第7話 ふ、2人きりが.....良いです

俺の幼馴染は.....一言で言うとミステリアスだった気がする。

だけどそれでも笑顔の絶えない女の子だった。

俺にとっては幼馴染は好きの対象だった気がする。

でもそのまま生き別れてしまい。

何も音沙汰が無い。


「今日は楽しかったよ。有難うな。流星」


「.....うん。私もとても楽しかった。ミチル」


「.....何だかその。恥ずかしいな。やはりそうやって呼び捨てされると.....」


「うん。私だって相当に恥ずかしいんだから。流星って呼ばれるの。.....だから我慢だよ」


「.....だな」


それから俺達はそのまま戻る。

すると、先輩、と声がした。

背後を見ると.....一星さんが頬を膨らませて立っている。

俺は顔を引き攣らせる。

そして見ていると。


「お姉ちゃんとお楽しみだった様で?」


「誤解を生むから止めてくだされ」


「そうですね。わざと言ってます。アハハ」


額に青筋を立てながら俺を見てくる一星さん。

これは困ったものだな、と思いながら一星さんを見る。

すると一星さんは俺に詰め寄って来ていたが諦めて距離を空けてから。

俺に向いてきた。

まあ仕方が無いですよね、と言いながら。


「何が仕方が無いんだ?」


「.....内緒です。アハハ」


「.....???」


困ったものだな、と思う。

内緒と言われると気になるな。

思いながらも女の子の秘密だから追求はナシだな、と思いながら黙る。

それから一星さんを改めて見る。

一星さんは少しだけ赤くなりながら俺を見てくる。


「.....先輩。.....もし良かったら試験勉強を一緒にしませんか」


「.....え?.....いや。良いけど.....どうしたんだ?」


「私は料理が得意じゃ無いです。.....その.....だから.....別の方法で恩返ししたいなって思いました。一緒にカフェとかで」


「.....ああ。そうなのか.....って今度買い物を一緒にするじゃ無いか。.....それでもか?」


そうですよ。

だってそれぐらい.....感謝しているんですから。

と言う一星さん。

俺は赤面しながら、そ、そうなんだな、と回答する。

それから無言になる俺達。


「.....でも本当に有難うです。.....お姉ちゃんは.....生きないといけない存在でした。.....私にとっては」


「.....それはどういう.....?」


「.....私。お姉ちゃんが生きているから生きています。.....実は.....私、うつ病になっていました」


「.....うつ病.....ってマジに?」


「はい。うつ病があったから.....引き篭もっても居ました。だけどそれを解放してくれたのがお姉ちゃんでした」


正直に言って何故お姉ちゃんが自殺しようとしたのかは分かりません。

でも.....死ぬ程悩まされていたんだね、って思います、と涙目になりながら言ってくる一星さん。

俺はその姿を見ながら、そうなんだな、と答える。


「.....すいません。話が脱線しました。.....つまり私は恩返しの為に試験勉強がしたいです」


「.....分かった。お前が言うなら.....対応するよ。.....今日が良いかな」


「そうですね。.....お願いします」


俺はその言葉を受けながら。

少しだけ赤い顔の一星さんを見る。

一星さんは少しだけ目線を泳がせていた。

どうしたのだろうか、と思う。


「.....出来ればお姉ちゃんには内緒でお願いします」


「.....え?何故.....?」


「.....2人きりが良いです.....い、良いです!」


「!?」


何故に2人きり!?

俺は真っ赤に熱を帯びる。

そして一星さんを見つめる。


一星さんはそんな俺をジッと見てくる。

おかしくね!?

だってお姉ちゃんが関連するのに!?

俺は顎に手を添えて考えるが。

答えは見つからなかった。


「.....と、とにかく。私は.....2人きりが良いです。お願いです」


「.....わ、分かったが.....意味が分からない.....」


「訳が分からないのが女の子ですので」


「.....お、おう」


ゴリ押しだ!?

俺は考えながらも言葉にはしない事にした。

それからタッタッタと効果音が鳴りそうな感じで、では!、と去って行く一星さん。

俺は何も言えずにそのまま見送ってから。

真っ赤になる。


「.....いやしかし何故.....2人きりなんだ.....?」


何か淡い期待をしてしまう。

だけど.....それは違うとは思う。

でも期待してしまう。

うーぬ.....煩悩だ。

どうしたものか.....?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自殺を止めたらその自殺未遂を起こした姉と妹に好かれたんだが(別サイトより転載) アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