第三章 想い出

 ー昨日の深夜、

 殺人の容疑で捜索されていた、、、ー


 いつも見ている朝のニュースのアナウンサーの声が聞こえる。駄菓子屋のおばあちゃんを殺して逃げていた犯人が捕まったらしい。


 この犯人は、逃げ回りながらも人を殺していたためが言い渡されたらしい。


 どうやら今は終身刑と無期懲役の違いについて、専門家が説明してるらしい。


 簡単に言うと無期懲役はに分類されて、期限が決まってないものらしい。


 まー世間的には、『無期懲役=終身刑』と思ってる人が多いらしい。


 ニュースに夢中で忘れていた。あの時の睡魔だ。

 僕は今何歳だ?あまり変わってないようにも思える。


 「なんだ、やっぱり記憶力が壊滅的にないだけか。でもそんな漫画みたいなことある訳ないな。」


 そう思いいつも通りに中学に行こうとしたら、自分の足は違う方へと向かった。


 長い道を歩き、ついた場所はここら辺では名の知れた高校だった。やっぱり記憶が飛んでいた。


 もう自分が自分なのかさえもわからなくなった。

 しかし、思い出そうとしても、思い出せない。むしろ、激しい頭痛がするのだ。


 自分は二重人格なんだ。そう言い聞かせ、学校に入った。


 こんなに頭のいい高校なら、馬鹿なカスミはいないだろうね、そう思ったら


 「いい加減にしなさい!」


 と聞き慣れた声がした。カスミだ。馬鹿がなんでここにいるのか?それが、不思議だった。


 「なんでお前この高校にいるの?お前じゃ入れないだろ。」


 「何言ってるの?この3年間、一緒にいたのに。中学の頃、一緒に同じ高校に行けるようにって、守と2人で色々教えてくれたじゃん。」


 聞きたくない名前が出た時にあれから3年経ったことを知った。カスミは続けた。


 「そうじゃなくて、いい加減守と仲直りしなさいよ。いつまで喧嘩してんの!もう大学受験も始まって、高校生活が終わるんだよ。今日また3人で放課後に遊ぶから、それまでにちゃんと謝りなさいよ。絶対だよ。」


 話してる感じだと守とカスミは付き合っていないみたいだ。なんだかもどかしい気持ちになった。


 意外と、授業にもついていけて安心した。四限目が終わり昼休憩の入った。


 「おい」


 なんだか懐かしげのある声だ。その持ち主はやはり守だった。


 「一緒に飯食うぞ、勘違いするな。カスミに言われただけだからな。」


 「あぁわかった。」


 素っ気ない返事とともに僕らは中庭へ向かっていった。

 

 話す内容がない。カスミが言っていたのから推測すると、僕らは3年も喋っていなかったらしい。


 「俺は謝る気はないからな。」


 案の定まだ怒っていたらしい。僕だって謝る気にはならない。でも、このままではいけないと思う自分もいた。重い口を開け僕は言った。


 「ごめんなさい。あの時黙っていて、話したら嫌われると思って。でも、そのままじゃいけないと思って、だから僕は、、、本当にごめん。」


 今まで明かさなかった自分の思いを曝け出した。守を見ると泣いていた。その泣き顔は、弱虫だった守そのものだった。


 「俺の方こそ、こ゛め゛ん゛、俺、意地を、はってたもんで、なんか、つよがってた、ほんとごめんなさい。」


 高校生とは思えないほどのギャン泣きで、少し引いたが変わりのない守とまた一緒に過ごせると思うと、嬉しかった。守は鼻の詰まった声で言った。


 「お前はまだ、カスミが好きなの?」


 「友達としか思ってないよ。」


 僕はまた嘘をついていた。


 少し時間が経つとカスミが走ってきた。仲直りしている僕らを見て安心していた。


 「じゃあ仲直りもできたことだし、あの日できなかった勉強会開きますか。私、数Ⅲの部分積分全く分かんないんだ笑。○○先生教えてください。」


 「俺もお願い。○○!」


 「しょうがないな、その代わり寝るなよ。」


 そう僕は言うと、カスミの家へ向かった。


 まあ予想していたように、カスミの出来は最悪なものだった。


 「こんなの使わないからやんなくていいじゃん!」


 「バカかお前は、次赤点だと大学行けなくなるじゃないか!」


 「大学なんて行かなくてもいいもん。」


 カスミはそんなことを言い、漫画を読み始めた。

 漫画を取り上げようとしている僕を見て、守は微笑んでいた。


 「何笑ってんだよ、守」


 「いや、こんなバカみたいな日常も走馬灯としてよぎるのかな、って考えてたら面白くて、、、」


 ソウマトウ、、、走馬灯だ!今までの変な現象は走馬灯だったのではないか?だとしたら本当の僕は死にかけていることになるけど、、、


 「もし、僕が走馬灯を見てるって言ったら守はどう思う?」


 「、、、?ナニイッテンノ?走馬灯は死にかけの時に見るって言っただろ。目の前にいるお前はピンピンじゃねえか。」


 「でも、なんかおか」


 「ちょっとストップ。私の前で、難しい話はゴホッドだよ。ゴホッド?、、、御法度だ!とにかく変な空気に鳴るのはダメ!○○も最近顔が暗いよ。前みたく笑顔になんないと。名前にある花見たいにさ!」


 名前、そうだ、名前が聞こえない理由も解明してなかった。記憶が飛ぶことに加えて名前も聞こえないし思い出せない。


 花の名前がついていることは分かった。でも、もうめんどくさい。今この時が十分楽しいから、今後考えるのをやめることにした。



 

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