バフがちょっと得意なポーターなので戦闘は苦手です

@a_tomi

第1話

「なあ、もうちょっとこう……、貢献ができないものか?」

リーダーのヨシュカは俺に面と向かってこうこぼした。


貢献、ねぇ。


「サルムのジョブがポーターなのはわかる。戦闘センスはイマイチ、魔力もイマイチ。ストレージの容量もイマイチなのは自分でもわかってるだろ?バフの能力があるっていうんでしばらくパーティーに入ってもらったんだが」


あ、サルムってのは俺のことね。


「そのバフもイマイチってどういうことだ?」

「確かに魔法の威力が強くなったりや詠唱時間が短かくなったり、いいところは感じられるけど、もうちょっと派手にできないかしら」


メイジのフランがいうのもごもっとも。微妙なバフしか掛けてないもん。


「索敵の範囲が広がったり精度が上がったのは助かってますよ」

「まあ……、そうだな。そこは感謝してる。厄災級のサイクロプスなんて、出会ったらお終いだったからな。よく避けられたもんだ」


スカウトのタシュナが助け舟を出してくれた。ヨシュカはしぶしぶうなづく。


「あっ、最近お肌のツヤがよくなったって思わない?ヒールの質が変わったってゆーか」

「ミリーもそう思う?!やっぱりそうだったんだ!そこはポイント高いわよね」


ヒーラーのミリーが素っ頓狂なことを言い出して、フランも乗っかってくる。

女性の印象アップ。これ大事。


「んんっ。とはいえ、戦力がイマイチなのは変わりがない。どうだろう、次のダンジョン攻略で抜けてもらえないか。最後だけにちょっとだけ報酬は上乗せするし」

「はあ。そうですか。そういうことなら」


はぁ……。またソロに戻るのか。俺のスキルって微妙って思われてるし。


「最後なので、ちょっと頑張ってみます」

「ああ。期待は……してみる」

「えー。せっかく手とかスベスベになったのに」

「……」

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