終 話 農村殲滅戦
夜。
灰色の雲が空を覆い星々の輝きを隠す。
風が吹く。
生ぬるく体に纏わりつくような風。
不穏極まりない一夜とて、人々の営みは日々と変わらない。
今日までは。
あれから丸三年。
時は来た。
冒険者を含め捕らえた女たちを使って、今や手勢の
スカーは己が手勢を三つに分けた。
村の右側から
同じく左側から
それぞれが扇状に展開して村を取り囲んでいる。
そして群れの中で腕の立つ
すべてが万事整った。あとは蹂躙するのみ。
あの日。
見知らぬこの世界で初めて出会ったヒューマンが住まう農村。
もはや顔も覚えておらず、例え目の前で見たとしても思い出さないだろう。
だから?
そんなことはもうどうでもいい。この村は殲滅すると決めていたのだ。
女魔法使いが持っていた魔導書を写眼で読むことにより、魔法の知識も得た。また実際に術を使わせることで女魔法使いのすべての術を写した。精霊使いでもあった女エルフも同様にして、精霊術も会得した。
「FUUUUUUU」
開始の合図としての初手はスカー自らが行うと決めていた。
自身の内にある魔言の石はすでにスカーと一体化している。丹田に意識を集中すると核となった魔言の石を感じる。
膨大な
魔法の威力に関する概念は二つ。術の構成要素と呪文に込める魔力の質と量。つまり同じ魔法であっても魔力量によって威力が異なる。
スカーは
そして。
「
村の中央へ向けて魔法を撃ち込む。
地に接触した炎の砲弾は周りを巻き込むように爆散した。と、同時に村を取り囲んだ
「サァ、宴ノハジマリダ」
その日の虐殺が、後に
――了――
ゴブリンプレイヤー 維 黎 @yuirei
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