後編 骨接ぎ屋 悪鬼を斬る


「大将~……重いぜ。」


「うな重食ったんですから手伝って下さい。」


「てか食料はちょいちょい買い出しに行けよ~……」


「仕方ないでしょ。食うのが居るんですから。」


「おぅふ。ぐうの音も出ねぇ。」


そんな事で万屋さんに食料を運ぶのを手伝わせてオイラは悠々と手ぶらでオイラの家に帰っている途中の田んぼ道。


すると別嬪さんが複数の柄の悪い男達に追い掛けられて居るのが目に見える。アレは白牙組の連中ですね。


「おっとと。どうなさいましたか?」


「ハァ、ハァ、ハァ……た、助けておくれ!アイツらに追われて……」


「そこの杖つき!その女を引き渡してもらおうか!!」


白牙組の1人が血走る目をしながらオイラに礼儀知らずというか不躾で横暴な態度でオイラに迫る。


「まぁ、まぁ。多勢に無勢ですよ。せめて理由くらいは聞かせて下さい。」


「理由?!貴様に教える義理はない!その女を引き渡さなければ斬る!!」


「そうですか……何かヤマシイ事があるから理由が言えないのですね……」


「黙れ!……」


「遅い……」


「ぎゃぁぁああッ!う、腕が!腕がッ!!」


オイラは仕込み杖を逆手で抜刀して相手の右腕の肘から先を切断すると苦悶の表情で倒れ込む。


「やろう!!」


「ふん……」


「がっ……あぁ……」


相手が刀を抜こうとした瞬間にオイラは刀を投げ付けて首元を突き刺し鮮血が湧水の様に噴射され倒れ込む。


「くっ……死ねぇ!!」


最後の相手はオイラに今、刀が無いことを勝機と思い刀を抜いて迫り来るがオイラは一寸で避けて相手の背後に回り込み鞘で後頭部に強く叩き込む。


相手が倒れ込んだ瞬間に刀を拾い逆手に持ち相手が直ぐ様に起き上がった瞬間に身体を回転させて胸に一太刀。


そして力無く……ゆっくりと倒れ込む……


オイラは刀に着いた血を振り払い鞘に納める。


「あ、アンタは……いったい……」


「いやはや。怖がらせてしまいましたか。ん?お嬢さんは昨日の?」


そのお嬢さんにオイラは見覚えがあった。雪の様に透き通る色白な肌にその二重瞼。それは昨日、オイラにブツカリ何も言わず走り出した人……


「あっ……」


お嬢さんはオイラの事を思い出したのか、ふと下を俯く。


「何か訳ありの様ですね。もし良ければオイラが力になりましょうか?」


「アンタは……?」


「ただの骨接ぎ屋です。」


「骨接ぎ屋……?」


それからオイラと万屋さんにそのお嬢さんはオイラの家で話し合う事にする。


「誰も居ないぜ大将。」


「そうですか。では、何事も心配せずに話して下さい。」


「……」


「おいおい。だんまりは無いんじゃねぇのか?このアマ。」


「万屋さん。そんな態度じゃ話せるもんも話せないですよ。」


「ちっ……」


「ささ、お茶と大福餅でもどうぞ……」


「……」


なかなか口の堅いお嬢さんで困ったものです……意地っ張りと言うか何て言うか。綺麗な顔をして心は男みたいな無愛想さ。


すると、お嬢さんは腹を空かせているのか腹の虫が鳴ってしまい恥ずかしいのか顔を真っ赤にさせて黙り込む。


「どうぞ、ご遠慮なく食べて下さい。大福餅はたくさんありますから。」


「べ、別に腹など……」


また、お嬢さんの腹の虫が鳴る。


「ささ。」


「っ~……」


すると、お嬢さんはヤケクソ気味に大福餅を手掴みでそのまま食い初めて、よほど腹を空かせてたのか3つあった大福餅をすぐに完食した。


「御代わりします?」


「うむ……もらう。」


お嬢さんはアレから大福餅の御代わりを何回かして8個ほどたいらげ、お茶をすすって本題に。


「あの……お嬢さんの名前は?」


「゙竜(りゅう)゙だ」


「お竜さんですか。」


「うむ。」


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