第4話 奈良へ古代へ中国へ! 平城宮跡歴史公園のイベントが熱かった!後編

 今回は、2022年3月25日(土)26日(日)に平城宮跡歴史公園で開かれた、天平文化を体感できるイベント「平城のとよほき」に行ってきた訪問記の第2回です。


 1500円で売っていた古代食のお弁当の中身です!


「黒米と赤米の俵飯」……古代米を使ったおにぎりです。お土産物売り場で「古代三色米」というのが売られていて(赤と黒に緑が加わっています)、そのパッケージによると「古代米とは、稲の原種である野性稲の特徴を継いでいるお米」だそうです。黒に近い色のお米が混じったものと、赤色のお米が混じったものがありました。もちもちっとした食感だと思いました。


加母かもきたい」……「加母」は(母は正確には点々ではなく縦棒でした)口に入れたところ鴨肉でした。腊という字は干し肉を指すのだそうです。


「鮭と佐米さめ楚割りすわやり」……楚割りすわやり」はコトバンクで見ると魚の干したものを指すようですね。鮭はお味が濃厚でした! 佐米さめは鮫のことだろうと思いますが……。どこかで鮫はそのままではアンモニア臭が強いと聞いたのですが、さっぱりとした白身の味わいでしたよ!


「古代チーズ」……「蘇」として別売りされているものと同じでした。これについてはこの記事の最後のお土産編で触れたいと思います。


年魚あゆ煮」……鰹節で調味されていたようでその味の方が強かったです。


「干し多古たこ」……見るからに蛸を乾燥させたものでしたw 蛸は現代日本でも身近な食材ですが、干した状態で食べることはないですからなかなかの珍味でした。薄くスライスした状態でもしっかり噛み応えありましたね。


須々保利すずはりづけ漬け」……味噌漬けと奈良漬の間のような感じでした。発酵食品、という趣が強かったですw


餢飳ぶとと索餅の唐菓子」……お菓子です。餢飳ぶとは米粉の衣に餡を詰め油で焼いたものだそうです。餡といってもあまり甘々ではなくほんのりしたもので、素朴な味わいでした。索餅は、穀物の粉を練ってひも状にして軽く揚げているもののようでした。


 実は鷲生は平安ファンタジー小説を書いており、そのなかで登場人物が都の市場でお菓子を買い食いするという場面が出てきます。その時に古代スイーツを軽く調べて「索餅」を見つけ、小説でも「索餅」をイメージして書きました。今回その実物が食べられて良かったです!

(なお、その平安ファンタジー小説はコチラです→「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」 https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393 )


「干し柿と甘子みかん」はそのままです。


 食事の後、次の展示が始まるまでに「天平フェイスペインティング」をしてもらいました。

「天平フェイスペインティング」とは、アレです、花鈿かでん(花子)や靨鈿ようでんのことです。

 奈良時代や古代中国の女性の額に花模様が描かれているのを見たことがある方も多いかと思いますが、それが「花鈿」です。

 頬の「えくぼ」にも塗るのが「靨鈿」です。


 ブースのお姉さんにステンシルで描いて貰いました!

 花鈿は思ってたよりやや下の方、眉間に近いという感じです(私のおでこが広いせいかもしれないですw)。


 普段のメイクもそうだと思いますが。

 メイクした自分の顔って鏡でもなければ自分で見ることはありません。ですが、「自分は今メイクをして外に出ている!」という高揚感ってありますよね。

 花鈿を靨鈿してもらった私も、「今の私は天平のお姫様!」というハイな気分でウキウキ歩き回っておりましたw

 あんまり楽しかったので、近鉄電車に乗って京都の自宅に戻るまでずっとつけたまんまでしたw

(そして夕食を待ち合わせた家族に「おでこに何かついてるよ」と言われてしまいました。家族で文系なの私だけなのでこういう話ができなくてつまんないですw)。


 その後は古代のスイーツを研究していらっしゃる方の講演会でした。

 A4の紙をホチキスでとめた、いかにもな「レジュメ」が配られ、大学時代を思い出しましたw


 もちろん真面目な内容で、それぞれのスイーツについて、古代の文献で該当する箇所が挙げられています。

 それらと別の史資料や現代に伝来してる古いお菓子などを参考に、奈良時代の菓餅をこうやって現代でも食べられる「古代スイーツ」としていますというご説明でした。


 へえと思ったのは、「あまづら」です。

 平安時代でも貴族の甘味料として「甘葛」というものがあったとは、私もどこかで聞きかじったことはあるのですが。私はその植物自体が凄く珍しいものなのかと思っておりました。ところが、その辺で見かける蔦から取れるもののようです。へえ!


