家族

今日は素敵な休日である土曜日。

今週は休みが多いおかげで

あっという間に休みへ辿り着けた。

しかし、休みが多いと分かっているからこそ

平日の1日1日が長いと感じた。

誰でもある話だと思うが、

終わりが分かっているからこそ

直前で手を抜いてしまうのだ。

朝の準備なんていつもそう。

間に合いそう、ゆっくりテレビでも見よう。

ああ、遅れた。

その繰り返しだった。


梨菜「うむむ…。」


だが今日は違う。

今日の私はひと味違うのだ。

と思いながら、先日用意した荷物の前に座り、

じっとその荷物を眺む。

持ち物なんて貴重品があればいいものの

何故か、何かが足りないと思い

座り込んでいるのだ。

けれど、足りないものなど見当たらない。

忘れ物があるかもしれないなんて考えは

今回に至ってはただの思い過ごしだろう。

それでも動けないことがある。

他の人にもあるはずだ。

忘れ物がないと何度目で見て確認しても

不安になってしまうということがあるはずだ。

私は今、それに陥っている。

そして結局遅れるのだ。


梨菜「あれ?こんな時間!」


このように。





***





梨菜「遅れてごめーん!」


愛咲「ん?おぉーう、梨菜じゃねーか!」


梨菜「はぁ、はぁ…。」


愛咲「だっはは、どぅどぅー。」


梨菜「いやいや…怒ってて鼻息荒いわけじゃないからね…。」


愛咲「んだ、それもそっか!」


愛咲ちゃんは快く笑うと

落ち着くようにという思いを込めてだろう、

両手で軽く押さえつけるような

ジェスチャーを繰り返した。

私のことを暴れ馬か何かだと

思っているのかもしれない。


愛咲「あっははー、落ち着けい落ち着けい。」


梨菜「待ってくれればいくらでも…。」


愛咲「おうおう、待とうぜよ。」


梨菜「時代劇?」


愛咲「なんちゃーないきー。」


梨菜「あ、何だっけそれ。」


愛咲「聞いたこたぁあるだろ?」


梨菜「うん、ある。」


愛咲「だろだろぅ?」


梨菜「あ、何かはわからない感じだ。」


愛咲「そのとおーり!」


梨菜「じ…受験大丈夫なの…?」


愛咲「任せなって、もう終わったからさ。」


梨菜「え…えっ!?」


愛咲「へ?」


愛咲ちゃんは至って普通でしょと

いうかの如くきょとんとしていた。

受験とは確か2月頃に

行われるものではなかったか。

記憶の上だとそうなのだが、

愛咲ちゃんはどうやら違うよう。

思い返せば、先生たちが言っていたっけ。

受験には種類があり、

もう受験は始まっているとかなんとか。

受験0年生という

謎の言葉を作り出していた覚えがある。


梨菜「じゃあもう大学生ってこと?」


愛咲「だっはは、まだ気ははえーよぅ。それにうちは短大な!」


梨菜「でも受験は終わったんでしょ?」


愛咲「うちのところは、所謂AO入試の前半が終わったって感じなんだ。」


梨菜「AOの前半?」


愛咲「そ。とりあえず面接は終わったってとこ。」


梨菜「いつの間に!」


愛咲「あぁ、今日な!」


梨菜「…えっ!?」


愛咲「ついさっきやってきたぜーい。」


愛咲ちゃんはピースをしながら

その立てた指を2、3回曲げて見せる。

いえい、と口に出しながら

笑うものだから、

苦ではなかったように見える。

それか、苦から放たれたと言うべきか。


だから午後の遅めの時間で集合したいと

言っていたのかと妙に納得する。

愛咲ちゃんのことだから

真昼間に集合と言いそうだと思っていたのに、

実際集まったのは16時前後。

彼女の体力には頭が上がらない。

私だったら絶対に無理だ。

早く家に帰って布団に埋もれて

そのまま瞳を閉じたいと願うから。


愛咲「ま、それが第1関門みたいなもんよ。」


梨菜「第2関門は?」


愛咲「面接の出来によって、書類だけで済むのか、自己推薦シートみてーなやつを書かなきゃいけなくなるかが変わるんだ。」


梨菜「面接の結果次第だね。」


愛咲「おうよ。」


梨菜「愛咲ちゃんなら大丈夫だよ!」


愛咲「へへっ。任せとけい!っていいてえところだけど、やっぱ不安だな。」


梨菜「人生かかってるもんね…。」


愛咲「あはは、そんなでかいもんはかかっちゃねーよ。」


梨菜「そうなの?だって大学って結構人生でもあと引くし…。」


愛咲「ん?そうかもしれねーけど、たった2年、まあ多くは4年だろ?」


梨菜「…?うん。」


愛咲「その先の就職後を考えてみたらよぅ、どう考えたってそっちの方が長い可能性が高いわけよ。」


梨菜「うん、そうだね。」


愛咲「だろ?最長40年くらい。」


梨菜「…あ、そっか!そんなにあるんだ…。」


愛咲「そ。だから人生かかってるって言うか人生齧ってるくらいってわけ。」


梨菜「齧ってる…。」


愛咲「おう。大学に人生の一部を齧られてんだ。それだけ。だから、いくらでも途中で書き換えれるんだぜ。」


愛咲ちゃんの言うことは

微妙に伝わらないけれど、

やり直したくば出来ると

言いたいのだろうとは思う。

実際、学費等お金の心配がなければ

人生のうち大学は何回入っても良い。

学歴にコンプレックスがあるのであれば

やり直すことも可能だったはずだ。

昔先生の話や

波流ちゃんとの話で上がった気がする。


向こう40年働き続けると考えると

なんだか気が遠くなる。

そう思うと受験して大学にいる間なんて

せいぜい4年の間だ。

留年したり大学院に行ったりすれば

また話は違ってくるけど、

働く期間に比べれば短いことは間違いない。

ただ女性の場合

結婚して退職することも多いから

一概に40年働き続けなければ

ならないというわけではない。


ううむ。

どうにも頭が痛くなってくる。

そんなことをこの先

考えなくちゃならないのか。

だが一先ず、愛咲ちゃんの言葉は

未来の不安を軽くするのには十分だった。


梨菜「なんか、愛咲ちゃんと話してるとたかだか大学受験って思えるようになってきた!」


愛咲「だっはは、舐めちゃ痛い目見るから準備はしとけよー。」


梨菜「うん!」


わしゃわしゃと

子供を撫でるように頭に触れられた。

私より多分少し大きい手。

私より少し高い身長。

普段は陽気で気ままな子供っぽい人だけど、

こう見ると確かにお姉ちゃんだ。


ふと手が離れると

温もりが散布して

頭のてっぺんが少しばかり涼しくなる。

熱がこもっていたらしい。


梨菜「そういえばさ。」


愛咲「おん?」


梨菜「愛咲ちゃんは何の分野の大学に行くの?」


愛咲「うち?うちは保育だぜ!」


梨菜「わ、似合う!」


愛咲「えへへ、だろーう?」


梨菜「うん!」


愛咲「うち下の子が多いからさ、自然と子供好きになってたんだよ。」


梨菜「それをお仕事にするなんてすごい!」


愛咲「まだ決まってねーけどな。でもそのつもりで動いてるぜぃ。」


梨菜「頑張れ、愛咲ちゃん!」


愛咲「おう!ありがとな。梨菜は進みたい分野ってのはあるのか?」


梨菜「私?うーん…。」


進みたい分野…。

興味のあることがそもそもない。

ないわけではないのだが浅く広くである。

例えば時間だとか世界線の話、

時折考えてしまっては

抜け出せなくなる数々。

Twitterでも時に呟いては

沼にハマっていくのみの繰り返し。


音楽は聴くことはある。

しかし専門にするほど興味はない。

絵だって見る、最近は綺麗なイラストが多い。

しかし専門にするほど興味はない。

映画は好きで週に1回見ている。

しかし専門にするほど興味はない。

学校での授業であれば国語や英語とか。

しかし専門にするほど興味はない。

歴史は見る分には楽しい。

しかし専門にするほど興味はない。


今の私は一体

何がしたいのだろう。

これまで何を1番大切に

してきたのだろうか。


不意に浮かぶのはどうしてだろう、

星李の姿だった。


愛咲「文系?理系?」


梨菜「私は文系だよ!」


愛咲「あはは、ぽいわー。」


梨菜「そうかな?愛咲ちゃんもね、文系っぽい!」


愛咲「ぶぶー、実は理系なんだよ。」


梨菜「え!?信じられない!」


愛咲「信じてもらわなきゃ困るぜー。後歩もだな。」


梨菜「あ、それはわかる。」


愛咲「んだとー!うちは理系っぽくないって言うのかい!」


梨菜「そうだよ!」


愛咲「ぐふぅっ…クリティカルヒットだぜ…。」


梨菜「そっか、なら日本史や世界史が弱くても納得。」


愛咲「そこらが強いのは羽澄や麗香だぜー。」


梨菜「あぁ、とても納得!」


愛咲「へへ、だろ?」


梨菜「あれ、話が凄く逸れちゃってたけど何だっけ。」


愛咲「んー?ほら、あれだよあれ。」


梨菜「情報がまるでない!」


愛咲「あれ…あれ?」


梨菜「そうだ、どの道に進みたいか…みたいな!」


愛咲「それだ!まあうちは分かってたけどな!」


梨菜「私はそうだなぁ…。」


愛咲「無視っ!」


梨菜「うーん、哲学…?」


愛咲「わお、変化球だな!」


梨菜「でもあんまりしっくりきてないんだよね。」


愛咲「まだ1年あるんだし、それまでにしっかり考えときゃいーんだよぅ。」


梨菜「うーん…。」


私が渋い顔をしていると、

何を思ったのかまた頭を若干雑に撫でてくれた。

でも、この雑さが丁度いい。

遠慮のない感じが愛咲ちゃんらしいから。


立ち話も程々にして

私たちはその場からようやく動いた。

集合場所が駅の構内だったため

多くの人の目を引いたことだろう。

しかし、誰1人として

気にしていないかの如く通り過ぎていく。

実際気にしていないのだと思う。

すれ違う人々を横目に

私は愛咲ちゃんの隣を歩いた。


今日集まったのは他でもない。

愛咲ちゃんの妹の誕生日らしく、

そのプレゼントを選びたいとのこと。

私もちょうど買いたいものがあったので

喜んでついていくことにした。

欠けてしまったままのコップを想起しては

いつ買いに行こうかと決めあぐねていた。

星李に一緒に行こうと言っても

珍しいことに渋るばかり。

なので延ばし延ばしになっていたのだ。

ちょうどいい機会だと思った。


愛咲「うおっとと。」


ふらり、と緩く

片足を捻挫したようにふらつく彼女。

一瞬彼女の視線が下がったものだから

不意に手を伸ばすも当たり前だが届かない。

転ぶほどではなかったようで、

ととん、とリズムよく体勢を持ち直している。


愛咲「あっぶねー!」


梨菜「わわ…大丈夫?」


愛咲「なんてこたぁねーよ。ちいと躓いただけだっての。」


梨菜「愛咲ちゃんもそんなことあるんだ…。」


愛咲「うちのことをなんだと思ってんだ!」


梨菜「あはは、陸上部だから転ばなさそうだなって思ってて。」


愛咲「誰が衰えただ誰がー!」


梨菜「言ってないよー!」


愛咲「だっははー、すまんすまん。」


愛咲ちゃんは軽々しく

躓くという困難を乗り越えて、

笑いかけては背中をどんどんと

2回ほど叩いた。

これは、長年一緒にいる

波流ちゃんにはあまりない動作だ。

こう見ると、違う人間なのだとしみじみ思う。

人間という点では同じなのに、

こうも中身に違うものが詰まっている。

不思議だ。

不思議でならない。

この気質があるあたり、

私は考えることに向いているのかも

しれないとは思う。

ただ、疑問を持つまでの話だが。


横浜駅には色々な種類のお店があった。

煌びやかなものから市民と親しみ深そうな

食品屋さんや布屋など様々。

その中で、妹さんは

中学3年生ということもあり

雑貨屋や文房具屋で

プレゼントを探すことにした。

雑貨屋であれば、私の目標も

達成できそうなので万々歳。


愛咲「お、これとかいいんじゃねーか?」


梨菜「えっと…チンアナゴのモニュメント?」


愛咲「梨菜の家にさ。」


梨菜「奇抜すぎるかな…。」


愛咲「そっかぁー。」


梨菜「愛咲ちゃんは妹さんへのプレゼント決めたの?」


愛咲「おうよ。下調べしてたし目は付けてるものがあるんだぜ。」


梨菜「え!意外。」


愛咲「何がだ!」


梨菜「愛咲ちゃんはその場その場で考えずに動きそうだなって思ってた。」


愛咲「ぎり悪口…?」


梨菜「褒めてる褒めてる。」


愛咲「そーだよな、ならいいーんだ!うちだって結構ちゃんとしてるんですぅー。」


梨菜「うん、そう思う!」


愛咲「なな、なんだぁ、今度は甘やかしモードってか!」


梨菜「本当にそう思ったんだよ。受験もそうだけど、思ってるよりも先々のことが見えてるなって。」


愛咲「えへへ、褒めても何にも出ねーぜ。」


梨菜「愛咲ちゃんは、1番未来を見てる人なんだね。」


愛咲ちゃんは照れるように

鼻の下を指で擦るような仕草をした。

マスク越しだったもので、

余計擽ったそうにしている。

かと思えば、マスクの繊維が

毛を立ててしまったのか

くしゅん、とひとつくしゃみをした。


梨菜「わわ、大丈夫?」


愛咲「あはは、なんてこたぁねーよぅ。」


梨菜「あはは、よかった。」


愛咲「んで、さっきの続きな。」


梨菜「ん?」


愛咲「未来を見てるとかゆう話し。うちは未来ってのは見据えざるを得ないもんだと思うぜ?」


梨菜「見据えざるを得ない?」


愛咲「そ。受験も何もなかったらうちは過去に囚われてるだけだったっての。」


梨菜「過去?」


愛咲「聞くかい?」


梨菜「聞きたい!」


愛咲「あはは、また今度な。」


頭にぽん、と手を乗せた後、

何事もなかったかのように

品物を見てはこれも

良さそうだと口にしていた。

愛咲ちゃんにも勿論過去があるわけで、

それは私は知らない。

話されなければ知ることは出来ない。

当たり前だ。

その当たり前にすら

何故か疑問に感じた。

話さなくても通じるものがあれば

人って楽になるのかな、と。


それと同時に、先程の愛咲ちゃんの言葉を

脳内で丁寧に反芻させる。

受験も何もなかったら

過去に囚われてるだけだった。

未来を見なければならない理由があるから

過去に浸らずに済んだのか?

なら、花奏ちゃんはどうだ。

きっと花奏ちゃんは

過去に浸っていたのだと思う。

みんなで話を聞いていた時、

明らかに今や未来を見る目ではなかった。

しかし、それは一過性。

その時だけの話。

今、普段の生活を送る中では

未来を見ていなければならない。

それは受験まで遠のいていなくていい。

明日の朝ごはん何にしようでもいい。

今より、少し先の未来であれば。


もしも、受験が終わったら。

彼女は次、どちらに目を向けるんだろう。


梨菜「何をプレゼントする予定なの?」


愛咲「お?んー、ちょっとした文房具とお弁当箱だな。」


梨菜「いいね、喜ぶよ。」


愛咲「そう言ってくれると心強いぜ。」


梨菜「私も妹いるからさ。」


愛咲「知ってる。それで誘ったんだから。強力な助っ人だってな!」


梨菜「えへへ。」


愛咲「梨菜は何買うんだっけか?」


梨菜「私はコップ!妹の使ってたやつが欠けちゃって。」


愛咲「そうかそうかぁ。そーいやあの後どうなったんだ?」


梨菜「あの後…?」


愛咲「おう、金魚掬いの後の金魚ちゃんたちよぅ!」


そういえばそんなこともあったな。

夏の夜に手にした袋を思い出す。

日記に付けていたはずだ。

金魚の名前から死んだ時まで。





°°°°°





***





2022/08/20



昨日お祭りでとった金魚のおうちを作った!

星李が全然手伝ってくれなくて

ちょっとむっとしたけど、

本人は笑ってたしいいやって思った。


それと、昨日の金曜ロードショーを

星李と一緒に見た。

けど、買ってきた鈴カステラも綿菓子も

全部私が食べちゃった。

星李は頑なにいらないって言ってた。

嫌いだったのかな?


あれ。

なんだろう。





***





2022/08/21



金魚にはほしとなしって名前をつけた!

ほしちゃんなのかな、ほしくんなのかな。

性別は分からない。

まあいいや。

けど、なんだか元気なさそう。





***





2022/08/22



金魚の片方が死んでた。

名前、どっちだっけ。





***





2022/08/23



今日はみんなで花火大会の

やり直しをした。

手で持つタイプの花火を

一生分したんじゃないかってくらい!

花奏ちゃんはなんだか

体調が悪そうだったけど

三門さんと話してて笑ってる時もあったし

楽しめたのかな。

みんなと会えてよかった!


それから、私のいない間に

れいちゃんが来てたみたい。

星李がにこにこで話してた。

れいちゃんは学校の友達なのかな?

聞きそびれてたなって

思い出したけど家に帰ったら

また忘れてるだろうな。


あーあ。

夏休み終わってほしくないなぁ。

今日はたくさん書いちゃった。

明日は何をしよう!


そういえば金魚、

なんだかまた元気なさそう。

星李がお世話するっていってたけど

やっぱり難しいのかな。





***





2022/08/24



今日は星李と海に行った!

朝までで金魚が全員死んじゃって

星李も悲しんでるみたいだったから

気晴らしになればと思って計画した。

海では2人でめちゃくちゃはしゃいだ。

うるさかったのか周りの目が

刺さるようだったけど

気にしない気にしない!

楽しかった!





°°°°°





梨菜「…。」


愛咲「ん?どーした?」


梨菜「金魚ね、結構前に死んじゃったんだ。」


愛咲「そうだったのかぁ。」


梨菜「妹がね、お世話するって言ってたんだけど…。」


愛咲「ちゃんと弔ったか?」


梨菜「うん。」


愛咲「なら今頃ゆっくり寝てくれてるぜ。」


梨菜「そうだね。」


口にするたび何だか物悲しさに

襲われてしまうもので、

手持ち無沙汰でコップを手に取った。

それはたまたま目の前にあったもので

あまり値段の張らない

庶民的なものだった。


可愛らしい赤のコップと

それよりは薄くピンクに近しいコップが

姉妹のように並べられている。


あぁ、これだと

不意に思ったのだった。


日記の内容を思い出して

とあることが考えから

抜け落ちていたことに気づく。

れいちゃんとは、最近会えていないことに

気づかざるを得なかった。

湿気の多く、再度台風の近づく中、

こんな何もない日々が、

たった今が幸福であると

気づければよかったのに。

そう思うばかりだった。

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