野口英世の母・シカの手紙については、浅学の身にて、とんと知らなかったものの、本作を読んで、シカの子どもへの愛情が如何に深かったのかが分かりました。
印象深いのは、息子と一緒にいることが『まるでおとぎの国にいるようだ』という一文。
英世は勉学の才を発揮し、様々な医学研究のために、人生の多くの時間を国外で過ごしたため、この一文の重さは計り知れない。
そして、英世の子ども時代のエピソードから、それに対するシカの想いと不断の努力。
シカにとっては、英世がどれほどの業績を積み上げ、有名になったとしても、我が子としてただただその身を案じ続けた。
シカの手紙に想いを馳せる時、いつの時代も、親の子どもに対する想いには変わらぬものがあると思わせられる一作でした。