輪廻転生する真白のドラゴン

伽噺家A

第1話 旅立ち

 「起きろ……起きろ。」

 神からの声で真っ暗な世界で自己を意識する。自我が覚醒し、準備ができたようだ。


 本能的にやることはわかっていた。

 自分の嘴を一心不乱に暗闇にたたきつける。

 外の光がひび割れの間から差してきた。

 「お、生まれたぞ。」

 外から声がする。濡れた体を起こし、羽を広げる。

 「黒だ。はずれだね。」

 不遜な態度の男は卵から出てもいないドラゴンを炎の中に入れた。


 「起きろ……起きろ。」

 神からの声で真っ暗な世界で自己を意識する。

 真っ青な卵の殻を割り出てくるのを見下ろす男。

 「何回目だと思っている。真紅のドラゴンはまだか。」

 初めてなはずのに耳障りな声を聴きながら、生まれたての真白のドラゴンは炎とともにため息をついた。

 男は興奮した。

 「おい!見てみろよ!俺のドラゴン真白だぞ。奇跡だ!」

 「なんだ人間。不快だ。」

 「お前の主人は俺だ。言うことを聞け!」

 人間は鎖をかけた。

 「おい人間。説明しろ。すべてをだ。ついでに言うが私の名前はリーウという。」


 要約するとドラゴンのような魔法生物をペットであり相棒にする時代。サムと名乗る少年はは買った卵を何回か孵化させて希望のドラゴンが出るまで繰り返した。ドラゴンは死なば炎に包まれ生まれ変わる生き物で、その性質を利用して炎で希望のドラゴンを孵化させ、ペットとする。生存権を無視するその方法は、法律で禁止されている。ドラゴンの性質は色で決まる。赤系が力や魔法が強く、青系が速度や耐性が強い。

 ほかの魔法生物は妖精や、ユニコーン、巨人などだ。犬などを飼う人もいるが少ない。


 想像するだけで嫌な人生となりそうだ。移動、火起こし、戦い、すべてサムのために一生を捧げなければならないのだ。

 「決めた。」

 と、はっきり言うと、リーウは鎖を弾き飛ばした。生まれたての二十センチほどの体で力はすごい。

 息を思い切り吸い、魔力を混ぜる。

 力を込めると、ドンという音とともに全身から炎を出し、言った。

 「さらばだ人間。私は自由だ!」

 吹き飛んだ小さい民家から、雲一つない空に飛び出した。

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