第8話 鉱物採取
メイとイナリは、ダンジョンの鉱物エリアへとやって来ました。このエリアは、鉄や銅などの鉱物を含んだ岩が、大きなつくしのように生えているエリアです。
大きなものでは2メートルを超えるほどにもなる太いつくし岩が、そこらじゅうに生えています。
「さて、鉱物採取を始めましょうか」
「がんばれー」
イナリの応援の下、メイは最高級へと仕上げた特注フライパンをぎゅっと握りしめて構えます。
「ていっ! てやっ! ていっ! とぉっ!!」
ガン! ゴン! ガン! ガコンッ!!
メイは、特注フライパンを次々とつくし岩へ叩き込み、岩を砕いてゆきます。砕かれた岩は光の粒となり、次々とフライパンに吸い込まれてゆくのでした。
これも、腕輪の不思議な力の1つで、こうやって鉱物を採取しているのです。通常ではつくし岩が光の粒に変わるなんてことはありません。
もちろん、魔物も出るのですが、メイが手にしたフライパンで、ボコって倒してしまいます。
ピンポ~ン♪
メイが、しばらくフライパンを振り回して、周辺を更地に変えた頃、腕輪のチャイムが鳴りました。
「よし! 十分な鉱物が採れたようだわ」
「お疲れさまだね」
「さっそく、材質を変えましょう」
メイが腕輪の画面を開いてちゃちゃっと操作すると、フライパンが淡く光り、フライパンの色が少し変化しました。
「よし、まずは、鉄からミスリルへ材質を変更したわ。あと、2段階ほど材質変更をすれば、フラパン合金になる予定よ」
メイは、材質の変わったフライパンを満足げに掲げました。
このように、メイは職人の腕輪の画面に登録した鍛冶製品で鉱物を砕き、採取することで、その鍛冶製品の材質を変えることが出来るのです。
ただし、特殊合金などのレアな材質へ変更するためには、何度か材質変更を繰り返す必要があります。
今回の場合、鉄からフラパン合金へ材質変更するためには、3回ほど材質変更をする必要があるのです。
そして、材質変更を繰り返すごとに、必要な鉱物採取量が増えてゆくため、結構大変な作業となります。
「いつもながら、鉱物を叩いて砕いて採取して、それで材質を変更できるなんて不思議よね。まるで狐につままれた気分だわ」
「こうかい?」
「いたたたた……。やっぱり夢じゃないわよね」
イナリにほっぺたをつままれて、メイは改めて現実なのだと確認すると、手にしたフライパンを眺めてにんまりするのでした。
「ぼく、お腹が空いたよ」
「あら、もうこんな時間だわ。今日は帰って、明日また続きをやりましょう」
イナリの言葉を聞いて、メイが時計を見ると、かなりいい時間になっていました。究極のフライパン作りは、また明日から続きをすることにして、今日は我が家へ帰ってゆっくり休みました。
そして、翌日。メイはイナリと共に、先日みつけた角ウサギが良く出るエリアへと向かいました。
材質変更をすると、最高品質から並品質へと品質が下がってしまうため、もう一度最高品質まで、品質を向上させるためです。
「この辺りは、ウサギがたくさん出るから品質向上が捗るわね」
「昨日来た時よりも、角ウサギが増えてるみたいだよ」
「作業が捗って良いことじゃない」
「そうかなぁ」
次々と飛び掛かって来る角ウサギを倒しながら、メイは作業が捗ってご機嫌です。イナリは、ウサギが多いことを気にしているようですが、メイにとっては都合がよいので大喜びでした。
材質が変わったことにより、品質向上のために倒さなければならない魔物の数が鉄の時よりも増えているのですが、思いのほか襲ってくる角ウサギの数が多いため、予想よりも早く品質が向上してゆくのでした。
メイは、ミスリル製フライパンの品質を最高品質にすると、再び鉱物エリアへと向かい、鉱物を採取して材質変更に励みます。
そんなこんなで材質変更と品質向上を繰り返し、3日かけて、フラパン合金への材質変更が完了し、さらには最高品質の特製フラフライパンが仕上がるのでした。
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