1校目 都会の私立高校

初任校での出会い

 最初に勤務した学校は、駅からのアクセスも良く、偏差値もそこそこある私立高校だった。都会の競争率が高い学校のためか、生徒たちは概ね素直な子が多かった。学力の高い生徒ほど、先生の指示を守って文句も言わない「いい子」が多い。教員にとって『都合のいい子』である。

 コース制のため、カリキュラムが違うクラスを持たされた上、3学年教えなければならず全部で5種類の授業を受け持つこととなった。会社でいうと、週18回のプレゼンを行う必要がある上に、資料は一つとして共通のものがない、という状態である。もちろん、サポートしてくれる先輩もおらず(先輩も後輩の世話どころではない)、授業のスタイルなどの研修もない。教科書を渡され、頑張れ!と。

 とにかく他の学校の様子など知る由もなく、そもそも就活もさほどしっかりやらずにもらった採用なのだから、今思えば1年の途中でクビにならなかっただけマシかもしれない。それほど自分に指導力も知識もなかった。それどころか、大人気もなく生徒とケンカした。※寝ている生徒を起こしてその生徒がキレて、その態度はなんだ!というような類のもの。


 その時の自分を褒めるとすれば、子どもたちの未来のために一生懸命だった。疲労とストレスで、いろんな薬を飲むはめにはなったが、1日たりとも授業に穴をあけることはしなかった。


 そんなハイパーブラックな学校でも、唯一無二の仲良くしてくれた先輩がいた。その先輩ものちにハイパーブラック私立高校を脱出するのだが、それはまた別の機会に。

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