第7話 クソ親父と再会

 俺たちは女騎士に着いて行った。

 サンドリアの街は賑わっていた。道には露天がびっしり並んでいる。異民族がたくさんいて、いろいろな国の言葉や色や雰囲気が満ちている。


「わあ、珍しいものがいっぱいですね!」


 ミオカさんが大はしゃぎする。

 

「見てみて!これキレイですよ!」


 透明な貝殻が並んでいた。

 貝殻の中で青い炎が揺らめいている。


「本当だな……。きれいだ」


「アリババさんも美を楽しむ心があったんですね?」


 ミオカがクスクスと笑った。


「俺をなんだと思ってるんだよ……」


「ふふん。楽しいですね!」


「サイード様、遅れずに着いてきてください。離れると危険ですから」


 女騎士さんにたしなめられた。

 緊張感のないな、俺たち……。

 どうもミオカさんと一緒にいると調子が狂う。


「着きました。ここが我々の基地ベースです」


 これは、図書館だ。

 黄色い古びたレンガの建物だ。

 この世界最古の図書館らしく、崩れそうなのにどこか威厳を感じる。


「アリババさん!図書館ですよ!やったあ!」

 

 ミオカさんは手を叩いて喜んだ。

 相変わらず呑気だなあ……。


「さ、中へどうぞ」


 女騎士さんが案内してくれた。

 図書館の中はものすごく埃臭い。埃が至るところに舞っている。

 古い本のかび臭いも強烈だ。鼻がムズムズする。

 よくこんな酷いところに基地を作ったもんだ。

 

「はあ……♥ここには古い本がたくさんありますね!」


 目が♥になっている。

 さすが本職の司書さん。

 俺はここまで本を好きになれない。



 ◇◇◇


 

 俺たちは狭い書架の間を縫うように進んで行った。

 やがて、巻物が詰め込まれた大きな書架に突き当たった。


「この先に、司令官がいます」


 女騎士さんは振り返らずに、俺に話しかけた。


「司令官って誰だよ?」


「……お会いすればわかります。サイード様のよく知っているかたです」


「俺の知っている人って……?」


 俺の問いかけを無視して、女騎士さんは巻物の中へ手を突っ込んだ。

 書架が横にずれていく。後ろから狭くて暗い通路が現れた。

 女騎士さんは黙って通路を進んでいく。

 かすかに、通路の先に小さな灯りが見えた。

 俺たちが真っ暗な通路を抜けると、小さな部屋に出た。

 机と椅子。それからベッドがある。

 ベッドでひとりの男が寝ていた。


「親父??」


 寝ていたのは、隣国へ亡命したはずの親父だった。


「アリババ。よくここまできたな……。ゴホゴホ!!」


 ひどく咳き込んいる。


「おい。もしかして病気なのか?」


 言いたいことことは山ほどあったが、親父の衰弱ぶりを見て俺はつい心配してしまた。


「そうだ。俺はもう長くない」


「長くないって……。嘘だろ?」


「アリババ。俺はもうすぐ死ぬ。お前に、渡したいものがあるのだ」








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【追放魔術師の革命譚】追放された天才魔術師がヤンデレ美少女ドラゴンと世界を変える 水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴 @saikyojoker

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