§8 比較②
BANGKOK--A court in military-ruled Myanmar on Wednesday convicted a Japanese journalist of violating immigration law, adding three years to the seven-year prison sentence he was handed last week for filming an anti-government protest, a Japanese diplomat said.
Toru Kubota, a Tokyo-based documentary filmmaker, was arrested on July 30 by plainclothes police in Yangon, the country’s biggest city, after taking images and videos of a small flash protest against last year's military takeover.
He was sentenced last week to seven years for violating the electronic transactions law and three years for incitement, with the sentences to be served concurrently.
Tetsuo Kitada, deputy chief of mission of the Japanese Embassy, told The Associated Press the court heard the immigration case Wednesday and gave Kubota a three-year sentence, bringing the total time he must serve in prison to 10 years.
Since the military seized power last year, ousting the elected civilian government of Aung San Suu Kyi, it has cracked down on coverage of protests, raided media companies and detained dozens of journalists. It has revoked the media licenses of at least 12 outlets and 142 journalists have been arrested, 54 of whom remain detained.
Most of those detained are being held on the incitement charge for allegedly causing fear, spreading false news, or agitating against a government employee.
Some of the closed media outlets have continued operating without a license and many Myanmar journalists are working underground, moving from one safe house to another, hiding in remote border regions, or basing themselves in exile.
Kubota was the fifth foreign journalist detained in Myanmar after the military seized power. U.S. citizens Nathan Maung and Danny Fenster, who worked for local publications, and freelancers Robert Bociaga of Poland and Yuki Kitazumi of Japan were eventually deported before having to serve full prison sentences.
Kitada said he could not speculate on whether Kubota would be deported, but his embassy will continue to do its best for his release. Myanmar’s relations with Japan, historically close, are less strained than with Western nations, which ostracize the military government with political and economic sanctions because of its takeover and poor human rights record.
《Myanmar court hands Japanese journalist 3 more years in jail
THE ASSOCIATED PRESS
October 13, 2022 at 09:00 JST》
S (in--){on ~~}V O (of violating --), {Ving O' {to ~
『日本の外交官が伝えたところによると、水曜日、軍の支配下にあるミャンマーの裁判所が、ある日本人記者に入国管理法の違反で有罪判決を出し、反政府デモを記録した罪で先週に言い渡されていた7年の拘置刑に3年加えることとした。』
S(=A) V {on -- } {by -- } {in--(=A) } , {after Ving O'and O' (of-- (against-- )) }.
『クボタトオルは、東京を拠点に活動する映像作家なのだが、軍部による政権奪取に抗議する小さな短時間デモの画像と映像を撮ったあと、7月30日、私服警察官にヤンゴンで逮捕された。ヤンゴンというのはこの国最大の都市である。』
S V {to seven years {for ~~}and three years {for ~~} }, {with O C}
受動態の文で文型はSVとなっている。
ここでのsentenceは「を宣告する」という他動詞で、受け身の形で良く用いられる。
sentence O(人) to 刑(死刑・禁固刑など) for 罪(殺人・窃盗など罪の種類)
で「~の罪で--の刑を、Oに宣告する」
The man was sentenced to three years' imprisonment (for the crime).
男は(その犯罪で) 3 年の禁固刑を宣告された.
本文のto句とfor句もこれに該当し、seven years for violating ~ 電子取引法違反で七年、three years for incitement 扇動の罪で三年、という二つの刑と罪がandで結ばれているのが分かる。
{to seven years {for violating the electronic transactions law} and three years {for incitement}}
「電子取引法違反の罪で七年、扇動の罪で三年」
with the sentences to be served concurrently
with O Cは一般に付帯状況のwith と呼ばれる。with O CのCに入るものはVing,Vpp,形容詞、前置詞句etcとバラエティに富んでいる。
「三年と七年の禁錮刑は同時に下された」という情報を添えている。
ここで捕捉なんだけど、三年と七年の禁錮刑が言い渡されたら、何年刑務所にいないといけないか分かる?
花:え、十年じゃないんですか。
だと思うよね。でも別々の罪で刑が言い渡されたときは、単純にその年数を足すものでもないらしい。刑法の条文に書かれてある法定刑と実際に言い渡される量刑の違いがあるんだけど、詳しく知りたい人は自分で勉強してみてね。
この人の場合、先週に言い渡されていた、三年と七年の罰に相当する罪を犯して、その量刑が7年だったところ、さらに今週3年の刑が追加されたという状況だよ。
『彼は先週、電子取引法違反の罪で七年、扇動の罪で三年の刑罰を言い渡された。これらの判決文は同時に下されたものである。』
S told O [that S' V' O' and V' O' O'], {Ving O' <taht> S' V'}.
