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彼女が結婚した。
こんな風に過去を振り返って綴っている最中、たまたま知ったことだった。
SNSの名前が変わっていた。
古い考え方かもしれないが、いつか一緒の籍に入り、同じ名字を持ちたい、そう思っていた。
でもそこには僕の知らない彼女の名前があった。
別れてから数年。もう10年近く経った。
僕がこんな風に堕落していく中、彼女はどんな風に生きてきたのだろう。
友達と同居したり、仕事を変えたり、そんな近況を聞いたことはあった。
でも誰と出会って、付き合って、もしくは別れて、そういったことは全く耳に入ったことがなかった。
別れてからも、僕の頭の片隅には常に彼女がいた。むしろ中心にいたかもしれない。
時折思い出しては(といっても毎日1度は考えた)、過去の自分の浅はかさと未熟さを悔い、その後悔から逃げるために堕落した生活に溺れる、そんな毎日だった。
彼女は今の相手と付き合うとき、結婚を決めたとき、ほんの少しでも僕のことを思い出してくれただろうか。
絶対にそんなことはないのは分かっている。
最低だった僕とのことなんて、早く忘れ去りたい過去だろう。その域にすら達していないかもしれない。
僕は誰かと出会ったり、付き合ったり、行き場のない気持ちを紛らわすためだけに寝たり、別れたり、そんなことをする度に彼女のことを思った。
どんな相手に出会ったときも、彼女を越えられないと思った。
僕と同い年で今年30歳になるから、そろそろ結婚してても全然おかしくない歳であった。
いつかこの日が来ることも薄々わかっていた。
それでも、何かがきっかけで彼女と再会したり、思い出話をしたりもしたい。
その時は過去のことを全て謝りたい。
そしたら、もしかしたら、一緒になる望みもまだ1%ぐらいはまだ残っているかもしれない。
そんなわけがないのに、そうどこかで期待していた。
そしてそれは全て打ち砕かれた。
というよりも、現実を突きつけられ、我に返った。
そんな甘いわけがなかった。
過去に自分が犯した過ちも、今の廃れた生活も、なるべくして招いた結末がこれだった。
もう努力でどうにもならない、ドラマのように過去に戻りでもしなければ変えようのない現実がそこにはあった。
思ってたいたより悲しくはなかった。
悔しくもなかった。
ただ残念で、認めたくなかった。
この世で1番大好きな唯一の人が結婚してしまった。
心に決して埋まらない穴が空いた。
この思いはきっと同じだけの痛みを経験した人にしかわからない。
それでも1人で考えていると、心が崩壊しそうになる。
おめでとう、幸せになってね。
そう言いたいけれど、まだ心から伝えることはできない。
彼女と歩んでいたかもしれない人生を捨てきれない。
いつか会ったときには笑顔で話せるだろうか。
結婚したんだね、幸せそうでよかった、そう言いながら、昔を懐かしんで思い出話ができるだろうか。
こんな行き場のない気持ちも、いつか笑って話せる日が訪れるはず。
その希望、期待だけが、今の僕を生かす唯一のものになった。
ヤングアダルト @syouta65happy
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