ナゾの館
蒼衣 ツキ
ナゾの館
「やっと着いた…」
私は今とある館の前にいる
外観は思っていたより、と言うより聞いていたより…は綺麗だった(草は生え放題だけど)
聞いた、と表現したのはこの館はネットで話題になっていたからだ
とある山の奥深くに奇妙な館を見つけた、と
その館の外観や草の生い茂ったドアから予想して家主はいないと思ったそうだ
もちろん、ただの館だったら私が目にすることは無かっただろう
その館には、仕掛けがあるようでドアにはスライドパズルのようなものがあったそうだ
しかし、解いていると暗くなる前に下山出来なくなってしまう、そう判断したらしく解かなかったそうだ
窓から中と覗くと中の床や扉にも見た限りでは、仕掛けが施されていたらしい
少し前から謎解きにハマっていた私は興味をそそられた
しかし、何人かの人が館を発見した人に聞いても場所は教えてくれなかったそうだ
なんでも、登山家でも厳しい山の一角らしく登山の心得が無いものには教えられない、と言っているらしい
まぁ、今ここにいるってことはなんとか聞きだしたんだけど、それは置いといて…
「さて、確かに扉に数字の描いてあるプレートがある…」
1から8までの数字が3×3の枠にぐちゃぐちゃに並べられている
「典型的なパズルじゃん、これなら簡単に…」
さして時間もかかる事なく解くことが出来た
と同時に「カチャ」と音がした
「これで開いたかな?」
謎解きという謎解きでもなく拍子抜けしながら入ってみる事にした
開けるとホコリが舞い、人が長らく入っていないことをあらわしているようだ
内装は外装から簡単に予想出来そうな、これぞ屋敷!と言った感じ
二階建てで幾つか部屋があるようだがこれもまあ屋敷、と言えば普通だろう
廊下の先ににとても重厚そうな扉がある
「奥に何があるんだろう?」
とりあえず近づいてみることにした
道に扉はなく、石像や絵画が並べられてあるだけだ
扉の前まできた
「開くかな…ふっ!」
精一杯の力を込めたが扉はビクともせず開きそうにない
しかも鍵穴もないときた
「仕掛けを解かないと開かないのかな?」
他の部屋も見て回ろう
明日からもやる事はあるし帰るのが遅くなってもいけないからさっさとやることにした
どこの部屋も一律で謎解き、と言うには簡単な問題が設置されていた
簡単な計算の問題、法則から考えられる言葉のものから鍵のヒントを得る…などなど
こういうのは先に開けて一気にやりたいタイプなので1階から2階まで全ての扉の謎に挑んだ
途中である扉だけ謎解きをしても開く気配のない扉が幾つかあった
1度押して見たがビクともしないので他の部屋からヒントを得ないといけないかもしれない
開けれなかった部屋は後回しにして開けることの出来た部屋に入って見ることにした
部屋に入ってみると四隅に石像があり、入ってきた扉の横には4つボタンが付いていた
ボタンを押してもボタンの中の文字が0と1で変わるだけだった
部屋中を探してみたが何故かヒントがない
「このボタン絶対石像に関係あるはずでしょ…」
仕方がないので他の部屋を見てみることにした
絵画が飾られている部屋だった
?ここにもボタンがある、数はさっきよりも多く、絵画の数との同じ9個あり、数字が書いてあるがどれを押してもなにも変わらない
「…文字?」
絵画に違和感を感じ、近づいてみてみることにしたそれぞれの絵に数字が描いてある!
「でも…全部1から9だし…ん?丸が描いてある!」
丸が描いてある数字と同じ数字のボタンを押すと…変化…しない
大きい扉を見に行くことにした
何も変わってない?
本当に何も変わりがないように見える
…は?いや、何かあるはずだ、次の部屋に行ってみよう
次は最初の扉の巨大版だった、少し骨は折れるが頑張ってみよう
何度か詰まったが、ご丁寧にリセットがあったのでなんとか解くことが出来た
部屋は相変わらず変わらない
大きな扉を見に行くが、変わらずだ
…もしかして、いや、まだ解けてない所もあるしまだ分からない
さっき諦めた部屋、よく見れば0と1の数字、それは部屋番号だった…
自分が固定観念に囚われている事を自嘲しつつ解く
…変わらず
大きな扉に行くが、やっぱり変わらない
「まさか…」
1つの疑念が生まれたので「開かなかった」扉に行ってみることにした仕掛けを解かずに開けてみる…開いた…何の変哲もない部屋があるだけ
私は気づいた、この部屋には仕掛けはあるがそれは鍵などではない、ただの娯楽だ
それに私はどれだけ時間をかけたのだろう…
虚しさともに家を出て帰ることにした
しかし一体、誰がどんな目的で作ったのか、その「謎」は分からない
ナゾの館 蒼衣 ツキ @aoi_tuki
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