さようなら

 私は考えた。あの子たちをどうすれば解放できるか、私が求めるもののために、あいつらを見殺しにするべきか。


 私は魔女と言われていた昔の自分と、この世界で生まれ変わった新しい自分との間で、揺れ動いていた。何もわからない。考えられない。


 それだけを考えていた。その夜。私は、気づいたらあの部屋にいた。


 あの世界にいた新しい自分ではない。どうして?考える必要もなく、目に飛び込んできたものが答えだった。


 私は、彼女と友達に。あの世界で、もっとも愛していた子たちに殺されていた。だから、こっちに戻された。どうして?を、何度も頭の中で繰り返す。


 あの子たちは、空を睨んでいた。あの子たちだけでない。私を拾い育てた人も、私に戦うことを教えてくれたあの人も、街の人も。みんな、空を見ていた。その中心に、魔女がいた。


 化け物はそこにいなかったけど、でも、あの笑顔がどこかにあるように思えた。


 そして、みんなは口を揃えてこう言った。


(あの空を壊せ、あの先にいる、私たちを生み出した創造主を殺せ。)


 私は、またかと思った。それだけだった。


 すぐにあの子たちは、空を飛んでこっちにやってきた。方法はわからない。ただ、純粋な殺意で私を見ていた。


 …こっちの世界にやってきた彼女たちは、すぐに無数の駒となって、床に転がった。


 ころん、ころんと可愛らしい音とともに、血に濡れて、どす黒い駒がどんどん溢れてきた。


 もう、面倒だった。盤を叩き割って、そこに捨てた。


 それからは、いつもの生活。友達を探して、あの人の言う通りに好きにした。


 私いつでも、あの人の手のひらの上で踊るのが好きだったから。

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私の箱庭 鈴音 @mesolem

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