主語はTetsuo Kitadaで、,deputy ~~,と主語と同格の名詞を挟んでからの、述語はtold。目的語にThe Associated Pressが来て、その後the court heardとSVらしきものが来た。SV名詞SVとくれば、thatの省略と読んで、S told O that SV「SVであるということをOに伝える」という構造を意識する。ここでのthatはtoldの二つ目の目的語となる名詞節を導いている。(SVOOの第四文型)
that節の中はandでheardとgaveという二つの動詞が結ばれており、意味上の主語はいずれもthe court。ここでのhearは「聞く」ではなく、「審理する」という法律用語だね。gaveはKubotaとa three-year sentenceという二つの目的語を取る。
[<
「裁判所は入国管理の事例について水曜に審理し、久保田氏に三年の判決を与えたと」
カンマで区切られた後は、bringingから始まる分詞構文だ。the total time SVで、thatの省略を読み取る。今回は名詞節ではなく関係詞節でthe total timeを説明している。今回追加の判決で、最終的な禁錮刑が何年になったのかをこの分詞構文で述べている。to 10 yearsはbringing the total timeにかかっており、total time がどれくらいになったのかを示している。
{
「(結果として)彼が刑務所で服役しなければならない合計の年数は十年となった」
Sinceが時の副詞節を導いて、
以降始まるのがこの文の主節。itという指示語を目にして、その内容が何か意識する。副詞節や分詞構文の主語が「軍」だったから主節の主語もおそらくは「軍」であると予想できるし、has cracked down onという述語から、意味的にもitが政権を握っている軍のことをさしていると感じられる。
crack down onは「厳しく取り締まる」という意味を持つ句動詞だ。何を取り締まるのかといえば、coverage of protests. coverage of protestsは名詞構文(→§6)で、もともとはcover the protests「デモを報道する」だろう。ここは直訳しても大丈夫そうだけどね。
その後ろにraided media companiesという動詞と目的語らしきものが現れ、一瞬構文を読み誤ったと思っても、すぐ後ろにand detained dozens of journalistsとand VOの形が続いているのを見て、has Vpp, Vpp, and Vpp. と三つの現在完了形がandで結ばれている文だということが理解できる。
「軍事政権はデモの報道を厳しく取り締まり、報道機関を襲撃し、多くの記者を拘束してきた」
Since S' V' O', Ving O', S has Vpp O, Vpp O, and Vpp O.
『軍が昨年に政権を握ってから、アウンサンスーチーの民事政権を排除し、デモの報道を厳しく取り締まり、報道機関を襲撃し、多くの記者を拘束してきた』
Sはit。常に指示語はその内容を意識する。今回は前文の主語である軍だよね。Vがhas revoked「取り消してきた」去年から今に至るまで「取り消してきた」という時間の幅を現在完了で示している。
何を取り消してきたのかといえば、the media licenses。
It has revoked the media licenses of at least 12 outlets「軍は少なくとも12の報道機関のメディアとしての資格を剥奪してきた」
andの後ろは142 journalists have been arrestedでSVときているので、等位接続詞andにより2つの文が結ばれていると理解する。後ろの文のSVが142 journalists have been arrested「142人の記者が逮捕された」だね。
, 54 of whom remain detainedは関係代名詞の非制限用法でさらに関係詞whomがofの目的語になっているパターンだ。whomが受ける先行詞は142 journalists 。54 of whom remain detained「その内(142人の内)54人はまだ拘束され続けている」。この時主格のwhoは通常使われない。
このような関係詞の使われ方は他にも多数ある。
例
I'll lend you two books, both of which I can recommend.
(本を二冊かしてあげるが、両方とも推薦できる)
The train ran into a bus-load of children, many of whom were hert.
(列車が子供を満載したバスに衝突して、たくさんの子供がけがをした)
She brought in large quantities of food, the sight of which almost destroyed what little appetite I had left.
(彼女は大量の食べ物を持ち込んできたが、それを見ただけで私は残っていたわずかな食欲もほとんどなくなった)
『軍は少なくとも12の報道機関のメディアとしての資格を剥奪して、142人の記者が逮捕された。その内(142人の内)54人はまだ拘束され続けている』
Most of
S(←M)V {on --} (for Ving, Ving, or Ving).
主語はthose。指示代名詞は常にそれが何であるか意識すべきで、今回は前述の逮捕された記者たちを指してthose(人々)と言っている。述部はare being held
Most of
何で捕まっているのかをon以下で説明している。on the incitement charge「扇動した罪で」
じゃあ具体的にどんな罪かというと→
for以下で動名詞を並べて罪の具体的内容について説明している。Vingが三つ、等位接続詞orによって結ばれ、それぞれがforの目的語になっている。allegedlyは副詞で「伝えられるところによれば」
for {allegedly}
『拘束された人々の多くは、伝えられたところによると、不安を煽り、誤ったニュースを広め、政府役人に対する反対運動をしたとして、扇動の罪で捕まっている。』
S V and S V, V'ing, V'ing, or V'ing.
