天沢退二郎さんのこと、校本全集のことなど

第10話 天沢退二郎さんと宮沢賢治作品

 『校本宮澤賢治全集』(校本全集)、『新校本宮澤賢治全集』(新校本全集)の編集を担当された詩人の天沢あまざわ退二郎たいじろうさんが亡くなられたという報道に接しました。

 心からお悔やみを申し上げます。

 天沢さんは、二〇一八年に亡くなられた入沢いりさわ康夫やすおさんなどとともに、校本全集や新校本全集など、筑摩書房の「校本全集系」の宮沢賢治全集(校本・新校本のほか、『新修宮沢賢治全集』、ちくま文庫版『宮沢賢治全集』)の編集に関わられました。また、新潮文庫の宮沢賢治作品集の編集も担当なさっています。

 さらに、かなり緻密な作業の末に仕上がった校本全集をさらに緻密な作業で改訂した新校本全集が出版された後も、賢治の書いた本文はこれでよいのか、という考証を進められ、折に触れてその論考を発表しておられました。

 『宮沢賢治の彼方へ』や『〈宮沢賢治〉のさらなる彼方を求めて』など宮沢賢治関係の論考・評論も数多く発表しておられます。また、杉井ギサブロー監督の『銀河鉄道の夜』(猫のキャラクターのアニメです)の監修にも携わられました。

 ところで、この文章は「谷川版」を中心に書きましたので、校本全集・新校本全集についての話は、それと対照するような位置づけで出て来ることになっています。

 そこで、あらためて、天沢さんと宮沢賢治作品の関わりを思い起こしながら、校本全集のことも含めて、思いつくこと書いてみようと思いました。

 それで、休眠状態だったこの連載を、再びしばらく続けることにしました。

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