第5話 アキラの旅立ち
2023年12月某日 アキラの誕生日
せっかくサイ〇リアで祝ってやろうと思ったのに
ヤツは探索者試験を受けに行った
心の中で落ちろと願ったが祈り届かず合格してしまった。
翌日、アキラが合格祝いにガ〇トの山盛りポテトを御馳走してやった(ドリンクバーは割り勘です。)
実はアキラには内緒で俺も探索者免許を取っていた
いざって時に助けに行くぐらいはできるかもしれないと思ったからだ
研修もすでに終えているので後は仲間が居れば探索できるのだが現状はソロです。
友達もアキラぐらいしか……グスン
ま、まあアキラも友達いないだろう……なんて思っていたらめっちゃ居たよ!
6人パーティーだよ!俺だけのフレンズじゃなかったのかよコンチクショー!!
アキラ曰く、6人で研修受けて6人で探索に行くんだと……。リア充めっ!!
まあ、俺の場合は二条君方式で簡単に不法侵入ができる上に40階以降も楽々攻略できちゃうから、メンバーは必要ないし探索する気もないのでこのままでいい。
そして2024年3月
卒業式
俺は千葉大の教育学部へ進学する
教師ならとりあえず職にあぶれることはないだろうという楽観的な考えで決めた
後悔はしていない!
アキラも進学を希望したが学力が足りずやむを得ず就職を選ぶが
ここでも学力が低いせいか、明らかにブラックっぽい会社しかなくて就職を諦めてアルバイトでしばらくは生計を立てるらしい
「だから言ったのに……。」
「いいんだよ!俺は探索者で世界を目指す!!」
「バイト掛け持ち探索者で目指す世界ってどこの世界だよ…ったく」
相変わらず無計画な友人と笑い合いながら無事卒業した俺達はそれぞれの道に旅立った
―――数日後―――
俺の目の前には無計画な友人が冷たくなって横たわっていた。
イレギュラーなら仕方ないと思えた
だがアキラ達は無謀な冒険をした。
1階や2階のモンスターが弱いから3階4階と階を重ねていった
徐々に強くなるモンスターを倒して5階に辿り着いた一行は
帰りの体力まで計算に入れていなかった。
5階に辿り着いた時点で体力は限界に近かった
休憩しようにも襲い掛かってくるモンスターに徐々に耐えられなくなったメンバーが1人2人と減っていった。
マッピングをしていた奴が死んでしまった為、戻る道がわからない一行は闇雲に歩き回り無駄に体力を消耗させたあげく犠牲者を1名増やしただけだった
こんな状況になって初めて友人の言葉が胸に響いた
「ゆっくり地道にやるんだぞ!」
「ゲーム感覚で行くなよ?」
「自分1人だと思うな!」
「命が賭かってるんだから気を付けろよ!」
(ああ、全然地道じゃなく慢心した)
(どこかゲーム感覚で考えていた)
(仲間の事を考えていなかった)
(命を賭けている自覚がなかった)
(すべて友人の言う通り)
(なにもできてなかった自分が情けない)
限界をとっくに超えている身体を動かしてモンスターを倒すが
また1人仲間が死んだ……。
モンスターから逃げるが道がわからない
誰かいないかと探すが誰もいない
そしてアキラは1人になった。
もう駄目だ。ここで死ぬのか?なんて言葉が頭をよぎる
襲い掛かってきたモンスターを倒して前方を見ると
ようやく昇りの階段を発見した。
5階から4階へ行くだけでも難易度はいくらかマシになる
だが簡単には行かせてもらえないようだ
階段の前には5体のモンスターが待ち構えていた。
(殺してやる!全部殺して生きて帰るんだ!!)
こちらに気づいていないモンスターの一匹を倒して次のモンスターに襲い掛かる
2匹目3匹目と倒して4匹目に斬りつける為に剣を振り上げたが
握力が限界に達し、剣が手から滑り落ちた
モンスターはその隙を見逃したりせずアキラに攻撃をしかけようとしたその時
「大丈夫かっ? いま助けるぞ!!」
ボロボロのアキラを見た通りすがりの探索者が助太刀に入ってくれる
そう思い安堵した次の瞬間
首に鋭い痛みが走る
「え? あ、あぁ痛ぇ……ごふっ」
狼のモンスターに首を噛みちぎられた。
駆けつけた探索者はモンスターを倒したあとに声をかけてくる
「おい!しっかりしろ!!」
(ああ、俺は死ぬのか……。こんな事なら探索者なんてならずにアイツの言う通り勉強しとけばよかったな。優希ごめんな……。)
アキラの意識は暗闇に沈んで消えた。
―――――――――――――――
「だから言ったのに……。」
あの時、もっと言っていれば
『いいんだよ!俺は探索者で世界を目指す!!』
俺も一緒に行っていればと後悔が押し寄せる
「目指した世界が死後の世界とか笑えねぇよ馬鹿野郎………」
天国に旅立った友を見つめながら
俺は静かに涙を流し続けた。
戦いに疲れた勇者の帰還 ヤマゴロウ @yamagorou
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