第4話 アニマルズ
強盗共に拉致されどこかの倉庫に連れていかれた。
猿轡を外されようやく新鮮な空気が吸えると思ったら、異様に埃っぽくてむしろむせた。
「あらら、大丈夫ぅー?」
悪趣味な動物のマスクを被った奴らと一緒に俺を取り囲んでいたリーが素っ気なく尋ねてきた。
「最初からはめるつもりだったのか」
「いいえ。あなたを狙ったのは、あなたの妹さんがマザーに選ばれたと知ってからよ」
あの時かよ……クソ、油断した。身内がマザーに選ばれたことは口外しないようにって政府のエージェントにくちすっぱく言われたのに……クソ!
「お前らはなんなんだ?」
「儂らはレジスタンスじゃよ」
正面の椅子に座っていた豚のマスクの男が答えた。
酷くひび割れた老人の声だ。
「レジスタンス?」
「そう。儂らはこの潔癖で完璧な世界に異を唱える者。世界は不完全でなければならないという思想の下に集ったレジスタンスじゃ」
「なぜだ? 確かにこの世界は不自由だけど、それでも犯罪や戦争は確実に減ってるだろ?」
「儂らはなにも無秩序を求めているわけではない。だがしかし、機械どもの家畜になるつもりもない」
「家畜だと?」
「ああ、そうだとも。もはや人類は機械に飼われる家畜も同然だ。機械の描いたシナリオに沿って生殺の与奪を握られ、ある日突然大事な人を失う。儂らは家畜なのだ」
そういって老人は首から下げていた金色のペンダントを握りしめた。
「……俺たちは、家畜」
「我々は家畜であることを許せんのだ。家畜であることを否定するのだ。我らは真の自由を求める獣。ゆえに我らは我らをこう呼ぶ。リリース・アニマルズとな」
「それで、俺にはなにを求める?」
「無論、金だ。全てとは言わん。お前の口座の七割を――――」
「全部やる」
「……なに?」
「ちょっとあなた、なにいってるの?」
老人もリーも、いやここにいる全ての動物マスクどもが狼狽える。
俺の一言でみんなが戸惑う。いい気分だ。
「その代わり頼みがある」
「頼み、とは?」
「俺を……レジスタンスに入れてくれ」
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