第29話 歪んだ進化 (歪)
俺は学園の受付の所に来ていた
「では、お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
「はい、ハルトと言います」
「それではこちらに入学の記入をお願いします」
学園の入学の手続きをする
「出来ました」
手続きの紙を受付の人に渡す
「・・・希望は魔導部ですね」
「少し説明します」
「最初の1年以内に力、又は魔力を一定基準を満たしてください」
「もし満たされないとランクを付けることができない者として、退学処分となります」
「一定基準を満たすとEランクが与えられます」
「その後は、各ランクの昇格試験が月初めに行われますので、好きなタイミングで受けてください」
俺のステータスを確認する
力:160
魔力:18000
「Eランクになれる数値目標はどのくらいなんですか?」
「力は一般成人の2倍が基準なので250以上になり、魔力の方は500以上必要になります」
「他に質問はありますか?」
「もし分からない時は、入学説明書をお渡ししますのでこちらをお読みください」
魔力は超えてるからすぐにEランクになれる
そしたら属性を覚える方法を教わって強くなれる
その時はそう思ってた・・・
【2年後】
「おいポンコツ、邪魔だからどけよ」
俺は誰もいなかったテーブルで授業の予習をしていたら、Bクラスの同級生に蹴られ、吹き飛ぶ
俺は地面に倒れたまま、蹴飛ばした男を睨む
「何だよ、俺様に楯突くつもりか?」
俺は悔しい思いをしながら、自分の教科書を取り、端っこの方に移動する
一番端っこに小さな女の子が予習をしている
「隣を使っても良いかな?」
「え?・・・ どうぞ、私の隣で良ければ」
凄くおとなしそうな人だな
「名前は何ていうの?」
急に話しかけたせいか、女性が驚く
「あっ・・・ えっと・・・私の名前はミリス、ポンコツ魔導部のミリスです」
「俺はハルト、一応俺も魔導部なんだ」
「魔力は高いけど、無属性のせいで魔法が使えないから、俺もポンコツって言われてる」
俺は苦笑いをする
「私なんて、風、火、水の属性が有るのに魔力が低すぎて、弱い魔法しか使えないです」
3属性有るのに魔力が低いのか
ミリスのステータスが気になり、鑑定をしてみる
力:35
魔力:650
属性:火、水、風、氷
ユニークスキル
スペルマスター
コモンスキル
ファイヤーボール
ウォターボール
ウィンドカッター
魔力増加(小)
?? 氷属性があるな
本人もわからない属性かもしれない
それにしても、これはもったいない
全ての技と魔法をコモンスキルで覚えられるのに、技はほぼ使えない
少し希望が有るのは、魔法になる
「ミリスには、すごい才能が有るから、低い魔力で威力を高める方法を試してみてはどうかな?」
するとミリスは真っ赤な顔をする
「才能なんて無いよ」
「多分学園の教科書では参考にならないと思うから、自分で新たな魔法を見つけた方が良いと思うぞ」
それは俺自身にも言えた
最初の1年は属性を習得出来るか調べてみたが、学園には無かった
2年生になってから戦士部に編入したが、力が少し上昇しただけだった
ならテイマーを強くするしかなかったのだが、周りの森にはCランクの魔物しか居ない為、魔物の強化も出来なかったまま1年間無駄に終わった
だから再度魔導部に再編入をしたのだが
中途半端にクラスを変えた事で、一部の貴族から魔力の高いポンコツ扱いを受け、貴族から虐めを受けていた
【2ヶ月後】
「ハルトこれを見て!」
訓練所でミリスが両手を出す
「ファイヤーランス」
おぉすごい、中位クラスのスキル
ミリスの鑑定をしてみる
コモンスキルにスキルが増えていた
ファイヤーランス
トルネード
魔力消費減少(小)
魔力増加(中)
才能が開花したようだ
「ハルト、魔法を使うより、新たなスキルを見つける方が楽しいの」
「もしかしたら、無属性でも使える攻撃スキルが見つかるかも」
すごい笑顔をしていた
ミリスなら無属性魔法を発見してくれそうだ
そんな期待をしながら周りを見渡すと、遠くの女子生徒が睨めつけていた
Dランクの貴族令嬢だ
確かミリスと同じ日にランクの昇格試験を受けた人だ
ミリスは合格してCランクになった
だが、令嬢は不合格となり、敵意を抱いている
しばらくすると令嬢は後ろに振り向き、訓練所から出て行った
【西の森林】
学園の授業を終えてから、Eランクのスライムをテイムしていた
強さは無いが、扱いやすい魔物だ
このスライムを合成進化させる
俺の知識の中で固定概念があった
同じモンスターは、同じモンスターで強くなると思ってた
だけど少し大きくなるだけで、わずかにステータスが増えただけだった
そんな時、ミリスの色んな事を試すのを見て、他の魔物と合成した方が強くなるでは?
