第6話ブレイブ仮面の覚悟……。

休日に家族とショッピングモールに買い物に来た勇夫は突如現れたトカゲの怪物と戦う為にブレイブ仮面に変身した。

しかし、トカゲの怪物のパワーの前に苦戦するブレイブ仮面……。

更にそこに現れた謎の男……。

「お前には我々の理想郷の為に協力して貰うぜ……」

「理想郷?」

「ああ、もう少し派手に戦おうぜ……ブレイブ仮面!!」

男がトカゲの怪物をけしかけ、ブレイブ仮面に攻撃させる。

「うわっ!?」

トカゲの怪物は再び車をブレイブ仮面に向けて突進させた。

ブレイブ仮面は攻撃をかわしたが、先程の車からオイルが漏れ出しており、引火……。

車は大炎上する。

「ま、まずい!?」

このままでは他の車も巻き込み大爆発してしまう。

そう思ったブレイブ仮面は辺りを見渡す。

「あった!」

ブレイブ仮面が見つけたのは消火器。

ブレイブ仮面はその消火器を取りに行こうとするが、トカゲの怪物はブレイブ仮面に再び攻撃し、邪魔をする。

「うわっ!?」

もう制限時間が迫っている。

ブレイブ仮面はこれまでに無い程の大ピンチを迎えていた。

「やはり……先にあの怪物を倒すしかない……」

ブレイブ仮面は意を決し先にトカゲの怪物を倒す事に。

ブレイブ仮面はカートリッジを取り出し腕時計にセットする。

ブレイブ仮面の右腕にエネルギーが集められる。

「必殺のパンチを見せてやる!!」

そう言ってブレイブ仮面はトカゲの怪物に一気に詰め寄る。

必殺技『ブレイブパンチ』が炸裂。

ブレイブパンチ、それは勇夫がこの技に付けた名前だ。

シンプルで安直な印象だが、勇夫の世代にはこれぐらいシンプルなら技名の方がしっくり来るのだろう。


それはさておき、ブレイブ仮面の必殺技はトカゲの怪物にも効いた様だ。

トカゲの怪物の体は次第に崩壊し始め、元の人間の姿に戻った。

「や、やった……」

そして謎の男がブレイブ仮面に拍手を送る。

「いや〜見事だよブレイブ仮面……君はまさり理想のヒーロー像だ……」

そう言って男は姿を、消した。

「なんだったんだ……アイツ……」


ブレイブ仮面は急いで消火器を取り、消火活動を始める。

しかし、もう時間はない。

後は警察や消防に任せ、家族の元へ帰る勇夫。


「洋子、香菜!大丈夫か?」

「あなた、どこ行ってたの?」

「もう〜心配させなきでよ〜」

「アハハハ……ごめんごめん……」

「今日はもう帰りましょう」

「そうだな……流石に疲れたし」

勇夫達一家は家に帰る。

勇夫は流石に疲れた様で部屋に入るとベッドに倒れ込んだ。

あの怪物は何なのか、あの男は何者なのか……。

そんな事を考えていたが、いつのまにか眠ってしまった。

勇夫が目を覚ますともう真っ暗になっていた。

「あ〜しまった……寝てしまったか……」

勇夫がリビングに出ていくと……。

「あっ、あなたやっと起きた。片付かないからご飯食べちゃってよ」

「ああ……」

そんな会話をしていると香菜が洋子を呼ぶ。

「ママ〜もうすぐドラマ始まるよ〜」

「あーはいはい。録画してある?」

「うん、バッチシ!」

「ドラマ?もうそんな時間か……」

勇夫がダイニングの壁掛け時計に目をやると時刻は既に9時前だった。

勇夫は茶碗にご飯を注ぎダイニングのテーブルに座った。

香菜と洋子が見ているテレビではドラマが始まる前にニュースが入った。

ニュースでは昼間のショッピングモールで起きた怪物騒ぎを報道していた。

「あーこれさっきのやつだ」

「本当、怖かったわねぇ」

勇夫も何気なく見ていると視聴者が提供した現場の映像が流れた。

そこに映っているのはブレイブ仮面とトカゲの怪物が戦っている映像。

動画を撮られてたのか……。

勇夫はそう思いながらご飯を食べ始める。


「やっぱブレイブ仮面カッコいいよね〜」

不意に香菜がそんな事を言い出す。

「そうねぇ〜そうなると増々正体が気になるわ〜」

洋子も話に乗る。


やれやれ……ここに居るつーの……

勇夫はそう思いながら味噌汁を一口飲む。

「ん!今日の味噌汁美味いな!出汁変えた?」

洋子は……

無視……。

「あっ、聞いてない……やれやれ……」

勇夫は夕食を食べ終えると部屋に戻りジャージに着替える。

そして再びリビングへ……。

「ちょっとジョギングしてくる……」

しかし香菜と洋子はドラマに夢中で無反応。

「はぁ……行ってくる……」

勇夫は肩を落としてジョギングに出発。


「はぁ……はぁ……今日は食べたばかりだし軽めにしておこう……」

いつものジョギングのコースを走るが今日は短めにしようと考えてる勇夫。

しかし……。

「あれ?今晩は!」

後ろから聞き覚えのある声がして振り向く。

三浦慎吾だった。

「あっ、君は……三浦君!」

「どーも、こんな時間にジョギングですか?」

「ああ、今日は家族サービスで朝から出掛けてたから……ジョギング出来て無くてね」

「そうですか……お父さんは大変ですね」

「三浦君はこんな時間にも走ってるのかい?」

「今日はたまたまです。大会が近いので夜も練習してるだけですよ」

「そうか……前にも大会が近いって言ってたね。いつなの?」

「来週の土日です」

「そうか……頑張って」

「はい!湯村さんもあまり無理なさらない様に」

「ああ、ありがとう……」

「じゃあ、お先に!」

三浦は先に走って行った。

「あ〜……若いっていいなぁ」

しかし、三浦が走って行った先で……。

「うわぁぁぁぁっ!?」

「何だ?」

三浦の悲鳴が聞こえ勇夫は急いで向かう。


勇夫が到着するとそこにはカマキリの姿をした怪物が居て三浦を襲っていた。

「大丈夫か?」

勇夫が三浦に駆け寄ると三浦は右足を怪我していた。

「湯村さん……危ないですよ……逃げて……」

三浦の右足には切り傷があった。

恐らくこのカマキリの怪物にやられたモノだろう。

「お前か……お前がやったのか!」

勇夫は震えていた。

勿論、今更恐怖ではない。

未来ある若者を傷付けた事に怒りが込み上げて来ていたのだ。

「三浦君、一人で逃げられるかい?」

「え?えぇ、何とか……」

三浦は右足を引きずりながらも立ち上がる。

「なら急いで病院へ……コイツは私が何とかするから……」

「でも……それじゃあ湯村さんが……」

「大丈夫。ここは私に……」

「……分かりました……気を付けて下さい」

三浦は右足を引きずりながら必死にその場を離れた。

「お前……良くも未来ある若者を傷付けたな……許せない……変身!」

勇夫はブレイブ仮面となりカマキリの怪物に攻撃を仕掛けた。

カマキリの怪物も応戦。

両手の鋭い鎌がブレイブ仮面に襲い掛かる。

しかし、ブレイブ仮面はなりふり構わずカマキリの怪物に攻撃する。

「お前達がやっている事は許せない!何の罪も無い人々を傷付けるお前達の非道な行い……絶対に許さないからな!!」

ブレイブ仮面は怒涛の攻撃を続けカマキリの怪物を追い詰める。

「トドメだ!!」

ブレイブ仮面が必殺技を使おうとした瞬間背後から何者かがブレイブ仮面を襲った。

「ぐぁっ!?」

ブレイブ仮面はその場で倒れ込む。

後ろを見るとそこにはまたあの男が……。

「よぉ、ブレイブ仮面……そろそろこっちも仕掛けさせて貰うぜ……」

「お……お前は……」

その男は更にブレイブ仮面に攻撃を仕掛ける。

カマキリの怪物も加わり2対1で攻撃を加えられるブレイブ仮面……。

為す術もなく、攻撃を喰らい続けるブレイブ仮面……。

このままでは制限時間が来てしまう。

何とか脱出し体勢を立て直したいブレイブ仮面だが、男はその隙さえ与えない。

そのまま男とカマキリの怪物にタコ殴りにされ気絶してしまうブレイブ仮面。

「フンッ……行くぞ」

男とカマキリの怪物はブレイブ仮面が気絶すると去って行った。


気絶したまま制限時間が来てしまい、勇夫の姿に戻った。

ブレイブ仮面は初めての敗北を経験した。


果たしてブレイブ仮面は立ち直れるのか?


続く……。






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