§9 比較③ not as -- as ~~  倒置 Never V S

今回の記事は、ロシアによるウクライナ侵攻にまつわる記事だ。


KYIV--A captured Russian soldier who pleaded guilty to killing a civilian was sentenced by a Ukrainian court Monday to life in prison — the maximum — amid signs the Kremlin may, in turn, put on trial some of the fighters who surrendered at Mariupol’s steelworks.


Meanwhile, in a rare public expression of opposition to the war from the ranks of the Russian elite, a veteran Kremlin diplomat resigned and sent a scathing letter to foreign colleagues in which he said of the invasion, “Never have I been so ashamed of my country as on Feb. 24.



早速構造と訳を考えていこう。


A captured Russian soldierS (who pleaded guilty to killing a civilian) was sentencedV {by a Ukrainian court} Monday {to life in prison — the maximum —挿入} {amid signs {<that省略:同格> the KremlinS' may, in turn挿入, put on trialV' some of theO' fighters (who surrendered at Mariupol’s steelworks)}}.


https://kakuyomu.jp/users/GenArrow/news/16817330654824946346


S (←who V' ) V {by - } {to } {amid signs {(that) S' may V' O' {←who V"} }


 主語がA captured Russian soldier、その後ろを関係代名詞who が修飾して、述語がwas sentencedだね。受け身の動作の主体をby以下で示している。

A captured Russian soldierS 「捉えられたロシア兵は」


そのロシア兵がどういう人物かをwho節で説明している。

 pleadは受験参考書には「嘆願する」という意味で載っていることが多いけど、「主張する」という意味もある。plead not guiltyなら「無実を主張する」。plead guiltyで「罪を主張する」になって、日本語だと妙な感じがするけど「罪を認める」と訳せば自然だね。plead guilty to 〜で「〜に対する罪を認める」という句動詞になる。

(who pleadedV' guilty to killing a civilian) 「市民を殺した罪を認めた(ロシア兵)」


was sentencedV {by a Ukrainian court} Monday {to life in prison — the maximum —挿入}  このMondayは時を表す副詞的目的格だね。宣告の内容はlife in prison 「終身刑」だ。

 その後、ダッシュに挟まれてthe maximumとあるけど、このダッシュはカンマと同じ働きをしている。カンマで挟まれたものは挿入句だったね。この場合maximumは名詞として用いられており、終身刑がウクライナでは最高刑であることを補足説明しているんだ。

「宣告された→月曜日にウクライナの法廷で→(何を宣告されたかといえば)最高刑である終身刑と」


{amid signs {<that省略;同格のthat> the KremlinS' may, in turn逆に, put on trialV' some of theO' fighters (who surrendered at Mariupol’s steelworks)}}.


 amid 以下は、この「中で」という意味の前置詞がまとめる、長い副詞的前置詞句だ。signsを、省略された接続詞that が修飾し、同格の名詞節を作る。that節内のS'V'がthe Kremlin may put 。in turn(逆に)が、the Kremlinのあとに挿入されている。

Kremlinはロシアにある城塞のことだ。定冠詞を付けてるので、この場合いちばん有名なモスクワのクレムリンを指している。大統領府が置かれている、政治機能の中枢のことだね。アメリカのホワイトハウスみたいなものだ。ホワイトハウス、つまり白い家自体は数えきれないほどあるけど、the で限定される(「あのホワイトハウスが」と言って普通に想像される)のは、ワシントンDCにあるホワイトハウスだよね?


そのクレムリンが何をputするのかといえば、

put 人 on trialで「を裁判にかける」。

今回は人=some of the fighters(兵士の一部)以下が関係代名詞によって修飾され長くなっているので、「put on trial 人」の順番になっている。who 節でthe fighters を説明しており、「(どんな兵士かといえば)マリウポリの製鉄所で投降した」


『市民を殺した罪を認めたロシア兵は、月曜日、ウクライナ法廷に最高刑の終身刑を宣告された。クレムリンが逆に、マリウポリの製鉄所で投降した(ウクライナ)兵士の一部を裁判にかける兆候を見せる中』


Meanwhile副詞, {in a rare public expression of opposition to the war from the ranks of the Russian elite}, a veteran Kremlin diplomatS resignedV and sentV a scathing letterO to foreign colleaguesM {in which heS' saidV' of the invasion, “Never have IS" beenVpp" so ashamed原級 of my country as on Feb. 24}.


https://kakuyomu.jp/users/GenArrow/news/16817330654826474144


M, {in -}, S V and V O M {in which S' V' "Never 助 S" Vpp" so - as ~~"}


Meanwhile, in --と副詞成分が二つ続いて、主語はa veteran Kremlin diplomat。andで動詞が二つ並んで、後ろの動詞の目的語がa scathing letter。送り相手をto以下の前置詞句で説明し、in whichと来た。このwhichは関係代名詞だね。じゃあ先行詞は何かな。

安:foreign colleagues?


