第55話「夜の襲撃」

…外では色々な音が聞こえる


店の音、歩く音、そして自分らの音。フリージアンに連れられて食事ができる場所へと向かう


フリージアンは既にフードを被っていつもの口調に戻っていた。フードをかぶるとこの口調になるのだろう


「ここはですね。美味しい店が多いのでどこ行っても外れはありませんよ」


「そうか。どこがいいかなあ」


環はウロウロして言う


「私結構ジャンクなもん好きだからラーメンとかいいわね」


「あら?私は悪魔だから美味しい肉が好きよ?」


「あ、アタシはあのー…なんでもいいです」


「わたしはしっかりしたもの食べたい!」


うーん。同意見がいないな


「ラーメン?肉?なんでもいい?しっかりしたもの?ならちょうどいいですね」


フリージアンはてくてくと歩き、案内をする


そこは何か変わった店であり、どこか異国の地のような看板をしていた


「…なんだここ」


「異国の地の店です。大丈夫です怪しいところはありませんよ」


そこの店に入り、店員に案内されると座る


「…で、そのしっかりしたものって?」


ルーザが言うとフリージアンは言う


「ジャージャー麺っていうのです。これなら肉もいっぱいあってラーメンですししっかりと食べれますよ」


「わたし聞いたことない。でも美味しそう」


そう言って注文をする。どんな麺だ?


「ジャージャー麺…」


「どうしたの環?」


環はマイルフィックの声で反応する


「私、どこかで聞いたことある食べ物だとわかったんだ」


「ふーん?」


よくわからない言い方だ


ちょっと経つとそのジャージャー麺という麺が来る


肉のようなものがあり、麺はしっかりしていてネギやおまけに塊の肉もある、なんか凄いものだった


「これがしっかり食べられるものか…」


「はい。いただきます」


全員がジャージャー麺を食べる。美味しい。肉と麺が絡み合い、その美味しさを引き立てている


「え!美味しいじゃない!」


ルーザは感動する


「あら…ずいぶんと肉があっていいわね」


マイルフィックはよく感じる


「アタシ熱いの苦手ですが…これならいけそうです」


キリアは美味しくいただく


「わあ美味しいよこれ。普通の食事と同じぐらい美味しい」


フランはどんどん食べる


「良かった。皆さん食べてくれて…おや?環さん?」


環は少々落ち着いて食べていた。その表情はあまり変わらない


「美味しく…ないのですか?」


「ん?ううん。懐かしい味だと思っただけ」


…どういう意味だ?


「私、死んだ場所が病院で、死んだ後この世界に来たんだ。だからこういうの食うとどこか懐かしい気分だ」


病院?死んだ後この世界に?


「そういえば環、崩壊した村の大木の横で眠ってたものね…」


「じゃあ、元いた世界があった。とでも?」


ルーザとマイルフィックは言う


「そうかもしれない」


…よくわからないことがあるものだ


「そうですか。でも…きっと、神様が環さんを選んでここに来たんですから。大丈夫ですよ」


「…だな」


ちょっとしんみりした話となってしまったが、それでも全員は完食をした



「よく食べました。さあ戻りましょう」


店を出て、すっかり夜になったこの世界


環の気になる言葉があったがまあいい。きっと大丈夫だろう。そう思った


「わー!血漿族だああ!!」


…はっ!


血漿族が襲撃!?その言葉で全員が身構える


「血漿族…ずいぶんと空気が読めないクリーチャーですね!」


「行こうみんな。止められるのは私たちだ!」


そう言って環たちはクリーチャーが出たというところまで行く


クリーチャーが来たのはどうもさっき通った門の別の門。閉じて無かったのが原因だろう


そこに着くとたくさんの血漿族がいた。だが既に慣れた環たちは迎撃準備をする


「よし!じゃあ私がメイルシュトロームで…」


バサッ。フリージアンはフードを脱いだ。そしてまた口調が変わる


「アタシはここを守るの。血漿族…全員を凍らせてあげるわ!!」


既に準備した杖で氷魔法を唱える


「ブリザードタイフーン!」


ばああああ!!クリーチャーに向けてその氷が襲ってくる。クリーチャーはその魔法を直でくらい、動きが止まる


一部のクリーチャーは行動不能となりそのまま撃沈。残りのクリーチャーも行動不能のまま突っ立ってるままだった


「今よみんな!後のクリーチャーを倒して!」


「サンキューフリージアン!」


環たちは一斉に攻撃する


「ウォーターソード!」


手に水の剣を出して一気に切り裂く!


「良い的じゃない!」


銃でどんどん撃ち抜くルーザ


「ふふふ。これは良い…ニュークリアバースト!」


ぼおおおん!!爆破呪文で一気に血漿族を吹き飛ばす


「なるほどこれはいいですね…!えい!」


キリアの糸が数体の血漿族を糸で切り裂く。あっという間に首と胴体が外れた


「わたしの毒拳がうまくできるね!」


ずぼっ!ある程度のクリーチャーを貫通させる。毒でやられるクリーチャー


環たちの活躍でたくさんのクリーチャーが全て全滅。これで終わりかと思ったら…


「な!ボスっぽい血漿族いるぞ!」


そのクリーチャーは動物に近い姿で筋肉があり手を地に付けて尻尾もあった。これはゴリラに近い血漿族だろう


「わたしに任せて!」


フランは突進する。まずはゴリラの血漿族の攻撃を回避した


「おっと危ないね!」


「フラン無理するな!」


しかしその言葉でフリージアンがすぐに氷のつぶてを血漿族に投げる!


「があああ!!」


「チャンスよフラン!」


「ありがと!ええい!!」


フランは血漿族の頭を一気に貫通させた!そのゴリラっぽい血漿族は撃沈。終わった


「やったわね!フラン!」


フリージアンは喜ぶ。しかしフランはすぐに環の方向に向く


「環お姉さん!多分どこかに地帯があるはずだよ!」


「わかった!」


環はすぐに門の外に出た。そこにあった。地帯が


「これか…」


環はすっと地帯を手に当てて、浄化をした


ぱぁぁぁ…


まさかこんな近い場所に地帯があったとは。もう血の匂いもしない、ただの平地となる


「こういう地帯っていうのはどういう経歴で作られるんだろうな」



「…犠牲者は誰もいなくてよかったわ」


「けが人なしなだけ幸いでもあったな」


環たちがすぐに行動したため誰ひとりかけることなく無事に戦闘が終わった


兵士たちが来て、環のほうに来た


「ありがとうございます。皆さん」


「いいのさ。これは奇襲に近い…そんな襲撃だな」


ふう…今日はたくさん動いた。おそらく明日も地帯の浄化があるだろう


「これからは門は閉じておきます。また襲撃されるとまずいので」


「そうしてほしいわ。いくらアタシらでもいないときはどうしようもないし」


フードを脱いだフリージアンが言う


本当に襲撃とは困るものだ。しかしああやって近くに地帯があるのはなぜだろう?


もしかしたら誰か地帯を作る張本人がいるのだろうか?疑問は尽きないものだ



続く





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閃光浄化神聖拳~私の拳でこの世界を浄化しに行くわ!~ 緑樹ユグ @yugu1120

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