庭に二羽鶏

あれから桃はすくすくと育ち、今日も買い物ついでにポチの散歩に町へ行きました


そうして町で晩ごはんの材料を買い、後は少しだけ散歩をして帰ろうというとき


町の門の方で大きな音が響きました


そちらに行ってみると家々は燃え、人々は倒れ伏すまるで地獄かのような状態です


そんな中で地獄で鬼が笑っています、笑って家を壊して、笑って人を殺しています


桃は…頭がカッとなりました、怒りの余り鬼たちに切りかかってしまいました


普通なら死ぬだでしょう、逃げるのもやっとです

しかし、桃は特別強い人間でした


鬼を殴り、蹴り、どんどんとなぎ倒して行きました


そうして粗方片付いて一息付こうとしたその時、桃の体が何かに押されました


ポチだ、ポチが自分を押したのだ

ポチが…自分を倒れたふりをしていた鬼から守る為に自分を庇ったのだと気づきました


ポチの綺麗な純白の毛並みは真っ赤に染まり倒れたポチはピクリとも動きません


桃は理解しました、桃は怒り狂いました

町を襲った鬼を殺した後に泣きながらポチの亡骸を持って帰りました


ポチの遺灰は風に乗り飛び去り、そして木々に花を咲かせて行きました


桃は死んでもなお木々に花を咲かせる優しさに心を打たれ、そして復讐を決意しました


鬼の本拠地である鬼ヶ島に攻め込むのです


それは桃がおじいさんとおばあさんに頼み込んだ初めての我儘でした


おじいさんとおばあさんは許可こそしたものの不安は拭えません


なので栄養満点美味しさ抜群のきび団子を沢山作り桃に持たせました


桃はかぐやに別れを告げ、鬼ヶ島へ向かいます

途中で飢えた狼に出会います、狼は言いました


「何か食べる物をくれ、そうでなければ逃げてくれもう飢えでお前を食ってしまいそうなんだ」


飢えている上で殺さぬように忠告する優しさとその純白の毛並みに桃は心打たれ、きび団子を分けてあげました


「ありがとう、何か手伝える事はあるか?あるなら私に恩返しをさせてくれ」

「なら鬼退治に付き合ってくれ、復讐したいんだ」


桃は言いました


「そうか…ならば私もこの剣で手伝おう、我が名はリュカオーン、よろしく」


そういうと狼は巣から両刃の長剣を背負って持って

来ました


そうして桃の復讐は桃と狼の二人旅になりました


そうして歩いているうちに赤い毛並みの猿が襲って来ました


猿は妖術や武術に優れていましたが桃と狼には敵わず猿を倒してしまいました


すると猿はこう言いまし


「いや〜強いな!お前達に付いて行けば面白い事になりそうだ!付いて行く!」


そうして暴れん坊の猿も仲間に加わり、鬼退治の旅は続きます


旅の途中、鴉の群れに出会いました、鴉達は桃達を見るなり何処かへ飛んで行ってしまいましたが…


何故か一羽だけじっと桃を見つめています

この変わり者の鴉はきび団子の袋を突いてきび団子を催促してきました


そして桃が上げたきび団子を一つ食べると桃の旅に着いてくるようになりました


こうして変わり者の鴉が鬼退治の旅に加わり

遂には四人旅となりました


そうして鬼ヶ島に近い港町に付きましたが…

港町はとても疲弊していました


鬼たちから物資を奪われ様々な物が足りず苦しんでいるからです


そんな港町の住人に桃は言いました


「私が鬼ヶ島に行って鬼を退治してやる!」


しかし港町の住人はこう返します


「あの鬼を倒せるものか!」


桃はそう言われると分かっていました

しかし桃には切り札があります、それは…


「この鬼の首を見ろ!私が殺した鬼の首だ!」


町を襲った鬼の首です、桃はこれを使い港町の住人を説得しようとしていたのです


「おお!それはまさしく鬼の首!船と刀を差し上げますのでどうか、どうか鬼を倒して下さい!」


鬼の首を見て住人は大喜びで鬼ヶ島へ行くための船と鬼と戦う武器をくれました


そうして貰った船で鬼ヶ島まで行く途中に嵐とともに龍が現れ船を襲いました


気高い狼は口に咥えた長剣で鱗に傷を付けました

暴れん坊の猿は妖術で龍を撹乱し、船を守りました

変わり者の鴉は祈り、祈りにより嵐が収まりました


しかしそれでも龍は退きません

鴉は強く、もっと強く祈りました


すると龍の顎の下に光が差しました

桃がその光に…逆鱗に刀を突き立てた事により


龍は手に持っていた玉を落し、去って行きました


その後、突然変わり者の鴉は桃の頭をつつき

そして別れを惜しむかの如く桃と狼と猿を見てから天に向かって飛び立ちました


そうしてなんとか鬼ヶ島に辿り着き

桃たちは鬼をどんどんと倒して行きます


そして島の最奥、鬼の首領を倒し

そしてそのまま帰ろうとします


すると気高い狼は言いました


「私は元は人だったのだ、しかし呪いにより狼にされた、故に抗えぬ食人衝動があるだから私はお前には着いていけぬ」


ならばゆく宛はあるのかと聞くと


「私は鬼達の船で故郷に帰ろうと思う」


と言いました、桃は別れを惜しみ狼を見送りました

次は猿がこう言いました


「俺は石から産まれたんだがなお陰で長く生きるわ体がやたらと強いわで色々あってな、第二の故郷に帰ろうと思う、それにリュカオーンの奴を放ってはおけんしな」


そう言うといつものようにおどけて

狼の船に無理やり乗ってしまいました


一人に戻った桃は財宝を持って家に戻り、その財宝で港町などの鬼の被害にあった町を復興しましたとさ







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昔話繋げるアレ 龍百 @ryu_100

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