エピローグ

「すまんですな奥方」

 ニンジン畑のオーナーのおじいさんとおばあさんに囲まれてキッチンからダイニングテーブルの上で振る舞われたニンジンたっぷりのクリームシチューにはしゃぎ回るハムスターライダー達とそのダイニングテーブルの下でヒマワリの種を頬袋ほおぶくろいっぱいに頬張ほおばり食べるハム吉号やほかのハムスター達を見つめ、ハムスターライダー傭兵団の団長、ハムカッツェ・フォン・ヒマワリンはシンクの上で横に立つご老人二人と共にいい香りのコーヒーをすする。


「いえいえ本当に助かりましたハムスターの騎士様」

 おばあさんが持っていたコーヒーカップの甘いミルクコーヒーをコーヒーカップソーサーと共に一度シンクの上に置き、頭を下げてお礼を言う。


「や、止めてくだされ奥方、騎士などと我々はしがないハムスターライダー、ただの傭兵です」

 ハムカッツェ・フォン・ヒマワリン団長は自前の小さな真鍮製しんちゅうせいのマグカップの疲れた脳に効くとばかり砂糖たっぷりでミルクのないブラックとは言えないほど甘いブラックコーヒーを吹きそうになりながら慌てて手を振り否定する。


「でも私たち夫婦にとっては希望の騎士様ですよ」

 おばあさんはもう一度コーヒーを持つと『ふふふ』と笑い嬉しそうに口にする。


「全くだよ団長さん」

 おじいさんはおばあさんとお揃いのコーヒーカップと少し欠けたが大事に使っているコーヒーカップソーサーのブラックコーヒーを掲げ団長に『ヒヒヒ』と笑いカンパイをする。


「…………」

 団長は腰にさした騎士として戦いはせた時代の戦利品、宿敵だったハムスターサムライの日本刀を見つめ静かにその刀のつかをひとなでする。



「生き残ってみるものだな、こんな俺でも役立つ事がある……」



 ハムスターライダー傭兵団団長、ハムカッツェ・フォン・ヒマワリンはその昔戦場をハムスターナイトとして駆け抜け生き抜いていた頃を思いだし涙を一つこぼした。

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ニンジン畑のハムスターライダー傭兵団 山岡咲美 @sakumi

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