最終章 贖罪
桜が咲き乱れている。
あれからどれくらいたったのだろうか。
桜飛が守を殺して、そして彼も自殺をしてしまってから。
「カスミのおばちゃん!これください!」
「はいはい。ちょっと待ってね。本当は100円だけどおまけで50円にしてあげる。」
「ホント!やったーありがと!かすみのおばちゃん!ばいばい」
「気を付けて帰りなさいよ。」
定年で教師を退職した私は、駄菓子屋を開いた。あの空き地の前にあった駄菓子屋があったところに立てた。
今はいろいろな子供たちに『カスミのおばちゃん』と呼ばれている。
「桜はやっぱりきれいだね。本当に桜飛みたいだ。ねぇ守。
本当にごめんね。昔から鈍感で二人には迷惑ばかりかけたし、二人の関係が悪くなっていることにも気づけなかった。
毎日思うんだ。あの日、私が何かに気づいていれば変わっていたんじゃないかってね。でも、くよくよしてると二人とも怒るでしょ。『お前らしくない』って
だからね、私生き続けるよ。二人の分まで。それがきっとあなたたちへの『贖罪』となると思うからね。」
目の前にある空き地の隅には半分くらいまで飲んであるラムネのビンが二つ並んでいた。
ーシュウシン 完ー
最後に
名前を覚えてもらうという行為は、その人が生き続けれる、と言われることがあります。初め走馬灯を見ていた桜飛が名前を聞けなかったのは、現実世界で誰の耳にも入っていなかったからです。しかし、カスミは忘れるはずもありません。だから彼は名前を思い出せたのです。これは現実社会でも言えることがあると思います。仮面をかぶることでしか友達の輪に入れないことや、どれだけ残酷なニュースでもその被害者の方は忘れられてしまったり、最悪の場合そのニュースですら見られないこともあります。それは、僕も同じです。でも、それでも仮面を外しありのままで喋れるような社会を目指してそんな思い出書きました
ではまたいつかどこかで。
作者 UNKNOWN
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