この作品を一言でレビューするなら「読みやすい」という一言に尽きると思います。
目新しさとか奇抜さはないものも王道のファンタジーとしての要点は抑えつつ、文章はかなり読みやすいものとなっており、ストーリーもわかりやすいように順序よく展開されています。
悪い見方をすればありふれているなんて思う人もいるかもしれませんが、私はかなり読みやすく市場で売られているライトノベルと言われてもおかしくないくらいに完成されてる小説だなと感じました。
個人的な好きなポイントとしてタイトルの回収の仕方が個人的には結構ツボでした。
ふと、王道のファンタジー系の小説を読みたくなったときにおすすめな素晴らしい小説だと思います。
第一印象は、Web小説を見ていれば必ず知っている素材で構成された作品。
しかし本作で「よくある」のは素材だけ。
続きが見たい。もっと読みたい。
素直にそう言える作品です。
本作最大の魅力はキャラクターが見せる鮮やかな感情です。
ワガママだけど優しい、だけなら「テンプレ」で終わってしまうヒロインの性格。
しかしその性格と、それが内包する感情を態度・台詞で表現することによって、本作品でしか見ることのできない、ただ一人の存在へと昇華されています。
おかげでいっぺんにヒロインが好きになってしまいました。
日常・コメディ・シリアスと展開の振り幅が大きく、楽しい時はとても楽しく、辛い時は息苦しいほどに辛い。
いわゆるストレスフリーな作品ではありません。
心を揺さぶるという表現がぴったりです。
既に長文なので、この先は箇条書きにて。
文章がリズムよく、文字数の割に読みやすい。
ページの最後に必ずと言って良いほど「引き」が仕込んである。
クライマックスは鋭く、冗長さとは無縁。
ステータスに作劇上の意味がある。
倒叙形式で、辛い場面でも希望が持てる。
作品全体から、骨太というか、構成力の高さや作者さんの配慮を感じます。
現代エンタメ小説の王道作品。
続きを楽しみにしています。