 あと芥川龍之介「芋粥」で出てくるのはのは「あまづら風みせん」と山芋とで作ったものなのだそうで、すると甘かったんですね。私、なんとなくお芋さんの入ったお味噌汁的な物を想像してましたw


 この古代スイーツ。講演会で取り上げたスイーツを詰め合わせたボックスが専用の売り場にあったんだそうです。

 ところが、私はそれに気づかず、この講演会のオマケについてくる小さな容器がそれなのかと思ってました。

 結局、買わずに帰宅してしまい、とても心残りです。

 次回似たような催しがあったら、絶対に食べます!


 イベントとは関係なく常設のお土産物売り場もあります。

「古墳クッション」とかがあって可愛かったですよ!

 私は今、四神(玄武・青龍・朱雀・白虎)が出てくる中華ファンタジーを書いているので、高松塚古墳関係のグッズを買いました。

 クリアファイルと絵葉書セットです。机周りに飾っておくので執筆がはかどるとエエなあーと思いますw

 古代米の袋詰めも買いました。売り場の説明では普通のお米に混ぜて炊けるようなことが書いてあったと思いますが、詳しくは包装パックの中なので近日中に開けてみます。


 帰宅してからは、お土産に買った「蘇」を家族で分けて食べました。

 牛乳を煮詰めて出来た固形物です。

 古代のチーズと言われるので、どんな味か少し戦々恐々でした。だって、チーズってクセが強いものはとことん強いじゃないですか。だから身構えていたんですw

 食べてみた感想は……別に発酵はさせていないので優しく柔らかなお味です。ほんのり甘いといえば甘いかな……という感じ。

 現代社会の様々に刺激の強い食べ物に慣れてしまった味覚では、無味無臭でもそもそとした食感ということになってしまうかも。


 ただ、私は、私が子供の頃に、古代の「蘇」を現代に再現したというニュースをテレビで目にして印象に残っていたものの、機会が無くてこの年齢まで食べずにきたままでした(私は結構なオバハンですw)。

 長いこと気になっていたものを実際に口に出来て感慨深いです!


 平城宮跡歴史公園への行きと帰りは近鉄の大和西大寺から歩きました。

 大和西大寺から東南に向かうと奈良文化財研究所という古代史では大変有名で格が高い研究所があります(なんか建物を見ただけで「おお、これが奈文研!」と有難い気になりますw)。

 その研究所から道を挟むと平城宮跡歴史公園の敷地です。草原の向こうに朱雀門が見えるのでそこまでテクテク歩きます。


 古代の史跡を歩くという意味では味わい深い体験ですが……片道20~25分です。平城宮跡歴史公園の中をあちこち見て回るなら、体力が持たないかもしれません。出来れば駅からバスを使うなり、レンタサイクルなりの方いいんじゃないかと思いますよ。


「平城宮跡歴史公園 自転車」で検索すると、平城宮跡歴史公園のウェブサイトに、レンタサイクルをおススメするページがありました。https://www.heijo-park.jp/information/access/rent_cycle/ そこには「平城宮跡歴史公園は約122ha。その広さはUSJの約2.5倍という広大な空間です。園内は高低差もないため、点在する建造物めぐりにはレンタサイクルが便利です」とあります。いくたびに疲れると思ったら……そんだけ広かったら当然だったんですねw


 平城宮跡歴史公園には、復元された遣唐使船があって乗り込めたりします。

(現在の施設の前身となる博物館時代に、乗りに行ったことあります)。

 また、宴会や儀式に使われた庭園の展示もあります。

 なんといっても、見渡す限り視界に現代の建物がない中で、奈良時代の色彩そのままに復元されている建物を眺めていると、本当にタイムスリップしたかのような気になれます。


 ダイナミックに古代が味わえる、歴史好きなら一度は訪問したい歴史公園だと思いますよ!


(※なお……。この私の文章を読みながら「あれ? 大和西大寺駅ってどこかで聞いたことがある」とお思いの方、ええ、元首相暗殺事件のあった駅です。現場はバスロータリーとして整備中です。駅の階段で立ち止まって指をさしてみている人たちが何組かいらっしゃいました。別の意味で有名な場所になってしまいましたね……)。


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