そんな事を思い、他の魔物を探す
「ハァハァ、しかし何でこんなに魔物が少ないのだ?」
「しかも強い魔物がいない。ほとんどがEランクの魔物しか見つからない」
しばらく探すと、小さい青蛇がいた
やっと見つけた青蛇は、まだこちらに気がついてないので俺は不意をついて剣で攻撃をする
だが青蛇の鱗に少し傷ができただけだった
「何だよ! ヘビなのにクソ硬え」
青蛇が俺の首元に向かって飛び跳ねる
「ヤバイ!」
後方に避けようとした時、テイムしたスライムが横から青蛇に体当たりをする
すると青蛇が俺の足元に落ちて痙攣をしている
どうやら斬撃よりも衝撃の方が弱かったようだ
俺は右手を青蛇に向けて魔力を込める
「進化合成」
スライムの全体が光だし、青蛇の方は黒い量子が空に飛び散りながら体が消えて行く
青蛇が完全消えるとスライムの光が球体になり、数秒後、光の球体にひびが入る
光の球体がパリンっとガラスの様な割れ方をすると、合成進化をした魔物の形が見えてくる
その姿は、青蛇に水をまとってた
「これは小さな蛟だな」
「一応調べてみよう」
俺は鑑定をする
力:600
魔力:400
属性:水
ユニークスキル
身体強化(防御)
コモンスキル
ウォターボール
おぉ、凄い
Dランクの下位相当の強さだ
よし!
もう少し魔物を探そう
さらに時間をかけて探すと、上空に飛びトカゲを発見する
ドラコンの最下位の魔物、Eランクでは在るが飛行する魔物は倒すのが困難
今のプチ蛟なら何とかなりそうだけど、試してみるか?
俺は、蛟を召喚する
魔法陣から出てきたプチ蛟を指示をする
「行け! ウォターボールで撃ち落とせ」
プチ蛟の口からでてきたのは、ウォターボールにしては長細い水だった
「えっ?」
どう見ても高圧洗浄機の形状だったがどうなった?
飛びトカゲが落下した方に向う
物体が見えてきた
近くに寄ると、水魔法が体を貫通して、瀕死の状態だった
「ヤバイ!」
死んでしまうと、合成進化が出来なくなる
俺は急いで合成進化をする
プチ蛟が光だし、変化をする
見た目が少し大きくなり、青蛇に手足が付いたような形になった
「もう見た目は青龍だな」
今日はこれで帰ろう
青龍を元の場所に召喚で送った後に、後ろからガサガサと草をかき分ける大きな音がした
俺は振り向くと、そこには熊がいた
動物だ。魔物では無かった
だが、熊が俺を見て急に襲いかかる
熊は臆病な生き物だから基本襲って来ないだが、縄張りに入ったり子熊がいると襲ってくる事がある
先はど戻した青龍を再召喚する
魔法陣を出したが、現れない、なぜだ?
・・・もしかして、強い魔物を召喚には時間がかかるのか?
熊の攻撃をかわしながら、ホワイトキャットを召喚する
魔法陣から2秒程でホワイトキャットが現れた
「ホワイトキャット、熊を攻撃しろ」
ホワイトキャットの攻撃は低いが、移動速度が高い
だから俺も剣を使って攻撃をする
熊の背後から足を狙う
グサリと深く切りつけると、段々と熊の動きがおそくなりはじめた
「ホワイトキャット攻撃やめるんだ」
ホワイトキャットがかなりのダメージを与えた事で、熊が弱まり、ほとんど動かない
・・・これ合成進化で来るのかな?
