第4話 ママってすごいね

「赤ちゃんはね、はだかポンポンで産まれてくるんだよ。なにも持ってないよ、知っているよ…」


 そうだ!そうだよ!

 赤ちゃんはほにゅうびんもおしゃぶりもオムツだって持たずに産まれてくるのに、ママのなぞなぞのこたえはもう持っているんだよね。


あれ!

あ…! そうか!


赤ちゃんももっているたったひとつの大事な大事なもの…。

ぼくだって赤ちゃんのそれがなくなったら、きっとすっごく悲しくなるもの。


みーんな、ぼくもミミズもアメンボもあとなんだっけ、いつだって持っていてあげられないもの。


「ママ、それっておじいちゃんの家の猫のモモちゃんは持っているでしょ」

「うん!持っているよ」

 

「犬のリキは持ってないよね」

「うん、そうだね、少し前までは持っていたけれど…」

「リキかわいかったけれど、この前お病気で死んじゃったよね…」

 悲しかったな…。あとでリキのお写真をおじいちゃんからもらったんだ。

「わかったかな?」

「うん! 大事なもの、大切なもの、ぼくも赤ちゃんもママとパパからもらったものってさ…」

 まわりのこどもたちが見ているよ、みんなももうわかっているのかな…?


「いのち! いのちだよ!」


 ぼくはママの目をみながら大きい声で言ったんだ。

「そう、だいせいかーい!ピンポンピンポーン!」

 ママはりょうてでぼくのほっぺをなでるとそのあとギュってだきしめてくれた。

 

「よくわかったね、さすがたっちゃん!」

「でもね、やっぱり赤ちゃんが持っているっていうのがだいだいだーいヒントだったよ…」

「そうなの?」


 ママは大きなおなかをまたまたなでながらきいてきた。

「赤ちゃん大事だし、まだ何ももってないしね、いのちのほかにはさ…」

「うん…」

 ママは大事そうにおなかをながめている。


「でもママ…」

「なーに?」

「ママってすごいね!」

 ぼくはちょっと大きな声で言ってみた。だってママに言いたかったからね。


 ママも他のおかあさんたちも少しビックリしてぼくを見た。

「なんで?」

「だってママさ…」


 ぼくはおおきなおなかを、赤ちゃんがいるおなかをなでながら言った。


「いのち…、いのちさ…、産んじゃうんだもん!すっごいよ!」


 ママはぼくのあたまと赤ちゃんのいるおなかをいっしょになでながら、これもちょっと大きな声でこう言ったよ。

「そう! すっごいんだから、ママもママたちもね! 」



       了

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