Stand by you 一話 君と会った日

 この話はシュウシンのアナザーストリーなような話です。シュウシンでは明かされなかったことや、伏線回収に役立ちそうな話も入っています。ぜひお楽しみください。



 2004年9月1日。僕は生まれた。生まれてすぐに僕は謎の空間に閉じ込められていた。凄く怖いところだった。外は見えるのに出ることはできない、何かに遮られているようだった。そんな空間で1人でずっと過ごしていた。


 たまに遮っている何かに大きな動物の顔が近づき、

 大声で喚いているのも見た。

「あいつらが何者か知りたいかね?」

 隣のいたやつが急に口を開いた。

 「うん、知りたい。」

 「あいつらはニンゲンと言う生き物じゃ。生き物の中で一番賢いと言ってもいいが、一番醜いとも言っていいだろう。」

 「ニンゲン?彼らはなんで僕たちを見る度にわめいているの?」

 「それはわしらがあやつらの娯楽目的に生まれているからじゃ、そしてあやつらの目に止まらなくなるとワシらは処分されてしまう。そう言う運命なんじゃ。」

 隣にいたやつはそう言うと悲しそうな顔をしていた。


 次の日、隣にいたやつは消えていた。これがいわゆるショブンというやつなのだろうか。周りにいた奴らは

 「長老がとうとう処分されたらしいよ。」

 「ここに長くいたらしいからね。」

 「私がきた時にもいたもん。まーしょうがないよね。」

 チョウロウと呼ばれていたやつは相当長い間ここにいたらしい。チョウロウは昨日話をしている時にこのことを悟っていたのだろうか?そう考えていると目の前によくわめいているニンゲンよりも大きな人間が笑顔で立っていた。


 大きなニンゲンもよく見るが、こいつはお腹もデカかった。そいつは、壁に入って行った。


 しばらくするとニンゲンの一部が僕を持ち上げようとしていた。さっき見たニンゲンの前に置かれると、僕は綺麗な袋に包まれていった。




 この袋に入って随分と長い月日がたった。これがチョウロウの言っていた処分なのか?そう思うと、

 閉ざされていた袋が空いた。僕を連れ去った大きなニンゲンは、僕を運ぶとまた仕切りのようなものに囲まれた空間に置かれた。横にはとても小さなニンゲンが泣いていた。しかも、僕の耳を噛んでいる。

 よだれまみれになった僕を見つめながら、大きなニンゲンはいった。

 「これからカスミと仲良くしてあげてね。」

 これがカスミとの出会いだった。


 これから話すのはそんな僕の思い出話だ。

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