し!

「たーくん、ただいま」

「おかえりなさい」

 お父さんのおおきな車から、お母さんがおりてきました。

 両手いっぱいに、スーパーで買ったものをたくさんかかえています。

「ぼく、おてつだいするよ!」

 たーくんは、ふくろをいくつももってあげました。

「わあ! すごく大きなのを作ったんだね!」

 お父さんが、雪だるまにどろきました。

「本当に大きな雪だるまだねー。これ、たーくんがひとりで作ったの?」

 ほめられて、たーくんはうれしくなります。

「女の子といっしょに、つくったんだよ!」

 たーくんが、げんきいっぱいにこたえます。

「女の子?」

「うん! かわいくてね、まっ赤なぼうしと、ぼくとおんなじ手ぶくろの」

 お母さんをおいかけて、たーくんもおうちにはいりました。


「あー重かった」

 お母さんが、にもつをリビングのテーブルにおきます。

 冷蔵庫にいれるのは、お父さんのしごとです。

「りーちゃん、よく寝てた?」

 お母さんが子どもべやにはいります。

「あ、そうだ、りーちゃんね」

 たーくんは、りーちゃん、いなくなったって、いおうとします。

「りーちゃんが、どうしたの?」


 だけど、いなくなったはずのりーちゃんがベッドにいたのです。


「りーちゃんいい子にしてたかしら?」

「んー、んー」

 お母さんにだきあげられて、りーちゃんがぐずります。

「あらあら、どうしたのかしら、手がこんなに冷たいわ」

 お母さんがすっかり冷たくなったりーちゃんの手を、にぎって温めます。

「あれえ?」

 たーくん、ふしぎそうにしました。


「たーくん、手ぶくろ、返してもらえたんだね」

 リビングにゆくと、冷蔵庫にたべものをかたづけながら、お父さんがいいました。

「雪だるまの手ぶくろ、たーくんのでしょ?」


 たーくんは雪だるまにもどりました。

 そして、木にかけた手ぶくろをたしかめます。

 手くびのとこをめくってみると、そこにはおとうさんがマジックでかいてくれた、たーくんのなまえがありました。



 まどのそとは、もうよるです。

 お父さんとお母さんが、ばんごはんをつくっています。

 きょうはホワイトシチュー。

 雪みたいに白くて、たーくんはだいすきです。

「りーちゃん、ぼくとあそびたかったんでしょ」

 たーくんがずっとベッドで、りーちゃんにはなしかけています。

「ん」

 りーちゃんが、へんじします。

「いっしょに雪だるまつくれて、たのしかったね!」

 りーちゃんがきゃらきゃらわらいました。

「んま!」

 たのしかった!

 りーちゃんがそういったこと、たーくんだけがしってます。


 また雪がふりだして、家のまわりに、すこしずつ白くつもりはじめています。

 つぎにふたりが、雪だるまをつくってあそべるのは、いつかな?

 あしたかな?



     おしまい

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ゆきんこのてぶくろ ハシバミの花 @kaaki_iro

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