第二部 燦珠、牡丹を探す

第二部のあらすじ&登場人物紹介

 第二部の本編は次話から始まります。本話はあらすじ・登場人物の把握に役立てていただけますように。


《第二部「燦珠、牡丹を探す」あらすじ》

 科挙の合格者を寿ぐための祝宴で、秘華園ひかえんも華やかな演目を演じることになった。翔雲しょううんの御代で初めての科挙、秘華園が外朝がいちょうで演じる貴重な機会ということで、練習にも力が入っている。

 燦珠も、これまで知らなかった戯子やくしゃたちとの共演に、はしゃいでやる気をみなぎらせていた。霜烈そうれつ美貌の女生おとこやくらん芳絶ほうぜつの登場に喜燕きえん星晶せいしょうは穏やかでないが、燦珠は気にも留めていない。


 いっぽう、翔雲は皇宮を訪れた父興徳王こうとくおうの対応に苦慮していた。即位したばかりの息子を案じる興徳王は、翔雲が秘華園に甘いとの噂を聞いて叱りに駆けつけたのだった。興徳王は、さらに推薦する者を科挙に合格させ、その者を翔雲の妹である長公主明婉めいえんと結婚させると主張する。不正めいた強引な手腕は、翔雲が好むものではないのだが。


 当の長公主明婉は、秘華園で出会った燦珠に戯子やくしゃになりたいのだと打ち明けて彼女を仰天させていた。

 内気な妹に似合わぬ発言に、翔雲は父の無理な縁談が理由ではないかと疑い、燦珠たちに明婉の本心を聞き出すことを命じる。


 皇帝の無茶ぶりに秘華園が困惑する中、燦珠は科挙の不正疑惑に巻き込まれ、霜烈も苦しい立場に置かれる。

 複数の思惑が交錯し、陰謀の気配も漂い始める中、科挙の最終試験日が近づく──




《第二部からの登場人物》


らん芳絶ほうぜつ

 秘華園の戯子やくしゃしゅう貴妃きひ鶯佳おうかに仕えている。科挙の祝宴に向けた演目、《探秘花タンミーファ》では皇帝役を演じる。

 普段から男装しているが、髪だけは女の姿に結うのがこだわりらしい。長身と美貌に加え、歌も佇まいも花が咲き誇るような色香と華やかさに溢れ、特に声については燦珠は「良い匂いが漂ってきそう」「耳に蜜を注がれるよう」と評する。

 なぜか霜烈と親しいらしい。


興徳王こうとくおう

 翔雲の父、亡き先帝文宗の弟。優秀だったにも関わらず、長幼の序によって帝位には就けず、兄が国を傾けることを座視することしかできなかったのを根に持って、翔雲を皇帝にすべく根回ししてきた。

 当初の翔雲と同じく、秘華園の華美を嫌う謹厳な人柄だが、科挙の結果を操作しようとする、娘を政略結婚に使おうとするなど冷徹な策略家の面もある。


明婉めいえん

 興徳王の娘、翔雲の妹。称号は寧福ねいふく長公主ちょうこうしゅ。風に揺れる鈴蘭の花を思わせる儚げな可憐さの姫君。

 父と兄の薫陶もあって教養深いが、内気かつ気弱。にもかかわらず戯子やくしゃになりたいと言い出して、翔雲を困惑させるが──


とう仙娥せんが

 貴妃のひとり。教養溢れる品のある佳人で、香雪こうせつに通じる気配がある。

 ほんらいはさほど華劇ファジュを好むわけではないが、甥が科挙に臨んでいるため、その合格を寿ぐ祝宴で抱えの戯子やくしゃが活躍するのを楽しみにしている。


しゅう鶯佳おうか

 貴妃のひとり。少女というより子供と言ったほうが適当な幼さ。後宮の倣いに疎く、「偉い人」の言うことに弱い。抱えの戯子やくしゃの芳絶が霜烈を射止めた(?)ことに対してなぜか得意げ。


れい姸玉けんぎょく

 秘華園の戯子やくしゃうたが得意な花旦むすめやく。《探秘花タンミーファ》では公主役を演じる。星晶の相手役かつ芳絶の娘の役どころということでやる気に満ちている。


梅馨ばいけい

 明婉の侍女。主の願いを叶えるために奔走する。


慶煕王けいきおう淳鵬じゅんほう

 故人。先帝の第三子。国の将来を案じる理知的な人柄だったが、父帝と兄の皇太子への呪詛じゅそおよび反逆の疑いをかけられ、断罪される前に自ら死を選んだ。その妻子は叔父の興徳王によって保護されたという。

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