散る花

時は過ぎて日の上り始めた頃、弘は疲れ切ったように眠ってしまっていた。

俺は外に出た。心を十分に満たす満足感がまだ残っている。

だから、そこで慌てて何かを探しているような桐さんに会った時には一瞬だけ気分がよくなった。が、その次の瞬間にはそれを容易に覆い隠す不快感が体を巡った。

彼は俺を見つけると駆け足で寄ってきた。

「五年ぶりだな、更。弘を見なかったか?」

更、久しぶりに聞いた自分の名前。

「何故ですか?」

「今夜、弘を指名しなかったことを怒っているらしい。昨日は忘れ物の傘を取りに帰っただけで用事はなかったのに」

なるほど、

「残念ながら見ていません。本当に残念なことです」

彼は俺から自分への皮肉ととったらしい。

「五年前は悪かったな。しかし、嫌なことをいうようだが、蔭間っていうものはそういうものだろう?」

「ええ、人というものはそういうものです」

ああそうだ、、、人というのものはそういうものなのに、と弘は思った。

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穢土の街 枕火流 @makurabiryu

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