前編 骨接ぎ屋、十蔵
オイラは煙管をしまい裏山から降り平屋に戻り勝手口に入ると万屋さんと誰かお客が来ているようだ。
「ただいま。」
「骨接ぎの大将。客人ですよ。」
万屋さんはお茶を啜りながら水墨画を描いている。てかオイラが楽しみにしている玉露入りのお茶を何処で見付けた?
「骨接ぎ屋さん!」
「あらら?お藤ちゃん。どうしたんだい?」
「あのね!ウチのお父が急に腰が痛くなって動けなくなったの?」
「そうかい。そうかい。」
お藤ちゃんは今にも泣きそうな顔をしながらオイラに近付くとオイラは優しく頭を撫でる。
「大丈夫。今オイラがお父ちゃんを見てあげるから。万屋さん。」
「なんだい?ワッシは水墨画を描いているんですよ?」
「ちょっと荷物を運ぶのを手伝ってもらいますからね?」
「いやだから……」
「今日の晩飯はぬか漬けの雑炊に……」
「分かった!分かった!全く……」
取り敢えず万屋さんに薬草やら薬草を潰す器具やら色々と荷物を運んで貰う事にして、お藤ちゃんの家に行く。
お藤ちゃんはもう14歳。そろそろ、お嫁さんに行く年頃なんだけど、あんまりそんな話は聞かない。
それにお藤ちゃんのお父ちゃんは娘を気に入ってるからな。早々には嫁には行かせないだろうな。
お藤ちゃんの家に着くと勝手口からお邪魔させてもらう。
「骨接ぎ屋です。どうなされましたか?与吉さん。」
「あぁ~……骨接ぎ屋さん……」
「駄目ですよ。横になっていて下さい。楽な姿勢で大丈夫です。」
「すいません……ちょっと米俵を運ぼうとした時に腰の方が急に痛くなりまして……」
「そうですか。ちょっと触っても大丈夫ですか?」
「はい……」
与吉さんの腰を触ると腰が物凄く硬くなっていて、そこを押すと与吉さんは痛がる仕草をしていた。
「取り敢えずは暫くは畑仕事はしない方が良いですね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます