偉大な先輩の話

 先日、先輩に小説に取り上げて良いか確認したところ、快諾していただいた。すでに先輩心の広さが窺い知れる。個人情報に繋がる話をするつもりは微塵もないが、どこからともなく特定されてしまう可能性はゼロではないので、承諾していただけたのでよかった。なぜなら、一番大きなターニングポイントに大きく関わっているのだから。

 

 一般的な「偉大な先輩」とは、スーパーヒーローのようにピンチの時に助けてくれたり、困っている時に手を差し伸べてくれたりする存在のことであると考えている。しかし、この先輩というのはすごい人で、本人自己肯定感はすこぶる低く、常に子供たちのために何ができるのかを考えている。そのためなら、後輩の指導も厭わない。くそみそ忙しくて自分のことだけでも大変だろうに、ポンコツでゆるっとふわっといきていくために教員になったような自分にも熱心に指導してくれた。一般的な偉大な先輩の数倍も、1日のうちのほとんどを助けてもらった。


 暇さえあればその先輩に話しかけ、仲良くなってもらえるように諦めずに構って貰った。しばらくして仕事終わりにご飯に連れて行って貰ったり、ゲーセンでUFOキャッチャーで散財するのを見守ってもらったり、たくさん遊んでもらった。連絡先を交換してからは、電車に乗りたくない愚痴を聞いてもらったり、上司に理不尽な詰め寄り方をされた話など、隠し事など何もないくらいに何でも聞いてもらった。学生時代の友人でさえ、これほど何でも言える存在はいない。貴重な人材である。ちゃっかり今でもよく連絡をとりあっている。


 これだけお世話になった先輩の優しさにも気づかず、注告を世間話として聞き流してしまったポンコツな自分は、結果として1年で契約打ち切りとなるのだが、この時の自分には微塵も予想できていなかった。

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教育現場の声 ゆる先生 @lucky_cookie_secky

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