第4話 試験開始
2023年3月某日
いよいよ探索免許試験が始まる。
予想通り試験予約は連日満員で他府県からも試験予約が殺到した
千葉県では県内在住者から優先的に試験を受けさせると発表し、他府県民に間接的にキャンセルを促したが思うような成果はでなかった。
その頃、俺たちの学校では4月や5月で18歳になるだとかの話題で盛り上がっていたのだが
アキラは悔しそうに歯を食いしばり4月生まれの奴を呪い殺しそうな目で見ていた。
(誕生日が12月だから18歳まで9ヵ月もあるしな……。耐えるんだアキラ!)
ちなみに俺は6月だが免許を取りに行く気は全くない
「アキラ!探索者試験の勉強もいいが学校の勉強もちゃんとしろよ。二条君みたいに政府公認ならまだしも一般の探索者じゃ給料はでないぞ。」
「え? マジで?」
(え? マジかこいつ!?)
「いやいやいや、誰が給料出すんだよ……。土日だけの探索ならともかく探索者メインとか馬鹿か金持ちしかやらねーよ!」
「いや、俺の実力ならきっと……」
「お前の戦闘力いまのところ5(ゴミ)ぐらいだろ。」
「10はあると思う!!」
「目クソ鼻クソだな……。」
「じゃあ15でどうだ!」
「勝手にあげるなよレベル1!」
(探索者になってからの心配というよりアキラの頭の方が心配だ……。)
探索者試験は順調とは言い難いが行われ、初日の合格率は62%という結果に終わった。
合格した者は免許が発行されるが、すぐにダンジョン探索というわけではない
最低2回以上の研修が必要で自衛隊員に従いダンジョンの1階と2階を探索するらしい、その際に不適格と判断された者は最悪免許取り消しもありえるそうだ。
実際に取り消しになって猛抗議していた者がいたという動画が一時期出回っていたそうな……南無。
まあ試験に関しては上手く回ってはいないが、調整されながらいずれは上手く回ることだろう。
自衛隊と二条君の調査の方は39階層まで進んでいるとの情報が1ヵ月前
そしてまだ39階層で足止めを食らっているらしい
その最たる原因はゴーレムの出現だ!
ゴーレムは岩で出来たモンスターで弱点としては胸についているコアを破壊するだけ
だが自衛隊の主武装は銃で二条君は刀を使うらしいのだがゴーレム相手では抜群に相性が悪い
腕ごと斬れれば問題ないが、まだその領域に達していない二条君はコアをピンポイントで狙うしかなくなる。
自衛隊も同じで岩を貫通するほどの銃を持ち歩けないのでコアのピンポイント攻撃が必須となる。
上記の理由で倒すまでに相当時間がかかる上に39階のボスがゴーレム上位種の可能性もある為、無謀な挑戦ができないのだ。
(レベルが上がるまで39階で頑張って下さい!)
そしてまたまた時が進み2023年6月某日
俺の18歳の誕生日は家族揃ってジョナ〇ンでのディナーでした……。
別にジョナ〇ンが悪いとは言ってないよ? 勘違いしないでね!
そしてまたまたまた時が進み2023年10月某日
39階層で足止めを食らっていた自衛隊&二条君チームから犠牲者が1名出てしまった。
39階層のボスに挑んでみたら予想通りゴーレムの上位種だった
ここまでは想定通りに事が運んでいると思っていた自衛隊&二条君チームだったのだが、普通のゴーレムを倒せるといっても所詮は岩、だが上位種は胸のコアも鉄でできたアイアンゴーレムだったのだ。
そうなると刀が武器の二条君は戦力外通告を受ける
斬鉄剣ならともかく二条君の実力では鉄は斬れないので自衛隊の銃火器が主力となったが鉄に鉄を当てても傷は浅い
地道にダメージを重ねていたが長時間の戦闘で疲労が溜まった自衛隊員の一人が、ゴーレムの攻撃を避けきれず直撃し即死
そのあとは地道なダメージの蓄積で無事討伐完了
そしてここでさらに問題が発生
アイアンゴーレムがドロップした物がアイアンインゴットだったのだ
当然、これは資源になるということで調査が開始された
自衛隊員が一名殉職した事も忘れ、アイアンゴーレムの沸き時間や
アイアンゴーレム用の武器の開発が進められた結果
安定してインゴットの確保ができるようになると世間はまたダンジョン熱に浮かされた
(悪い流れだな。人が1人死んでいるのに資源が重要か……。人が腐っているのか、この国が腐っているのかどっちなんだろうな?)
俺の想いはきっと誰にも届かない
届いているのは殉職してしまった名前も知らない自衛隊員だけだろう。
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