天才かも!とラクは腕を空に突き上げて、手鞠に笑いかける。手鞠は少しの間放心したあと、状況をやっと飲み込めたのかぷっと吹き出してしまった。

「ふふふっ、確かに。」

「だろ?オレは手鞠ちゃんがしたいことちゃんと出来るかを見張ってる!」

「うん、もう逃げないよ。」

こうして星空の下、宇宙人と地球人の不思議な友誼が結ばれたのであった。

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