4日目:進化する獣
四日目。久々にやらかしてしまった。昨日、私は巨人を倒して島を出るつもりだった。それがこのザマだ。左肩と脇腹の負傷。今は胸上町の宿で横になっている。
正直、想定外だった。まさか巨人が進化するとは……。
その姿は、胸から上に関しては以前とほぼ変わりない。両手から
これには私もかなり動揺した。変異生物ならともかく、機械生物でこんな話は聞いたことがない。事前に準備した手榴弾も役には立たないだろう。ここは一時退却を――そう思ったが、鉄門は固く口を閉ざしたままだった。どうやらこいつと戦う以外に道はなさそうだ。
ヘビ化した巨人は以前よりも
結局、私の取った戦術は、肉を切らせて骨を断つ。肉体の負傷と引き換えに、ヘビの腹を切断することに成功した。腹部を失った巨人は、地面に爪を突き立てながら、恐ろしい速度で逃げていった。
昨日はこうして戦いが終わり、私は胸上町へ帰還した。この町に医者がいたのは幸いだった。ここには宿も薬局もある。まさに島の心臓部のような町だと実感する。私は病院で治療を受け、しばらく安静に過ごすことに決めた。
◇
五日目。だいぶ傷が
今日は普通に動けるようになったので、町を散歩することにした。ずっと寝ていては身体がなまる。少しでも運動して感覚を取り戻さなくては……。
宿を出て胸上町を歩く。そういえばこの町には図書館があったはず。たしか地図に書いてあった。「島の歴史を知りたければ図書館を訪ねろ」と門番の老人も言っていたっけ。もしかすると、巨人について書かれた本も見つかるかもしれない。次の戦いのヒントを求め、私はそこへ向かうことにした。
図書館に行く途中、町の広場で一本の古い塔を見つけた。石造りの高い塔だ。観光名所のように見えるが、地図には載っていない。
私は興味本位で、塔の根本へと近づいた。塔の入り口の扉はぶ厚い鉄でできており、厳重にカギがかかっている。取っ手に巻きつけられた鎖と南京錠が三つ。それらが外部からの侵入を断固として拒んでいた。
ずいぶんと古い建物だ。私は扉にそっと手を触れた。すると、扉の向こうから泣き声が聞こえてきた。少女の泣き声だった。誰かが閉じ込められているのだろうか。声をかけようか悩んでいると、「助けて……誰かこれを、終わらせて……」。その言葉とともに泣き声が止んだ。扉を叩いたが返事はない。
不審に思い、近くの住民に話を聞いてみる。すると「塔には誰もいない」「そんな話は聞いたこともない」と皆口々にいう。なんだか気味の悪い展開になってきた。もう関わるのはよそう。私は諦めて、その場を立ち去った。
図書館に着くと、私はすぐさま係員に声をかけた。この島の資料はどこにあるのかを聞く。すると、特別資料室(1)に保管されているとわかった。特別資料室は(1)から(4)まであり、巨人に関する本は(4)で閲覧できるらしい。しかし現在、資料室は一般公開されていないという。島民以外は利用できないそうだ。
なんだ、話と違うじゃないか。私はガッカリしながら、館内を散策して回った。棚には■■■■以前の小説が
外へ出ると町はだいぶ暗くなっていた。来た道を戻りながら、今後の戦いに向けて作戦を考える。腹を切られて逃げ帰る巨人……。
私は確信する。おそらく次が最後の対決になるだろう。通常の戦い方ではたぶん勝てない。この巨人は私の力量をとうに越えている。もっと別のやり方で対抗しなくては……。
一瞬、DNA
しかし似たような手段を戦いに取り入れることはできるはずだ。私は今、胸上町にいる。そしてこの町には薬局がある。ということは、つまり……。
よし、そうと決まれば、明日は薬局と武器屋へ行こう。そう決心すると、私は宿へ戻り、ゆっくりと眠りについた。
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