花鳥風月
@omizu-omizu
一度の人生と意味
あるところに、1人の少年がいた。名は、「連」。連は言った。「花は美しい、きらびやかで、楽しそう。僕も、花みたいな人生を送りたい。」すると、父は言った。「たしかに、花は美しい。でも世の中には、もっといろんな美しいものがある。大切なのは、それに意味を見出すことだ。」連は、この父の言葉が、よくわからなかった。
時が過ぎ、蓮が二十歳になった。連は言った。「自由に飛び立っていく、鳥は美しい。何事にも挑戦しようという勇気を与えてくれる。父の言っていた"意味"というのは、これがどうして美しいと感じれるかを、自分自身に問いかけることだったのだろう。何でも恐れず挑戦する、鳥のような人生を送りたい。」連は色々なことに挑戦した。恋愛も仕事も。数年後、連は、結婚し、会社を立ち上げた。何事にも飛び立っていく鳥のように、いろんなことに挑戦した。連の会社は、とっても小さな会社だった。経営が苦しい時もあった。でも、自分の会社の仲間たち、そして支えてくれる家族を愛した。そして、連には子供ができた。名は、心。そして、いろいろなことに挑戦する上で、気づいた。人生は、「風」だと。
時は過ぎ、心が大人になった。心が家を出る時、連はこう伝えた。「人生には、色々な波がある。でもそれは、時には味方になってくれるまるで風のようにな。時には、うまくいかないことだってあるだろう。でも、その失敗を愛し、突き進め。きっと風は、お前の味方になる。」心はこの意味がわからなかった。
ずいぶんと長い年月か経ち、連が八十歳になる頃、連は愛した会社を辞めた。そして、その頃には、心の子供も十八になっていた。心の子供の名は、進。進は、連の会社に入り、たくさんの出会いと経験を積んだ。その頃には、会社はとても大きくなっていて、連には数えきれない程の仲間ができた。そして、連は気づく。人生は、「月」だということに。連はつぶやいた。「月は満ち、欠けていく。それはまるで人生のように。でも、人生の月は、何もしなくても満ちていき、欠けていく。でもそれでは、自分の心は満たされず、欠けていく。月が全て欠けた時、自分の心が満ちる。そんな人生を送れただろうか。」
あの時から、十年の時が経った。連は90歳になっていて、進も子供ができていた。名は、守。でも、連はもう長く生きることはできないのだった。連は、病院で、月が欠けるのを、ただただ待っていた。連がもう長く生きられないことを知った親族たちは、皆あわててやってきた。守は、連に花を差し出し、こう伝えた。「ひいおじいちゃんのために、ぼくがいちばんすきな、お花をもってきたよ。」その花は、とてもきれいな花だった。そして気づいた。人生で1番大切なことに。連は、守にこう伝えた。「人生では、いろいろなことが起こる。いいことも、悪いこともだ。それによって感じたこと、考えたこと、全てを大切にしなさい。それが人生の華だ。」連はこの言葉を最後に、息を引き取った。
人が死んだ時に花を送るのはなぜだろうか。それは、花のような純粋な心が、人生で最初の美しさであり、人はその美しさを一生愛でるからだろう。
花鳥風月 @omizu-omizu
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