第2話

おいおい、タシュナの助け舟ってフラグだったのか?

確かにサイクロプスが討伐されたって話は聞かなかったけど、もう少し後でお会いしてみたかったよ。


ギルドにサイクロプスに遭遇したことを報告してから数週間は、高位のチームによる討伐隊が派遣されていたけど、討伐の成果はなし。サイクロプスの痕跡をもとに探索がされたみたいだが、結局本体は見つからずに予算も打ち切られ、参加していたチームはより実入りのいい依頼に散っていった。


『サイクロプスに注意しながら依頼をクリアしてね』


ギルドの受付嬢にそう言われてまた森に来たのはいいけど、注意しながらってざっくり過ぎん?見つかった瞬間にお終いなんだけど。まあ俺の場合は、タシュナにバフをかけ続ければ、サイクロプスに見つかる前にタシュナが気付くんで大丈夫、と思ってたけど。


まあ仕方ないよね。人間だもの。


「あ」


あ?


「にげ」


タシュナが「ろ」と言うのと同時に、ズーンという地響き。

ズーン。ズーン。


逃げ足を早くするためにみんなにバフを掛けたけど、サイクロプスの方が早いってどういうこと。もう一段階強いバフを……。


ブゥオォーン。


殿しんがりの俺の背中をかすめるようにサイクロプスのこん棒が振りぬかれる。

風圧でよろめく。走ってるときって、後ろから押されるとバランスを崩しやすいんだよなー、と人間死を覚悟するとのんきなことを考えてしまう。


仕方ない。


「ちょっと頑張っちゃうよ~」


後ろを振り向きサイクロプスの真正面に立つ。ちびりそう。


そして。

サイクロプスに100倍バフをかける。

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