じゃあ、続けて後ろを読んでいくと、S'がhe(ベテラン外交官)でV'がsaidだね。

先行詞がcolleaguesであると仮定し、関係詞節を平叙文に直したら

He said of the invasion in foreign colleagues.

「彼は同僚たちの中で、侵攻について述べた。」

になるけど、直前で手紙を出したことを考えると、文脈的にどうかな


安:ちょっと変ですね。じゃあ、letterが先行詞かな?


That's right! その手紙の中で、ベテランのクレムリン外交官はウクライナ侵攻について述べていたんだね。その内容が引用符の中で語られている。


Never have I been so ashamed of my country as on Feb. 24.

この文では倒置構文と比較表現が一緒に学べる。

まず倒置について。


英文では否定語が文頭に来ると、述語と主語もおまけでひっくり返る性質がある。


Never in all my life have I been so strongly attracted to any man.

生まれてこの方、私は人に対してこれほど強く引き付けられたことはない。

Rarely does it happen that the harbor in frozen up as late as March.

3月にもなって港が氷に閉ざされるのは珍しいことだ。

Only in this way can we explain the mystery.

その神秘は、このようにしか説明のしようがない。


今回の文はもともと

I have been never so ashamed of my country as on Feb. 24.

だったものがNeverを前に出すことで、I have もひっくり返って、Never have Iになるんだ。倒置させることで、強い批判の気持ちを表明しているわけだね。


じゃあこの比較表現はどういった類のものかな?


橘:not so A as Bの原級の表現です。

そうだね。as A as B(A=B)にnotをつけると、一個目のasがsoになることがあるんだ。今回はneverの中にnotが含まれているということだね。

not so - as -パターン:

There is, perhaps, not one of our natural passions so hard to subdue as vanity.

おそらく人間の持って生まれた感情の中で虚栄心ほど抑えにくいものはあるまい。


比較構文のポイントは比較の観点と対象だったね。

この場合の観点はashamedで、「恥ずかしく思う」程度がどうかって話になる。

じゃあ対象は何かな?

花:「Never」と、「on Feb. 24」。


そのとおり。「比較対象は文法的にも意味的にも同質のもの」という原則は原級でも変わらない。どちらも副詞成分で時間を意味してるよね。neverは「これまでの人生でなかった」という意味に取れるでしょ。

じゃあneverをbeforeに変えて、接続詞asで合体する前の文を考えてみよう。


I have been ashamed before.

今まで恥を感じたことがある


I was ashamed on Feb. 24.

2月24日に恥を感じた


上と下のashamed具合が同じくらいの程度だったと仮定して、副詞as と接続詞asを使ってつなげると、重複部分は消えるから

I have been as ashamed before as (I was) on Feb. 24

この時点では

before(今まで)=on Feb. 24(2月24日)だけど

beforeをneverに変えれば右開きの不等号に変化して

今まで<on Feb. 24


I have never been so ashamed as on Feb. 24

「これまでの人生で2月24日ぐらいの恥を感じたことはなかった」

になるね。左辺にマイナスをかけたようなものだ。

さらにこれに倒置をかけて

Never have I been so ashamed of my country as on Feb. 24.

にすることで

恥の程度が

これまでの人生≪≪≪越えられない壁≪≪≪2月24日

に変化するわけ。


実際に読むときの頭の働かせ方は

「いまだかつてなかった→祖国にそれほどの恥を感じたことが→(それほどってどれほど?)2月24日に感じたような(恥)」

soも指示語の一種なので、出てすぐに「それほど」ってどれほどだよ、って突っ込む癖をつけておこう。(→§3 指示語は該当部分を常に意識する。)


『一方で、ロシアのエリート階級から出てきた戦争に対する、貴重な公の声明があり、クレムリンのベテラン外交官は辞職し、厳しく批判的な手紙を海外の同僚に送った。その手紙の中で今回の侵略について述べており、「2月24日ほど祖国を恥じた日はなかった」と。』


今回のまとめ

その一 文頭に否定語句が来ると、倒置が起こる

その二 原級の比較構文も対象と観点が重要


************************


橘:じゃあ花丸くん、今度はneverとbeautifulを使って、原級の文を作ってみて


花:I've never seen anyone as beautiful as you. (あなたほど美しい人間は見たことがない)

橘:きゅ、急になんなのよ。褒めても何も出ないわよ。

花:いや、別にあなたに言ったわけでは……

橘:(^ω^)

花:あ、はい。この世で一番美しいのはあなたです。


安:まるもん、白雪姫に出てくる鏡みたい。

綿:それじゃ美幸ちゃんが、言わせてるみたいだね。

花:実際そのとお──花丸くんはログアウトしました

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【英文解剖生理学】英語長文アレルギーの処方箋~ツンデレ少女たちと学ぶ英字新聞抄読会~ 逸真芙蘭 @GenArrow

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