第五話 お見通し

「ここが、駄菓子屋?」

 司は驚いた様子で訪ねた

「そうだよ?何か変な事でもある?」

 エリカは不思議そうに尋ねた。

 すると司は驚いていた理由を話し始めた

「いやだって、こういう田舎の駄菓子屋はボロいのがお決まりじゃないか。それなのにここは何というか神社の様に風情がある、別に悪い訳じゃないが驚いただけだ。」

 エリカは笑いながら

「司おもしろ〜い!でも私もここ以外は知らないかな。どうなんだろう気になるな見てみたい。。。」

 エリカは話終わると少し悲しそうな顔をしていた。

 この町から出た事が無いのだろうか、じゃあ今度連れて行ってやろうか

「じゃあ今度一緒に行こうぜ、連れて行ってやるよ」

「うん、、、」

 エリカは空返事だった、なんだせっかく好意で言ったのに全くなんなんだ。

 何とも言えない雰囲気だったが店の中から気品がある老人が出てきた。するとエリカは一気に明るくなってその老人に声をかけた。

「あ!菊池さん!おはよう!今日はよろしくお願いします!」

「おはよう、今日はよろしくね。エリカちゃん。」

 その老人は店と同様少し小綺麗というか気品がある方だった。そんな事を考えているとこちらの存在に気づいた老人がエリカに尋ねた。

「おや?エリカちゃん、こちらの方は?」

「あぁ、言ってなかったですよね。この人は司昨日から私の助手になったの。ほら司挨拶して。」

 司は助手という言葉に違和感を覚えながらも挨拶をした

「はじめまして、本間司です。助手かどうかはともかく、今日から手伝います。よろしくお願いします。」

(手伝うのは助手なのか?いや違う?あーもう分からん)

「はじめまして、菊池葛葉きくちくずはといいます。以後ともよしなに。」

 そう言うと葛葉さんは、エリカに喋りかけた。

「エリカちゃん貴方、人の友達なんてできたのかい?よかったねぇ」

 人の友達。。。こいつの友人は動物のみだったのか

 エリカは少し照れながら返事をした。

「友達じゃないし!こいつはただの助手ですから!」

 エリカがそう言うと葛葉さんは目を細めながらこう言った。

「エリカちゃん、私に隠し事が出来ると思うのかい?」

 エリカは何も言い返せなかったのだろうか、こう言って話を逸らした

「じゃ、じゃあそろそろ手伝いしましょうか!ね?司!」

 なんだか可哀想なのでここは同意してやることにした。

「そうだな、そろそろいい時間だし。」

 時計を見ると10時半になっていた。小学生がいつ来てもおかしくない。そろそろ手伝う内容を教えて貰わなければ。

「それで、今日は何をすればいいんですか?」

 司は葛葉に問いかけた、すると葛葉は少し考えて答えた

「難しいことはしなくていいわよ、接客と品出しくらいかしら。」

「品出しについてはエリカがわかってるわ。ねぇエリカ?」

 葛葉はエリカに尋ねた。するとエリカは

「え?あぁうん品出しでしょ任せて。」

 まるで聞いていないような感じで、寒空の下の山の山頂を眺めているだけだった。

 その様子を見て葛葉は呆れた顔をしながら司に向き直った、そして

「ごめんなさいねぇほんとに、いつもはあんな感じでは無いんだけど」

 と言った。そして司は

「大丈夫ですよ、そのうち元に戻りますよ」

 といいとびきりの社交辞令スマイルを披露した。

 葛葉は見透かしたような目で微笑み、エリカの方を向きそしてまた司を見てクスクスと笑いながら「お願いね」と言いながら店の裏へ消えて行った。

 司は不思議に思いながらも振り返るとエリカが至近距離で立っていた。

 そしてエリカは司に

「さっさと開店準備するわよ!ついて来て。」

 と言って司の腕を掴みながら開店準備を始めた。







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心の拠り所 稲荷 水澤空 @mizusawa_sora

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