気になった俺は、合成進化を使ってみた
するとホワイトキャットが光り出し、球体から現れたのはでかい虎になる
まさか進化合成出来るとは思わなかった
この姿は百虎だ
青龍、百虎ときたら亀と鳥が欲しいけど、この世界には存在しないから駄目だろうな
【1ヶ月後】
試験所からミリスがこちらに向かってくる
「ハルト、昇格できた」
これでミリスはBランクになった
それに対して俺は未だにEランクのままだった
その理由は、魔物を村や町などに入れてはならない法律があった
もし魔物を中に入れてしまうと重罪になり、死刑か良くて奴隷になる
だから自分自身の強さで、試験に挑まないといけなかった
しかも試験の内容が、大きい岩を一定時間内に破壊する
単純な内容だが、Eランクは普通の岩だが、Aランクの岩になると魔力で固くしてるので、金属と変わらない
そんな単純な試験でも俺は昇格が出来ない
悔しくて拳に力が入る
そんな時、遠くから複数人の令嬢がミリスを睨む人と、かなりの貴族の男性が、ミリスを見つめてる
あぁなる程
ミリスの急な成長を見て、特殊なスキル持ちだと感づいたようだ
先に取られないように養子か婚約を考えてる貴族がいるのかもしれない
それを良く思わない令嬢が警戒してる様だ
【ギルド受付前】
「ではこれが報酬です」
俺は受付のギルドから狩りの報酬を受取る
今までまともな狩りが出来なかったが、白虎と青龍のおかげで今は楽に狩りが出来ている
「報酬も入ったし、飯でも食うか」
俺は移動中に綺麗な服装を身にまとった女性に目につく
ミリスを睨んだCランクの令嬢だった
平民エリアに一人でうろつくなんて変だな
気になった俺は隠れながら後を追う
かなり奥まで進む。この先には貧民エリアだ
すると令嬢は人気のない通路で立ち止まる
しばらくすると、貧民エリアから、こちらに向かってくる人影が見えた
人影がはっきりと見えてくると、30歳前後の男性だ「あんたが依頼人か?」
「そうよ」
「ミリスって人物を始末してほしい」
!? 令嬢からとんでもないことを聞いてしまった
俺は男の鑑定をする
力:800
魔力:7000
属性:風、闇
ユニークスキル
シャドーステップ
デスブロー
コモンスキル
空波斬
暗殺系のスキルに特化してる
しかも強い。Bランクの上位・・・いやスキルから見てAランクはあるだろう
ミリスにこの事を伝えないと
俺はここから立去ろうした時、風の刃が顔をすり抜ける
頬にツーと血が出る
「お嬢さん。あいつに跡を付けられてたみたいだけどどうします?」
俺は急いで魔法陣を二つ出す
白虎と青龍をだすのに2分かかる、どうする
「あの魔方陣はなんだ?」
暗殺者が身構える
「大丈夫よ」
「あの男は属性なしのポンコツ魔導師で有名だから口封じに始末してちょうだい」
令嬢から聞いた暗殺者が笑う
「なんだ、属性なしか」
「でも何かを発動してるから殺すか」
急に姿が消えたと思ったら背後から短剣で攻撃をする
おれはとっさに地面に倒れる
「あれ?何でよけられた」
暗殺者が不思議がる
先ほどの鑑定でシャドーステップを見てなければ確実に殺されてた
影に瞬間移動ができるスキル
だから予測でよけることができたが、普通の戦闘になれば負ける
「ならしょうがない」
すごい速さで正面から攻撃をしてくる
避けることも出来ないほどの速さで俺の腹部に短剣を突き刺された
「デスブロー」
おれが苦しみながら後方に数歩下がる
「・・・?」
暗殺者が不思議がる
「なぜ死なない?」
デスブロー、それは心臓を止めて殺す即死スキル
多分俺の魔力が高いから防げたのかもしれない
それでも重傷だった
そんな時、暗殺者の後方の魔法陣から白虎と青龍が現れる
「ん?」
暗殺者が後方に気が付き、振り向いた瞬間に白虎の爪が暗殺者の背中に切り裂いた
「うがっ!」
それを見てた令嬢が脱げだす
「青龍あの女を捕まえろ」
青龍は令嬢を巻き付けて動けなくする
「嫌、離して」
勝てた・・・
この暗殺者と令嬢をどうするか迷ってた
街中で魔物を出してしまった
殺すか?
でも令嬢の死体が見つかるとやばいな
そんな時、熊の事を思い出す
人でも合成できるのか?
俺は試しに白虎に暗殺者の合成進化をする
白虎が光だし、暗殺者は足先から黒い粒子で消えて聞く
「!! 何なのあれ」
令嬢が怯えていた
暗殺者の形が消えると、白虎の姿が変わった
人型だ
合成進化は何でもできるのかよ
俺は令嬢の方に振り向く
「なっ もしかして・・・」
令嬢に近づく
「嫌・・・やめて・・・」
恐怖に令嬢が失禁する
俺は迷わず合成進化を発動する
俺の体が光りだす
好奇心から己自身を進化合成にした
「嫌っ、足が・・・」
「お願い助けて! 誰にも言わないし、おとなしくするから殺さないで」
ガクガク震えながら謝るが
「もう遅い、俺の一部となれ」
令嬢の下半身が無くなり、俺は光の球体の中で進化する
「あぁ・・・」
そして涙を流しながら首から徐々に無くなりかけている
もう意識はなくなりかけてるだろう
令嬢のすべてが消えると、俺の球体が割れ始める
パリンと割れると、俺はの姿は上半身が女、下半身が男の姿に進化した
俺のステータスを見る
力:500
魔力:60000
フッフッフッ
アッハッハッハ
ヤンデレおばさん アンダーヒット @underhit
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