第7話  ミャンマーのVIPバス

 ヤンゴンのバスターミナル行きが出発する1時間半前に、麓の町キンプンに戻ってきた。近隣にあったケンタッキーに入った。チキンが食べたいと言うよりも、きれいなトイレに行きたかった。発展途上国において、当然ながら、地元の食堂よりもファストフード店のトイレの方がクオリティは高い。

 用を済ませたあと、ケンタッキーをテイクアウトした。4100チャットでポテト、コーラ、チキンが2つ付いてきた。

 お手拭きで手足を拭いてから食した。味は日本と同じであるが、チキンのサイズが日本の2倍あり、非常にびっくりした。酷く腹が減っていたため、大変満足した。

 チキンはWINのホテル前で食べていた。スーツケースの受け取りもあったからだ。バスの予約時間は14時だった。ゆっくりとランチを食べた後、荷物を受け取り、ホテルでごみを捨てさせてもらった後、バスターミナルへ向かった。

 時間に余裕があったため食後は、バスターミナルへ向かう道にある市場をブラブラ

見ていた。水を買おうと店を覗くも、1リットルサイズしかなく、400チャットを支払った。安いが、重い。バスターミナルへの道がややこしく、結局、いろんな人に聞いて辿り着いた。やはり発展途上国へ旅する場合は、余裕を持って先へ先へと行動しなきゃダメだ。

 空地のような場所に、バスが何台か止まっていた。Googleマップにも表示されない場所だから人に聞いていかないと分からない。もちろん看板も立っていない。

 隅っこに掘っ立て小屋みたいな受付があった。さっさとバウチャーを出した受付を済ませ、バスに乗り込んだ。

 10分前じゃないとエアコンはつけないよ、と言うが、座りたかったから、OKと答え、座席に沈んだ。

 定刻、出発。このような高速バスはちゃんと定刻に発車する。

 ミャンマーという国は、思いのほか地方都市へ向かうの高速バスが発展しており、VIPバスと呼ばれる外国人観光客向けのバスの本数も多い。VIPバスのクオリティは日本と変わらないという前評判を聞いていたため、今回の旅の移動に関しては、VIPバスを多用することにし、バスはすべて日本で予約していった。予約できる英語サイトもある。

 地元の人々が利用する荷台バスは、他の発展途上国と同様、人が集まらないと発車しないから、街中の利用なら、30円程度で乗れるため利用価値はあるが、街から街への移動に関しては決して利用してはいけない。何時に到着するか分からないからだ。

 私はこの日の夜8時発の夜行バスで次の都市、パガンに行かなければならない。乗車してしばらくは爆睡していたものの、渋滞が始まってから、目が覚めてしまった。

 

 余裕を持って到着したい、という乗客の思いを汲むことができない運転手は、途中、悠長に鼻歌を歌いながら、ガソリンを入れていた。

 行きは4時間で到着したが、帰りは5時間かかり、結局アウミンガラーバスターミナルに到着したのは、18時55分だった。何とか1時間前には到着できた。

 スーツケースをゴロゴロしながら、急いで次のVIPバス会社、JJへ向かう。ミャンマー人も皆親切で、聞いたら丁寧にバス会社の場所を教えてくれた。

 19時過ぎ、バウチャーを提出してチェックインを済ませた。その後、JJ近くにある店で焼きそば??と言うような夕飯を買い、会社の目の前の椅子で食べた。今日は本当に慌ただしい1日だ。

 出発30分前に招集がかかり、バスに乗り込んだ。本当に日本のバスとクオリティは変わらない。座席はリクライニングが効いているし、何より広い。モニターが付いており、音楽、映画鑑賞が可能である。3列シートでミネラルウォーターとお菓子もついてくる。

 乗務員は、運転手1名に添乗員2名。なかなかの気配りも見せてくれる。ブランケットも要求しなくても座席に置いてあったが、やはり車内は寒い。着込んで乗車しなければならないことには変わりなかった。

 東南アジア諸国は、空間を冷やすことをおもてなしと考えている国が多い。インドネシアやマレーシアもそうだったが、ご多分に漏れず、ミャンマーもそのような思考の国だったと言うことだ。

 定刻出発。途中、トイレ休憩を何度か挟んでいたが、降りても、降りなくても良かった。運転手によっては、防犯対策の為に全員を降ろす場合もある。私は最初だけ降りて、後はずっと降りずに爆睡していた。座席クッションが心地よく、疲れ切っていた私は、いつの間にか深い眠りに落ちていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る