Sはsomeで、何のうちのSomeかをof the closed media outletsで説明している。outletは報道会社を示す名詞だね。have continued operatingが述部。without~~の前置詞句が副詞的にSVを修飾している。
andが結ぶのはSV。後ろのSVの主語はmany Myanmar journalist。動詞はare working。undergroundは副詞で「秘密裏に」。日本語でもアングラっていうよね。
many Myanmar
カンマを挟んでmoving--とVingの形が続いているね。その後に目を通すと、さらにVing, or Ving.とVingが連なっている。これはどういう構造かな。
安:are Ving, Ving, Ving, or Ving.で四つの進行形が結ばれているんだと思います。
なるほど。じゃあ訳はどうなるかな。
安:「ミャンマー人記者は、秘密裏に活動したり、隠れ家を転々としたり、辺境の地に隠れたり、亡命したりしている」
訳としてしっくりくる?
安:……ちょっと変かもしれないです。
じゃあ、違う構造の取り方はできそう?
花:述部がare workingで、以後のVing, Ving, or Ving.は三つの現在分詞が並んでいる。
そうなると訳は?
橘:「ミャンマー人記者は、隠れ家を転々としたり、辺境の地に隠れたり、亡命したりして、秘密裏に活動している。」
そうだね。この場合は意味的に秘密裏に活動するための手段を分詞構文Ving, Ving, or Ving.で説明していると考えたほうが自然だ。英文の構造を形態だけで判別できないときは、意味からも考える必要があるということだね。
『業務を停止した報道機関のうち一部は、ライセンスなしで活動し続けており、ミャンマー人記者は、隠れ家を転々としたり、辺境の地に隠れたり、亡命したりして、秘密裏に活動している。』
S V C (←M ) {after S' V' O'}.
『久保田氏は、軍が実権を握ってから、ミャンマーで拘束された五番目の外国人記者だった。』
U.S. citizens
S and S, ←(who --), and S and S were deported before Ving to do.
久保田氏が5人目の外国人逮捕者ということは以前に四人居たわけだけど、それの説明をしている。
主語は「米国人2人」 and 「ポーランド人1人」 and 「日本人1人」 が並べられて、述部はwere eventually
『地方紙で働いていた米国人ネイサン・マン、ダニー・フェンスターと、フリーランスのポーランド人ロバート・ボシアガと、日本人キタズミユウキは、宣告された刑罰を受け終える前に、最終的に強制送還となった。』
S V that S' V' [whether S" V"], but S V O {for --}.
『北田氏は、久保田氏が強制送還されるかどうかは予測がつかないと述べたが、(彼の所属する)大使館は久保田氏の解放のため、全力を尽くすだろう。』
S with Japan V 比較級 than with Western nations, which V' O' {with~} {because of --}.
ようやく真打ち登場。今回のテーマの比較構文だよ。
通常A than BはBよりAの程度が大きいことを表すけど、今回のようにlessが比較級に使われているとA>Bがひっくり返って、A<Bになる。不等式で負の符号がつくみたいな感じだね。
比較で大事なのは、比較の対象と観点だ。
比較の対象はwith Japanとwith Western nationsで前置詞句の比較をしている。
比較の観点はstrained「緊張している」されているかどうか。lessという不等号をひっくり返す役割のある比較級がつくことで、strained具合がwith Japan < with Western nationsであることが示されている。
「ミャンマーとの日本の関係は、歴史的に親密で、ミャンマーと西洋諸国の関係よりも、緊張していない。」
場合によってはA<Bの順番で訳すより、B>Aの順番で訳したほうがきれいに行くこともある
例「ミャンマーと西洋諸国の関係は、歴史的にミャンマーと親密な日本との関係より緊張している」
今回はそのままでもわかりにくくはないね。
,which Vという形を見て関係代名詞の非制限用法だと感じるわけだけど、この場合の先行詞は何か考える必要がある。前の名詞はrelations、Japan, Western nationsと三つあるし、文全体を修飾するwhichかもしれないからね。
形態から区別できないときは意味から考える。
political and economic sanctionsはpoliticalとeconomicがandで結ばれ、ともにsanctionsにかかる。
because ofは群前置詞で理由を説明する副詞句だ。「政権奪取と人権軽視の記録のため」
「軍事政権を排斥する。→政治的・経済的制裁を行い→(なぜ排斥するのかというと)(軍事政権がした)政権奪取と人権軽視のため」
これを踏まえて、先行詞が何か考える。
ミャンマーと歴史的に親密で関係もそれほど悪くない日本が彼らを排斥する、というのは意味的にそぐわない。
主節全体を修飾するとっても、「日本とミャンマーの関係のほうが、西洋諸国より良好」だから「軍事政権を排斥している」というのも意味的に変だよね。
だから軍事政権を排斥しているのはWestern nationsで、これがwhichの先行詞になるね。
『ミャンマーとの日本の関係は、歴史的に親密で、ミャンマーと西洋諸国の関係よりも、緊張していない。西洋諸国は、政権奪取と人権軽視を理由に、政治的・経済的制裁を行い軍事政権を排斥している。』
今回のポイント
その一 比較構文の読み方。
その二 文の構造が形態から決まらないとき、意味的に構造を確定する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます