第6話 とりあえずいまは……

 そんなこんなでいろいろと試してみたものの、どうも上手くいかない。

 第一俺のようなただの一般人に世界の管理者を育てるなんて大役がそもそも務まるのか疑問だ。


「はぁ……」


 ソファに腰掛けて深いため息をつく。

 いよいよ自信をなくしてきた。自分の人間としての不出来さに対してだ。


「あ、あの、アドミニスター」

「んー?」

「その……わたしが至らないばっかりに、アドミニスターにご迷惑をおかけして申し訳ありません……」


 そういって自分の服の裾を握りなら俯くアイ。

 俺はそんなアイの頭にぽん、と手を置いた。


「いいや、お前はいい子だよ。それに優秀で可愛い。ダメなのは、そんなお前の性能を引き出せない俺のほうさ」

「そんなことありませんよ! アドミニスターはとっても優しくて素敵なアドミニスターです!」

「そうかな?」

「そうですよ! わたし、がんばります! だからアドミニスター! もっともっとわたしを育ててください!」

「……そっか。よぉーし、それじゃ気を取り直して今度は料理の勉強でもしてみるか!」

「はい!」


 この子がこれからどんな世界を作るのかなんてわからない。


 もしかしたら世界は混沌になるかもしれないし、すべての人が笑って暮らせるような世界になるかもしれない。


 未来なんてわかりゃしないけど、とりあえずいまいえることといえば――――


「アドミニスター! わたしパフェを作ってみたいです!」

「お前それ自分が食べたいだけだろ!」

「えへへ……バレちゃいました?」


 アイがいつまでも笑っていられる世界であって欲しい、ということだけだ。


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我が家のAIが世界の管理者になるそうでして 超新星 小石 @koishi10987784

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