第6話 か、間接キス.....!?

昼休みになった。

俺は約束通り屋上に向かう。

するとレジャーシートを広げている流星を見つけた。

ハッとして顔を上げながら手を振ってから嬉しそうに俺を見てくる流星。

俺はその姿を見ながら少しだけ柔和になる。


「待たせたか。流星」


「待ってないよ。優しいね。有難う」


「当たり前の事をしただけだから。気にすんな」


「でも優しいよ。有難う」


「そうか」


「私は優しい人が好き」


優しい人が好き.....?、と俺は赤面する。

それから見ていると。

あ、あ、あ!そういう意味じゃないよ!、と真っ赤になっていく流星。

それから慌て始めた。


「ち、違うから!」


「お、おう」


それから流星はぷいっと顔を背けてしまった。

俺はその姿に、可愛い、と思ってしまう。

見惚れてしまう。 

それを打ち消しながら俺は、お礼とは言っても何処まで続けるの?、と聞く。

すると流星は、え?何時迄もだよ?、と言ってくる。


「は!?」


「い、嫌.....?」


「い、嫌じゃない!寧ろ大歓迎!有難う」


「よ、良かった!有難う!」


何時迄も!?そ、それはまさか!?、と思いながら赤面する俺。

すると、私の生きる希望になってる、と話してくる流星。

貴方にご飯を作る事が、と言いながら。

俺はその姿にボッと赤面した。


「生きる希望か。なら仕方がないね」

 

「そうだよ。.....だから心を込めて作らせてね」


「ああ。まあ.....その。それなら分かった」


俺はそう返事をしながら顔を持つ。

ヤバいこの笑顔。

可愛らしい。

俺は考えながら首を振る。

それから笑みを浮かべてから、じゃ、じゃあ食べようか、と言う。


「うん。.....ねえ。その。提案があるんだけど」


髪の毛をかき上げながら赤くなる流星。

一体何だというのだ?、と思っていると流星は、アーンしたい、と言い出した。

俺は暫く考えて、ファ!?、と声を出す。

どういう事だよ!?、と思いながら。


「せ、折角恋人の様な真似事になっているから.....」


「.....い、いや。良いけど.....それって本当にするの?」


「う、うん。駄目かな」


「駄目っていうかかなり恥ずかしいぞ」


「.....うん。そ、それは私もだけど.....」


何故そこまで、と思ったが。

俺はお弁当を開けながらそのまま、アーン、と言ってくる流星を見る。

そして俺の口に唐揚げが突っ込まれ.....何だこの美味さは。

マジに驚愕なのだが。


「.....おいし.....い?」


「あ、ああ。.....まあ美味しい.....けど.....」


「じゃ、じゃあ貴方も」


「.....馬鹿な!?」


俺は目を丸くしながら反応する。

だが流星は小さな口を開けた。

そして髪をかき上げる。


え?これってマジに.....?

だってお前。

これ間接キスになるんじゃ.....。

俺は真っ赤になりながらも、ええい!、と思いながら流星の口に卵焼きを突っ込む。

うーん、と言いながらゴクリと咀嚼していく。

エロいのだが。


「.....今日はまた上手く出来たかも」


「.....あ、ああ。そうなのか」


「うん。やっぱり大切な.....」


「.....大切な?」


「な、何でもない!!!!!」


大切な、何だ。

俺は???を浮かべて見るが。

流星は一切答えなかった。

その様子を見ながら、なあ。流星、と尋ねる。

すると流星は、何かな.....、と聞いてくる。


「.....箸どうするんだ?」


「.....箸?それはそこに.....あ」


「.....」


「か、間接キスだよね.....?」


「そういう事だ。.....どうする」


し、仕方がないんじゃ無いかな今回は、と喜んだ感じで向いてくる流星。

耳以上に真っ赤になっている。

俺はその姿を見ながら苦笑しながら、じゃあ良いんだな?、と聞く。

すると流星は、やっぱり交換して下さい.....、と言ってきた。

恥ずかしい様だ。



「何でそれを考えなかったんだ?」


「.....その。アーンしたかったから。それ以外に何も考えてなかった」


「.....そ、そうか.....」


真っ赤になりながら俺達は見合う。

弁当はクッソ美味かった。

有り得ないぐらいに、であるが。

俺は流星の顔を改めて見る。


「美味しかった。有難うな」


「.....うん。気にしないで。.....嬉しかった。そんなに喜んでくれて」


「.....なあ。流星」


「.....何?ミチル」


「.....お前が死にたかったのは成績だけか?」


その言葉にビクッとする流星。

そして、何故?、と笑みを浮かべてくる。

俺は、いや。自殺要因にしては足りない気がするからな、と答える。

すると流星は少しだけ沈黙してから、成績だけだよ?、と笑顔を浮かべる。


「.....まあ嘘だな」


「.....え.....」


「.....前の幼馴染もそんな感じだったよ。実際にな。.....数秒の沈黙は何だ?.....何かを隠していないか」


「隠してないよ。.....私は」


「.....」


もし良かったら話してくれないか、と優しく言う俺に対して流星は、今は話せないかな、と静かに返答した。

俺は、そうか.....話せる時が来たら必ず話してくれ、と俺は流星の右手を握る。

すると流星は慌てながら俺を見る。

また真っ赤になりながら。


「.....何でそんなに恥ずかしがるんだ?」


「え!?あ!?いえ!?」


「.....?!」


流星は手を離してからレジャーシートを慌てて畳みながら無口になる。

俺は最後までその無口の理由が分からず。

そのまま流星を見ていた。

首を傾げながら、だ。

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