第16話 バツがこの世から無くなりますように

夏休み中はずっと受験勉強しかしていなかった。

工藤からもらった手紙を初めて読んだ。

そこにはこう書いてあった。

『こんばんは、工藤春です。私のことを思ってバツを消してくれてありがとう。最後のバツが消えない理由は分かってた。多分、鍵山くんのせいだろうなって。分かってたけど言わなかった。バツを消す方法は鍵山くんか私のどちらが死なないと消えてはくれないってことも鍵山くんから聞いてたから知ってた。知らないふりしてごめんね。もっと最初から宮北くんに会いたかった。そうすれば未来は変わっていたはずなのに。最後まで相談できなくてごめんね。さよなら...工藤春より』

宮北は手紙を握りしめながら、歯を食いしばって泣くのを我慢した。

夏が終わり冬になり、宮北くんは第一志望の医学部のある大学に合格した。

雷句先生とバディを組んでから、雷句先生に憧れて医学部を目指していたから医学部に進んだのだっだ。

そして、卒業式の日を迎えて1人ずつ名前が呼ばれていく。

宮北くんも呼ばれ、一緒に卒業は出来なかったが工藤春の名前も呼ばれたのだった。

周りから工藤春の名前が呼ばれるとすすり泣く声が聞こえてきた。

卒業式が終わり、宮北には友達や後輩から一緒に写真を撮って欲しいという声がいっぱい聞こえるとともに、後輩から制服のボタンが欲しいと言われた。

学ランのボタンはほぼほぼ無くなったが、第二ボタンだけは渡したい人がいた。

工藤春の母に声をかけた。

『工藤のお母さん、これ良かったら持っていってくれませんか。本当は工藤に直接会ってあげたかったけど』

そう言って、第二ボタンをあげた。

工藤春の母は言った。

『春のために色々ありがとう。春も喜んでると思うわ』

そう言って、帰っていく工藤春の母を見て宮北は一礼した。

いつまでも見えなくなるまで、頭を下げ続けた。

そんな彼に近づいてきた人物がいた。

それが雷句先生だった。

雷句先生は流石だなと言い、背中を叩き言った。

『工藤のことが好きだから、第二ボタンを渡したのか。もしあの子が死んでなければ、思いを伝えられたのにな。本当残念すぎるよな。それから、俺らバディなんだから、次はどうする』

宮北は言った。

『バディって本当に、あなたはバディじゃないとかバディとか都合が良すぎるんですよ。次は必ずバツを無くして、誰も死なせないようにしましょう』

雷句先生は手を出して宮北に自分の手の上に手を乗せるように促した。

宮北は手をのせて、2人で言った。

『『えいえいおー』』


次のバツを消すために俺らは君のために動き出す。


(終わり)

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私の腕はバツばかりだ。 ソノハナルーナ(お休み中) @eaglet

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